2018自治体要請キャラバン 県内63市町村を訪問 国の社会保障改悪の防波堤に

埼玉県社会保障推進協議会 川嶋芳男 事務局長
 
2018年度の自治体要請キャラバン行動が6月26日から7月6日まで34コースに分かれて実施され、県内63市町村を訪問・懇談することができました。自治体要請キャラバン行動は、埼玉社保協結成前の1992年にはじまり、94年からはすべての自治体を訪問・懇談し今年で25回目となりました。
安倍政権は憲法25条を解釈改憲し、2013年12月に社会保障プログラム法を成立させ、以後社会保障費の大幅な抑制を行ない、国民に対する負担増と医療や介護、年金や生活保護費など給付削減を行なってきています。同時に、社会保障分野の営利化・市場化が急速に拡大しています。納税の義務(憲法30条)の履行と引き換えに基本的人権を保障する関係ではありません。しかし、国保税などの滞納処分で預金のほとんどを差し押さえている事例も発生しています。社会保障は国の責任です。キャラバンでは自治体が私たちの防波堤になって頂くよう要請してきました。
今回も、副市長をはじめ幹部が最後まで参加するなど、行政側のキャラバンの位置づけが高くなっています。また「懇談事項」の文書回答が約半数の自治体で当日参加者に配布されました。
 
<国保税引き上げ見送る自治体も>
 
今年度から、国保制度が大きくかわりました。県が国保の財政運営の責任を担うしくみとなり、市町村独自の判断ではなく県の方針に従う姿勢が強まった印象です。県の方針に従い法定外繰入が全県で前年より13億円以上減額しました。その背景には当然国の社会保障費抑制があり、私たちにとっては大変危険な姿勢とみる必要があります。
一方、今年度国保税率の改定は31市町村にとどまり、17市町は限度額も含め前年のままです。慎重に判断している事は評価しつつも、安心できません。今後6年間で「赤字を解消する計画」を実行せよと国は迫っています。「払える国保税」の運動は今後も続きます。
介護の分野では、7自治体が引下げたこともあり介護保険料の格差が顕著です。最高額で比較した場合、最高額の戸田市1万5592円に対し、最低額の鳩山町7200円で約2・2倍の差となっています。特養ホームの待機者は1万人を超えていて、施設整備、介護職員の処遇改善と確保は喫緊の課題となっています。
障害児の放課後等デイサービスなどを通じて株式会社の参入が相次いでいる実態が見えてきました。また生活サポート事業を評価し拡充を求める意見が出されています。子育て分野では、少子化が進む中で幼稚園が減少する一方、保育所待機児童の増加が特徴です。公立保育所が増えず民間や認定こども園などの増加が続いています。保育士不足が深刻で市独自の処遇改善強化を求めましたが鈍い反応です。さらに10月からの生活保護基準引下げを懸念する意見が強く出されました。高齢者や障害者を含む世帯の増加がすすんでいます。
この結果をまとめ、11月の県政要求共同行動や国会行動埼玉デーなどにつなげたいと考えています。