子育て・教育

 少子化でも増え続ける待機児童、認可保育所増設を

 保育所待機児童数は1,552人、(平成30年4月1日現在)昨年から294人の増加。平成28年まで待機児童数は減少傾向でしたが、平成29、30年で待機児童数は新定義に移行し、再び増加に転じました。(新定義では、保護者が育児休業中である場合や特定の施設だけを希望する場合も待機児としてカウントします)
 県のホームページでは「就学前児童数が減少する中でも、認可保育所等への入所申込者数は増加が続いており、平成27年4月1日の申込者数は106,355人で、県全体で初めて10万人を突破し、前年と比べると9,903人の大幅な増となりました」と認可保育所が望まれている実態を示しています。ところが県は保護者の願いに応えて認可保育所の充実、増設を柱に進めるのではなく「幼稚園・企業と連携した取組」や「小規模保育事業」を一層進めるとしています。

埼玉県の待機児童数(4月1日現在)(人)
埼玉県:http://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/news/page/2018/0713-07.html

 

乳幼児医療費助成制度の拡充を

 乳幼児医療費助成制度は医療機関の窓口での子どもの医療費自己負担分を全額助成する県単独助成制度です。埼玉県の制度は、入院通院とも就学前までとなっています。また、窓口での支払いをなくす「現物給付」制度はせず、あとから払い戻す「償還払い」となっています。しかし、埼玉県内の市町村は、子育て支援の観点から、それぞれ持ち出しをして、15歳まで助成している自治体が51、18歳まで12自治体となっています。現物給付も63すべての自治体で実施しています。県が小学校卒業までや、15歳まで助成年齢を引き上げれば、市町村の持ち出しが大いに減るので、その分18歳まで拡充する自治体が増えるはずです。

 

卒業時に借金が…。これでは名ばかり奨学金

 廃止になった日本育英会にかわって、高校生には、県が募集し、埼玉りそな銀行が貸与する教育ローンの「埼玉県高等学校等奨学金」があります。公立高校生は、利息なしで月2万5千円まで借りられますが、満額を3年間借りると90万円の借金となります。大学生には学生支援機構という独立行政法人が貸し付けています。月最高で12万円借りられますが、4年間借りて利息がつくと、卒業時に600万円もの借金となります。ともに返還の義務があります。
 給付制の奨学金には、高校生向けの「奨学のための給付金」制度や海外の大学等への留学生に対する県独自の給付制奨学金や、医学生への奨学金などもありますが、少なくとも高校生には、一般的な生徒にも利用可能な給付制奨学金を県の責任で創設することが必要です。

 

「少人数学級評価しない」と上田知事

 埼玉県は小学校1、2年生が35人以下学級、中学1年生が38人以下学級ですが、保護者たちの願いはさらに少人数学級をすすめてほしいというものです。それに対して上田知事は「私は必ずしも少人数学級に関して評価をしておりません」(2006年)と答えています。中学校1学級の平均人数は、32.1人で全国最多です。
 また、小学校の児童一人あたりの教育予算は76.6万円(全国平均89.8万円)で全国45位、中学校でも90.7万円(全国平均104.5万円)で43位とたいへん低いものです。

 

高校統廃合で6,600人が進学断念

 県は1999年以降、県立高校の再編整備を行い、統合学科や単位制普通科、多部制定時制高校の設置など「活性化・特色化」をすすめてきました。このもとで153校あった全日制高校は2013年には134校に、夜間定時制が31校から17校に減らされました。この結果2013年には6,600人の生徒が県立高校を希望しながらあきらめざるを得ませんでした。「15の春を泣かせない」と20年間で80校の県立高校を建設した革新県政時代とは大違いです。
 2012年、一般家庭の幼稚園父母負担軽減金が廃止されました。幼稚園に通う世帯に市町村と折半で財政支援する制度でした。廃止時の県負担分はわずか年4,000円(世帯)。多くの市町村では、これに上乗せをして助成してきました。その一方で、県は家計急変世帯の補助単価を引き上げましたが、一般家庭11万人を対象外とした結果、総額で4億円近い予算を削減しました。

 

深刻な特別支援学校の教室不足

 障害を持つ子どもたちの教育の場である県立特別支援学校では、教室不足が深刻です。つい立てで教室を半分に仕切って使うなど、音も筒抜けで授業にならない状態が続いています。保護者は「これでは、障害児差別です」と訴えています。また、給食の調理業務や児童・生徒の送迎バス運行業務の民間委託が行われました。ある学校では、バスの運行業者が突然変更になり、バスの外観が変わる、運転手が変わるなどで、子どもがパニックを起こしバスに乗れなくなったという事態も起きています。