民主県政の会ニュース165号

第165号 2016年5月1日

「待機児童問題」 不足している認可保育所 保育所を増やすだけでは解決できない

 「一億総活躍」(安部首相)、「ウーマノミクス」(上田知事)の言葉が躍ります。耳触りのよいスローガンでなく女性の雇用や保育、医療などをめぐる現実を直視し、いま国や自治体が問題の解決にむけて実効ある施策を示すよう、世論と運動を高めていくことがもとめられています。
 「保育園落ちた日本死ね」。このブログをきっかけに、待機児童問題がクローズアップされています。しかし待機児童問題はいまにはじまったことではありません。政府が待機児童の統計をとりはじめたのは1995年。20年以上も問題は解決されず、むしろ深刻さを増しています。
 さいたま市では、認可保育所への今年4月に入所を申し込んだ人数は7,044人。そのうち、一次選考で入所不承諾となった子どもの数は2,122人。圧倒的に認可保育所が足りていない状況が何年も続いています。親たちが少ない入所枠をめぐって「保活」をしなければならず、子どもが1歳になるまで育児休業がとれるはずなのに、育休明けの入所が難しいために0歳のうちに入所させようと、育休を切り上げざるをえない母親が多数います。就労時間が短くても求職中でも、認可保育所の利用は可能であるはずなのに、区役所の窓口で「(入所選考の)点数が低いのでまず入所は無理」と言われ、入所申込みそのものをあきらめるケースも。
 親たちは子どもが安心して過ごすことができる保育所を望んでいます。子ども1人あたりの面積や、保育士資格を持った保育士がしっかり子どもを見守ってくれる認可保育所の増設が求められています。国が保育士の処遇改善や土地の確保、公立保育所の整備に対する補助をしていくことが必要です。
(さいたま市在住・阿部一美さんの話)

「待機児童問題」 不足している認可保育所 保育所を増やすだけでは解決できない

2月定例会をふり返る

 4月4日午後、県民要求実現埼玉大運動実行委員会と共催で埼玉県議会2月定例会レクチャーが行われました。日本共産党埼玉県議団の柳下礼子県議団長からレクチャーがありました。
 柳下議員は改変された予算特別委員会について、自民党などが、知事に直接質問できる総括質疑の日程を3日から半日に減したことは著しい県議会形骸化だと批判しました。16年度当初予算については、県による市町村への徴税押しつけが強化されかねないこと、国のマイナンバー制度導入に伴う制度整備予算が設けられていたり八ッ場ダムなど巨大ダム開発予算が計上されていることなどから共産党県議団は反対しました。
 知事提出議案関係では、ケアマネジャーの実務研修手数料を大幅に引き上げる議案や、また知事をはじめとする幹部職員の期末手当の年間支給を3.10月から3.15月に引き上げる議案に反対したことが報告されました。
 参加団体からは、法改定によるシルバー人材センター活用問題、公契約運動と現場の調査、公民館使用にかかわる当局の妨害などについて発言があり意見交換しました。

憲法を実現する政治への教育を もとめられる主権者教育としての18 歳選挙権

 18歳選挙権の問題が騒がれ始めています。
 マスコミは、「県選管に、専門職員が学校に出向き選挙についてわかりやすく説明してほしいと『出前講座』の要望が相次いでいる」と報じました。(2/16付朝日新聞)。高校によっては実際の選挙と同じ投票所を設け、模擬投票を行っているところも。さいたま市選管が市立高校生に行った調査では、今度の参院選で投票に行くと答えた生徒は56.9%、「行かない」の7.6%を大きく上回りました。投票が自分の求める政治(政治家)の選択につながるのか、迷いも伺えます。
 埼高教は、昨年11月に組合員向けの職場討議資料「18歳選挙権実施の今こそ、憲法に基づく主権者教育を」をつくり配布しました。その中で、元全労連議長・全教委員長の三上満さんが「憲法の理想の実現は大きく政治の力にかかってくる。(旧教育)基本法のいう政治教育は、いうならば『憲法を実現する政治への教育』ということにほかならない」と述べていることを紹介し、単に選挙の仕方や議会のしくみの学習にとどまらず、高校授業料や奨学金の問題、貧困と格差、平和や環境問題まで主権者として政治にかかわることの重要性を学ぶことが大切だと指摘しています。
 新たに誕生する有権者たちが「選挙って本当に大切な事なんだ」と実感できる環境をつくることが、私たち先輩にもとめられているのではないでしょうか。

政治的教育・選挙教育をもっと学校で (柴田泰彦氏 民主県政の会 特別代表)

 今夏の参院選から選挙権が満18歳以上に引き下げられる。これはすでに160ヵ国が採用し世界の大勢だ。20歳以上選挙権の国はOECD加盟34ヵ国中、16年6月現在で日本だけであった。今度の参院選から全国で2百40万人、埼玉県内では約12万3千人の若い有権者が誕生する(H27文科省「学校基本調査」)。選挙権の拡大は遅ればせではあるが大いに歓迎するものである。
 さて、この国の学校教育で教職員が政治問題を語ることはタブーとされてきた。「安保関連法」「TPP」など政治や行政に対する批判的学習をすると「偏向教育」「教育の中立性」というわけのわからない圧力をかけられてきたからである。現行教育基本法でも「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない」と定めている。この機会に、大いに政治を語る気風を学校現場に取り戻そう。昨夏の県知事選でも若者の政治離れ、低投票率が問題となり、学校教育での政治教育の必要性が説かれた。県内のある私立高校で、候補者の選挙政策を学習・討論し模擬投票を行った実践が報道された。
 上田知事もこの問題で「公務員の政治的中立なんて言う言葉から妙に引いたかたちで勘違いされている方々も多くて、もっと積極的に政治教育と言うか、選挙教育というのを学校でやるべき」(15年3月27日定例記者会見)と力説している。県教委も積極的に推進の方向を示し、学校現場の実情に応じた自主的取り組みを称揚すべきではないか。

柴田泰彦氏 民主県政の会特別代表

憲法・平和・基地をめぐる集会が県内各地で

戦争法=安保関連法をめぐる議論が高まり、関心はそれだけにとどまらず辺野古基地建設やオスプレイ配備、さらに県内の基地問題にも及んでいます。埼玉県内でも5月は、つぎのような平和と民主主義を守るための集会・行動が予定されていますので紹介します。
■飛行情報交流・学習会 「危険がいっぱい埼玉の空」 5月12日(木)13時30分 松山市民活動センター
■輝け!日本国憲法のつどい 5月19日(木)18時30分 さいたま市民会館うらわ
■オール埼玉1万人総行動 5月29日(日)10時30分 北浦和公園、集会後パレード