民主県政の会ニュース166号

第166号 2016年6月1日

「一億総活躍」で、高年齢者の不安定な働き方が広がる
もとめられているのは「生きがい」「能力活用」
【シルバー人材センター】

 雇用労働と何ら変わらないシルバーの就「業」がひろがっています。受注→製品加工→発送業務に就業(労)しても配分金(シルバー手取り)は最低賃金以下、スーパーの商品陳列に朝6時から就業してもシルバーは最賃ギリギリ、役所では正規や非正規と同じ仕事でもシルバー扱いに変わると最賃に少々上乗せしただけ。ケガをしても労災適用はない。業務中に事故死亡してもシルバー加入の保険金だけ。何とかしたいと労働組合を考えたら、これも労組法の適用外。県内シルバー就業の99.9%を占める「請負」では、シルバーは法的に「労働者」扱いされていないからです。
 県内各自治体にあるシルバー人材センターで、こんな実態が放置されたまま、シルバーの根拠法となる「高年齢者雇用安定法」が4月に改定され、「1億総活躍」のための規制緩和が始まっています。「生きがい対策」が目的のシルバーは就業時間が「概ね月10日程度以内又は概ね週20時間を超えない」と限定されていたのを「雇用労働」と同じ「週40時間」まで働かせることが可能になりました。ただし、今回の改定は「請負」「派遣」「職業紹介」の3形態あるシルバー就業のうち、「労働者」扱いされている「派遣」と「職業紹介」に限定されています。さらに、規制緩和される「業種・職種」については都道府県知事が指定をすることになっています。その際、地区労・地域労連も県の意見聴取の対象となり得ます。
 今、年金受給年齢の引き伸ばし、受給金額の減少、60歳以降の雇用継続制度の不備、等々から働かなければ生活できない現実があります。また、70歳過ぎても労働を通じた社会参加は人間の基本的権利です。それを逆手にとった、安上がりで切り捨て自由な高齢労働力の活用は許されません。今回の法改定・規制緩和からは、介護・福祉従事者なども含めた高年齢・低権利労働力づくりへの布石が透けて見えます。
 一方、前記現実を反映してか、改定法では自治体が高年齢者の多様な就業の機会確保のために「協議会」を設置して、法に基づく「計画」を策定できることになりました。先の「業種・職種」の指定、高年齢者の生活と権利を守るための「計画」づくり、そして、最初に述べた、雇用労働をシルバーに担わせる脱法行為を改善できるか否か。埼玉県政の役割と、労働者側の政策提案が大切です。
 
■シルバー人材センターとは
 
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律にもとづいて、都道府県知事が指定した法人。市町村1センター(複数市町村で1センターもある)を原則に組織される。高年齢者が「臨時、短期、軽易」な業務に就業する機会をつくり、「生きがい」「能力活用」を目的にしている。就業希望者は会費を払って会員登録し、会費、事業収入の一定割合の事務費、国の補助金、自治体支援で運営される。
 
自治体がシルバー人材センターに委託している業務例(臨時・軽易と言えない業務ばかり)
・公民館等受付管理(所沢市、深谷市、秩父市、蓮田市、和光市ほか多数)
・公民館時間外管理(三芳町、横瀬町、美里町)
・小中学校用務(新座市、富士見市、白岡市)
・保育所用務(八潮市、横瀬町)
・水道施設管理(八潮市)
・議会事務業務(鶴ヶ島市)
・公園保守管理(川島町)
・通知等封入業務(東松山市)
(埼労連2015年自治体キャラバン資料集より)
 
 

県議会6月定例会開会迫る

 
埼玉県議会の6月定例化が、6月6日(月)から27日(月)まで22日間の日程で開かれます。 議会に請願書を出す場合は、6月6日午後5時までに議会事務局に提出してください。
 
◇電話 048―830―6250
 
 

県民税など 取り立て強化が滞納防止?
給与天引きやピンク・黄色の封筒で催告書

 5月10日付の読売新聞が「税金滞納、防止に工夫」の見出しで「県と市町村が県税(県民税、自動車税など)と市町村税(市町村民税、固定資産税など)の滞納防止に力を入れている」の記事を載せています。しかも市町村によっては、納税を促す催告書や封筒の色を目立たせるなど「ストップ!滞納」を合言葉に工夫を凝らしていることまで紹介しています。
 埼玉県の県税納税率は2014年度で96.1%ですが、全国的には6年連続で最下位だと言います。その理由として従業員の住民税を給与天引きしていない中小企業が多いことをあげています。また14年度に滞納された県税は250億円、今年2月までに徴収できたのは約67億円と言います。
 
県税滞納に、給与や車を差し押さえ
 
 このため県は事業所に対して給与天引きへの切り替えや給与や車など効果が出やすい差し押さえを積極的に進めると報じています。一方、志木市では納税催告通知の名称を、2回目から「差押事前通知」、4回目からは「警告書」と変えて滞納者の目に留まるように工夫していることを紹介。さらに車やバイクなど差し押さえられる物品の写真を通知に印刷したり、黄色やピンクなど目立つ色の封筒にして送付しています。
 
統計集から見える県のすがた
 
 県が発行している「統計からみた埼玉県のすがた2016」で、個人県民税の税収「額」が、平成26年度は全国第5位になったことが紹介されています。税収があがった平成19年度を100とすると、4年後の平成23年度は78.1ポイントに落ち込みました。その後、平成26年度に84.6ポイントまで「改善」されました。「埼玉県のすがた」では、その要因として地方消費税の増収とともに「納税率の上昇」があり全国第5位になったと書いています。上田知事は、県の様々な指標を、他の都道府県と数字で比較し、表やグラフを使って内外にアピールしています。そうだとすると、納税率が上がったことの背景に、県税の強引な徴収があることをどう考えているのか、評価すべきことなのか、聞いてみたいところです。
 

埼玉から野党2議席を 5・29オール埼玉総行動で参院選へ決起

 参議院選挙が6月22日公示、7月10日投票に決まりました。安保関連法をはじめ、アベノミクス、沖縄、原発、TPPなど安倍内閣のもとで2012年12月からすすめられてきた様々な政策と、「独裁」の呼び名が日増しに高まっている首相の政治手法や国会運営に、国民がどのような評価と判断を下すのか、まさに「歴史的」な選挙が迫っています。
 全国で埼玉で市民運動がひろがり、民進党や日本共産党などとの野党共闘を積極的にすすめる動きのなか、32の参院1人区で野党の候補者が一本化されました。この熱い情勢のなか5月29日、北浦和公園で「9条こわすな、戦争させない!安保関連法廃止!立憲主義を取り戻す5・29オール埼玉1万人総行動」が行われました。4回目となる埼玉総行動で民進党、日本共産党、社民党、生活の党の野党4党の代表が舞台にあがり、目前にした参院選で「埼玉から野党2議席の確保」を必ず実現するという決意が表明されました。主催者の小出重義実行委員長は「参院選で勝てるかどうかは、野党と私たちの熱意、気迫、本気度にかかっている」と訴えました。
 

埼玉から野党2議席を5・29オール埼玉総行動で参院選へ決起
 
県民の思い集めた集会=5月29日