民主県政の会ニュース167号

第167号 2016年7月1日

大震災被災の教訓活かせ
障害者・高齢者の避難対策を
6月県議会で村岡共産党議員が質問

 埼玉県議会6月定例が6月6日から27日まで行われました。議会では、知事からTPP(環太平洋連携協定)の対策を含む5億2595万円の一般会計補正予算など7議案が提出され審議が行われました。
 6月13日(月)には日本共産党の村岡正嗣県会議員が「大震災被災者支援と防災のまちづくり」や「高齢者の福祉と権利、生きがいと社会参加」「県内中小企業の振興」などについて、質問にたちました。村岡県議は熊本地震被災者への県の支援を要望したうえで、災害対策基本法が義務付けている障害者や高齢者など避難行動要支援者名簿の策定は市町村で一定進んでいると指摘。しかし「どの要支援者を誰がどう避難させるか」という避難支援に係る個別計画まで策定しているのは27市町村に過ぎず、早急に計画を策定するよう県の指導・援助を求めました。また熊本地震で問題になった避難所の有り方にも言及。要支援者にとって学校や体育館という一次避難所の生活は耐えがたく、2次避難所の福祉避難所への移行が求められているが、埼玉県では指定されているところでも対応困難な施設が少なくないと指摘しました。そのうえで、県が市町村の福祉避難所運営マニュアルの状況をつかみ、実効性あるものにするよう求めました。そして災害時の危機管理上も県の職員定数は削減でなく拡充すべきではないかと質しました。
 
■シルバーや中小企業振興でも
 
 村岡県議は高齢者の福祉と権利、生きがいと社会参加について「シルバー人材センター」の適切な運営や、だれもが安心できる介護保険制度の問題、県内中小企業の振興へ実態把握と実効性ある支援などについて質問しました。とくに建設産業振興では改正「担い手3法」にもとづく建設従事者の賃金や休暇などの実態調査と速やかな改善を強く求めました。
 
■強まる自民県議団の横暴
 
 議会運営委員会が、県議会代表質問は各会派の代表が行い、一般質問では代表者が行わないとする議会運営を自民・公明の賛成多数で決めました。理由は「代表質問に登壇した代表が一般質問も行えば、(他の議員と)発言の機会の平等性を担保できない」から。共産党や民進党などは反対しました。共産党県議団は、登壇者は各会派内で決めるべきだが、意見の分かれていることは協議して合意をつくるべきとしています。
 最近の県議会の運営は、知事の答弁時間制限などにもあらわれているように、自民党の横暴が目立ってきているように感じられます。
 

【お知らせ】6月県議会レクチャー

 埼玉県議会6月定例会は一般会計補正予算など可決して閉会しました。本議会の特徴や、日本共産党県議団の質問と県の答弁について、埼玉県民大運動実行委員会と民主県政の会の共催による「6月県議会レクチャー」が次の日程で行われます。役員ばかりでなく、労組や民主団体の担当者などの参加をお待ちしています。
 
◇日 時 : 7月20日(水)午前10時〜11時30分
◇場 所 : 自治労連会館3階(さいたま市浦和区)
 

【民主県政の会学習会】山田兼三・元南光町町長が講師
~8月5日(金)午後1時30分〜 自治労連会館3階~

 民主県政の会は、8月5日(金)午後3時よりさいたま市の自治労連会館3階会議室で、第69回代表委員会を行います。
 会議に先立ち午後1時30分より同会場で学習会を行います。「革新首長の役割と行政運営」の仮題で、兵庫県の山田兼三・元南光町町長がお話しします。

 山田元町長は、かつてマスコミでも取り上げられ、よく知られています。今回はマスコミなどで報じられてこなかったこと、とくに日本共産党員の町長が行政運営することの難しさや苦労、楽しさややりがいなど、生々しい話しをしていただく予定です。会の役員はもちろん、地域の会や団体の役員や個人など、誰でも参加できます。
 

不安な埼玉東部の地域医療
~久喜市で「考える会」がシンポジウム~

 久喜市など埼玉東部地域の医療問題が深刻になっています。
 今年4月久喜市の厚生連久喜総合病院が民間の医療法人「巨樹の会」に経営譲渡されました。今年4月から新病院が始まったばかりで、今度は同じ久喜市の済生会栗橋病院が、一部機能を残して加須市へ移転すると報じられました。久喜市は、久喜総合病院では簡単に譲渡を認めましたが、済生会病院については県済生会に対し白紙撤回を要請しています。県済生会会長でもある上田清司知事は「地域医療圏での合意を得るべき」としていますが、地域医療を守るために、県としての支援が求められているのではないでしょうか。
 6月26日(日)は市内で久喜地域の医療を考えるシンポジウムが開かれ(写真)本田宏元医師の講演や地域医療への不安を市民らが訴えました。
 

不安な埼玉東部の地域医療

 

重い税負担 換価の猶予で分納も

 消費税は商売が赤字でも、価格に転嫁できなくても納めなければならず、中小業者の経営を窮地に追い込んでいます。
 昨年、埼玉県商工団体連合会が全会員に実施した調査では、「消費税を価格に転嫁できない」が56%にのぼり、所得金額3百万円以下が57%に達しました。これでは健康で文化的な生活はできません。さらに国税や地方税、国民健康保険税などの社会保険負担は、所得が3百万円で83万円にもなります。憲法では税負担は「生活費に税金をかけない」ことと「応能負担」が原則です。負担能力を無視した税の取り立てが国・県・市町村でも行われ、売掛金や預金、家や土地も「まず差押え」と徴収強化が行われています。国民健康保険税の滞納世帯数が県内で23万人を超え、国保に加入している5軒に1軒が払えない状況です。国保税の引き下げと、申請型の減免制度の周知徹底、利用しやすい基準を求める必要があります。税金を一度に払えず分割して毎月支払いをしても、延滞税が年率9.1%かかります。「申請型」換価の猶予制度が国税では15年4月に新設され、納税者の「申請」に基づき分納できます。延滞税も年率1.9%と5分の1に減らせます。地方税の申請型換価の猶予も今年4月から実施されています。換価の猶予が認められると、突然の差押えを受ける心配もなくなり延滞税も安く安心して払っていけるようになります。(埼商連・山崎一良)
 

市町村で広がる子ども医療費助成県の支援でさらに拡大を
柴田泰彦氏民主県政の会特別代表

 「少子化」が言われる中、元気なのが滑川町です。「子育てするなら滑川町」といいたくなるような施策を実施しています。県中央部のこの町では、幼・保・小中学校の給食費を無料化し、併せて18歳までの子ども医療費を入通院とも窓口払い無しの無料化を実施しているのです。平成17年に15,434人だった町の人口が、28年6月1日現在で18,116人と、この10年で17%の人口増となっています。6年前に町内で3校目の小学校が新設されたことからも、若い人たちの社会増が認められます。その後、新座市や寄居町でも導入されるようになり、今年4月からは越生町、東秩父村へと増えてきています。子育てしやすい町づくりは地域が元気になります。滑川町は、18歳までの医療費無料化の施策のために今年度予算で6千5百万円を計上しています。寄居町では1億4百万円、新座市は6億4千万円となっており、県の助成が中学卒業までに拡大されればすべての市町村で18歳までの無料化実現への展望が開けます。
 埼玉県は就学前の子どもにしか医療費を県内自治体に助成していません。群馬、東京が中学卒業まで、栃木が小学校卒業まで、茨城、千葉が小学校三年生まで県が助成しています。昨年の6月県議会で、共産党の秋山議員の質問に対して上田知事は、「国が統一した制度として実施すべき」だとして、国がやらないことを理由に中学3年までの助成拡大を行わない考えを示しています。小中学校の児童生徒すべてに県の補助を拡大してもおよそ190億円程度の支出です。1兆8千億円の予算規模で、僅か1%程度にしかなりません。「子育てするなら埼玉県」、若い人たちが安心して子育てできる埼玉県を今こそめざすべきではないでしょうか。