民主県政の会ニュース168号

民主県政の会ニュース168号

第168号 2016年8月1日

県議会6月定例会レクチャー
いま国と地方の政治が県民を苦しめている
村岡正嗣・日本共産党県議が指摘

 県民要求実現埼玉大運動実行委員会と県民参加の民主県政をめざす埼玉各界連絡会(民主県政の会)の共催による埼玉県議会6月定例会レクチャーが7月20日、さいたま市の自治労連会館で行われました。
 日本共産党の村岡正嗣県議団幹事長が報告に立ち、県議会の特徴を詳しく話しました。村岡県議は、先の参院選と関連させて「国政と地方政治がつながり県民生活を苦しめていることを痛感した」と述べ、国の補助金削減で国保税が引き上げられたことや国の問題でもある貧弱な埼玉の医療体制など、県民生活を守るためには国政を変えなければならないと強調しました。

<県議条例改正案で知事を厳しく批判>

 そのうえで知事提出の県税条例改正案に共産党が反対したことを報告。消費税10%で広がる地域間格差に備えて、人住民税の一部を地方法人税として地方交付税の原資に充てるもので言語道断だと指摘、消費税増税はきっぱり中止すべきと訴えました。また法人事業税について外形標準課税である付加価値割・資本割を拡大し所得割の税率を引き下げようとしているが、黒字の大企業には減税、赤字の中小企業に増税を押しつけるもの」と厳しく批判しました。このほか、教科書採択と謝礼問題、建設労働者の賃金引き上げ・労働条件の実態調査、熊本地震を教訓とした避難計画、シルバー人材センターの請負業務を守ることなどについて質しました。さらに村岡県議の質問は、県がこれからも埼玉芸術劇場を支えること、埼玉会館などの設計にあたった前川國男氏とその作品の魅力を内外に広げることにも及びました。報告後、参加団体から質問や意見を交えて交流しました。
 

村岡県議(中央)のレクチャー
 
 

「18歳選挙権」教育現場での主権者教育強化を
世論調査研究センターが分析

 
 7月10日投開票で行われた参議院選挙では、改憲勢力が非改選議席と合わせて3分の2を占めました。
 注目された「18歳選挙権」では、県内全体の投票率51.94%(前回51.21%)に対し、18歳で59.54%(全国平均50.81%)19歳51.43%(全国平均39.66%)でした。世論調査の研究で知られている埼玉大学社会調査研究センターはこの結果について「高校現場での主権者教育が広がったことが要因のひとつ」と分析しています。また全村岡県議(中央)のレクチャー国の18歳、19歳の投票率が45.45%だったことに関しても「初めてにしては多かったのでは」と指摘し、「これから毎年18歳になる若者がいるわけで、5年、10年の長い目で小・中学生の段階からの切れ目ない主権者教育が重要」と強調しています。
 一方、上田知事は改憲勢力の3分の2超について、憲法改正を無理やり争点にした野党の失敗だと断定。しかし事前の世論調査でも憲法問題は戦争法と合わせて関心度が第3位だったことについては触れていません。
 

子ども医療費、障害者、保育などで市町村と懇談
16年度社会保障キャラバンが終わる

 ラバン行動が、5月30日から7月1日までの期間に県内63市町村のすべてを訪問し懇談しました。行政側からは延901人が出席、開会挨拶では市長のメッセージ朗読や副町長などから挨拶がありました。また約20自治体では、懇談事項の回答が当日文書で配布されました。社保協側からはのべ482団体、1,441人がご参加しました。
 
<熊谷・白岡ほかで、年度内に18歳まで医療費無料>
 
 懇談での主な特徴は、第1に国保で2018年度都道府県化に向けて法定外繰入が「今後は困難」「望ましくない」などとする回答が多く、県国保課のもとに3つのワーキンググループが設置され、年内には納付金、標準保険税が示されます。18歳までの子ども医療費助成では、長瀞町、熊谷市、白岡市が今年
度内に実施する予定との回答がありました。しかし熊谷市は今年度内の実施にあたり、国保税や市民税などの完納を条件とすることが検討されていて大きな問題となっています。第2に介護では特養ホーム問題が各地で論議されました。要介護3以上とする制限の問題や職員の人手不足、処遇改善を要望しました。第3に障害者差別解消法施行の具体化や入所施設の整備などを要望しました。第4に子育て分野で保育士確保と処遇改善を求めました。多子世帯の保育料軽減で「低所得世帯は無料」「所得360万円未満では第1子半額、第2子から無料」や、学童保育無料化などの自治体がありました。第5に生活保護の口頭での申請問題やケースワーカーの増員を要望しました。
 なお、要望書に対する市町村からの回答文書が7月末には届き、これらをもとに国や県に向けて要請を強めたり、また国会行動埼玉デー、県政要求行動などの運動につなげていくことが求められています。(埼玉社保協・川嶋芳男事務局長)
 

保育所待機児童増改善されず
急がれる抜本対策

 「保育園落ちたの私だ!」。一億総活躍が喧伝されながら、保育所待機児童の増加が深刻です。埼玉県でも2010年から2013年までは毎年、前年に比べ待機児童数が100人以上減少してきましたが、14年には2人、15年には192人増えて1,097人でした(「統計からみた埼玉県のすがた」)。その理由について県は14年に導入された「子ども子育て支援新制度」で入所希望者が増えたこと、親が求職活動中として除外していた待機児の一部をカウントするようになったからだと話しています。
 一方、県内の認可保育所数は10年の884から15年には1,026に142ヵ所増えましたが、潜在化する入所希望者数には追いつかず、待機児童数の増加になっているようです。また認可保育所に預けられず、無認可保育所や家庭保育、ベビーホテルなどに頼らざるを得ない方も多く、安心して預けられる保育所を求める声は、今後いっそう広がりそうです。
 

2025年 4千床超不足
県地域医療構想

 県の医療態勢では以前から医師・看護師不足が指摘されています。そんな中、不足する病床数についても懸念が強まっています。14年に成立した「地域医療・介護推進法」にもとづいて県が策定する「地域医療構想」原案では、「団塊の世代」が75歳以上になる2025年に、必要な病床数が県全体で4,187床不足する可能性が明らかになりました(別表)。
 とくに春日部、越谷など東部地域は、1,461病床も不足する予測です。久喜総合病院の経営譲渡や済生会栗橋病院の移転問題など、住民の不安は募るばかりです。

(7月22日 朝日新聞より)