民主県政の会ニュース169号

第169号 2016年9月1日

憲法に根ざし、住民と職員とともにすすめる町づくり
民主県政の会学習会「革新自治体の経験に学ぶ」

 8月5日(金)午後、さいたま市内で民主県政の会第69回代表委員会が行われました。会議前には「革新自治体の経験に学ぶ」題して学習会を行い、元兵庫県南光町長の山田兼三氏を講師に、すべての住民のいのちと健康をまもる、憲法を暮らしに生かした政治の大切さが話されました。住民はもちろん自治体職員の合意を得ながらすすめる行政運営と、そこから地方政治の発展的展望が切り開かれることを山田元町長の経験を通じて学びました。

<同和事業廃止と産業振興で財政再建>
山田氏は1980年10月から2005年9月まで7期25年、元南光町の町長を務めました。当時南光町は逆差別の同和事業で財政破綻寸前、住民も町職員も解同の横暴とこれを容認してきた現町長に強い怒りと不信感を抱いていました。町長選では隣町に住んでいた山田さんが急遽転居して立候補することになりましたが、町民の強い期待もあって見事当選しました。山田新町長は、ただちに利権の同和行政を廃止し住民が主人公の民主的町づくりに着手、住民とひざを交えた行政懇談会などを通じて町民・職員といっしょに「町づくり計画」を策定しました。歯科医のいない町に歯科診療施設建設を決定、公民館と歯科保健センターの合体施工などで町民の健康づくり運動を推進。これが高齢者で20本の歯を提唱した「8020運動」として国からも認められました。休耕田をつかって2百万本ものひまわりを植えた「ひまわりの里」は全国農村景観百景にも選ばれ、毎年大勢の観光客が訪れ地元農業を活性化させました。

山田氏は、地方自治の本旨は「日本国憲法を尊重し、平和とくらしにいかす政治をすすめ、憲法9条を守ること」と明言します。議会では時間制限を設けずに審議すること、行政と議会がなれ合いのない緊張関係を保つことが大事と強調しました。先の参院選で野党共闘が大きな成果を上げたが「戦争廃止・憲法9条まもれ」の共同の発展が、国政でも地方政治でも求められている話しました。

参加者は住民の思いや要求に寄り添い、地域に根差した産業振興を住民・職員といっしょに考えすすめていくことが革新首長の役割だと学びました。

同和事業廃止と産業振興で財政再建

「18歳選挙権」教育現場での主権者教育強化を
世論調査研究センターが分析

 7月10日投開票で行われた参議院選挙では、改憲勢力が非改選議席と合わせて3分の2を占めました。
注目された「18歳選挙権」では、県内全体の投票率51.94%(前回51.21%)に対し、18歳で59.54%(全国平均50.81%)19歳51.43%(全国平均39.66%)でした。世論調査の研究で知られている埼玉大学社会調査研究センターはこの結果について「高校現場での主権者教育が広がったことが要因のひとつ」と分析しています。また全村岡県議(中央)のレクチャー国の18歳、19歳の投票率が45.45%だったことに関しても「初めてにしては多かったのでは」と指摘し、「これから毎年18歳になる若者がいるわけで、5年、10年の長い目で小・中学生の段階からの切れ目ない主権者教育が重要」と強調しています。
一方、上田知事は改憲勢力の3分の2超について、憲法改正を無理やり争点にした野党の失敗だと断定。しかし事前の世論調査でも憲法問題は戦争法と合わせて関心度が第3位だったことについては触れていません。

上田県政4期目の1年間を総括
民主県政の会代表委員会

 代表委員会は午後3時から行われ、開会あいさつに続き宍戸出総括幹事から前回代表委員会後の日程・経過、ニュース編集体制の確立、会計報告、上田県政4期目の1年間について報告されました。

昨夏の知事選で争点になった戦争法について上田知事は「どちらかといえば反対」の姿勢でした。一方で多選自粛条例を覆して知事選に出馬したことで自民党が反発。議会では上田知事の権限を制約する自民県議団の横暴が強まりました。3月議会で可決された28年度予算案は、医療・介護、労働・雇用、産業振興など切実な県民の要求に応えるには不十分です。こうした点を踏まえ、①戦争法廃止の国民共同と野党共闘にむけて地域の取り組み強化、②各団体が子ども医療費や保育所問題など地域で市民共闘をつくる、③民主県政の会としてシンポジウムや学習会を開催することなど提案しました。

討論では社保協が子ども医療費無料化が広がる中で、国保税算定基準に子の数を入れているのは矛盾と指摘。埼教組は上田県政が国のやることしかやらないと批判、独自の支援を求めるなど意見交換しました。

「一部残すって、何を残すの」
利用者の不安置きざりに移転 新小児医療センター12月開院へ

 埼玉県が策定する「地域医療構想」原案では、必要な病床数が2025年までに4千以上不足する可能性が明らかになりました。とくに東部地域では1千5百近い病床不足が伝えられています。しかも久喜総合病院の民間譲渡や済生会栗橋病院の移転問題に加えて、蓮田市に隣接する県立小児医療センターがさいたま新都心に移転します。東部地域で安定した医療体制が維持できるのか、関係者の不安を広げています。

さいたま市岩槻区の小児医療センターが、様々な問題を残しながら今年12月、さいたま新都心に開院します。一方、現在地の跡地には医療法人社団「医凰会(いおうかい)」が岩槻診療所を開設。地元説明会では、障がい児の入所施設として長期入所28床、短期入所12床、18歳以上の療養介護20床を運営します。在宅療養支援のための外来診療は週2回から実施するとしています。また併設施設として90床の病院を設置、医療型障がい児入所施設との連携をはかるといいます。利用者は「一番必要なのは小児医療の救急・入院・NICU。久喜市の土屋病院(小児科)も経営がたいへんと聞いている。県が医凰会を支援
してでも小児救急を残すべき。一部残すと言っていたが何を残すのか」と発言、県の医療政策に対する強い不満と怒りはますます強まっています。

<済生会栗橋病院の加須移転問題>
久喜市など東部地域の医療に影響

久喜市の済生会栗橋病院が、老朽化などを理由に加須市に移転する問題で、久喜市は市民の要望を踏まえ、移転の白紙撤回を求めています。現在同病院と久喜市、加須市で「病院のあり方を検討する委員会」が設置され協議が続いています。
久喜市では今年4月、厚生連久喜総合病院が佐賀県の医療法人に譲渡されたばかり。医師の確保が不十分など、安定的な医療提供ができるのか不安視されています。今回久喜市は、栗橋病院に運営費として4千8百万円を補助するほか、施設や備品などの修繕費補助も行う予定です。これらは市の医療体制への危機感の表れといえます。市の担当者は補助金の支出に、同病院が「3次救急病院をめざしてほしい」と話しています。

「一部残すって、何を残すの」 利用者の不安置きざりに移転 新小児医療センター12月開院へ

「一部残すって、何を残すの」 利用者の不安置きざりに移転 新小児医療センター12月開院へ

県の最賃が845円に改定
フルタイムでも月額14万7千円

 埼玉県最低賃金審議会が8月5日、県の最低賃金を現行820円から25円引き上げ845円とするよう答申しました。これに対し埼玉県労働組合連合会(伊藤稔議長)は「改定額は最低でも900円以上、早期に1000円にするよう」求めて異議申し出を行いました。時給845円ではフルタイムで働いても月額14万7千円足らずです。「これでは結婚・子育ができる水準にはほど遠く、少子化克服という喫緊の課題にも応えられない」と指摘しています。
埼玉の最低賃金はこの10年間で143円引き上げられました。その前の10年間では50円の引き上げでした。最賃引き上げは埼労連はもちろん多くの県民の要求であり、たたかいの中での到達といえます。しかし非正規労働者の多くが今も最賃ギリギリで働かされており引き続き共同を広げ、たたかうことが求められています。

県の最賃が845円に改定 フルタイムでも月額14万7千円