民主県政の会ニュース170号

第170号 2016年10月1日

福島避難者の県営団地居住を守る
埼玉県議会9月定例会

「上尾シラコバト団地」17 年以降も無償提供
13 億8,304万円の補正予算ほか16件

 埼玉県議会9月定例会が9月23日に開会され、10月14日までの22日間の日程で行われています。議会では一般会計補正予算を含む16件の議案が提案されています。
 補正予算は6月の火災で損傷したさいたま水族館の復旧工事や埼玉農業の競争力強化に係る経費など総額13億8304万円を計上しています。また条例関係は5件で、とくに福島などからの自主避難者を県営上尾シラコバト団地に入居できるようにするため「埼玉県特別県営住宅の条例の一部を改正する条例」が提案されています。
 福島県は災害救助法にもとづき、各地方に移住した避難者に住居を無償提供してきました。しかし昨年6月、自主避難者については無償提供を2017年3月末で打ち切ると表明しました。埼玉県内には現在も、約1000人もの自主避難者がいますが、県営住宅に居住する方たちから「来年以降も引き続き県営住宅に居住させて欲しい」という強い要望が出されていました。先の6月定例会では日本共産党県議団もこの問題を取り上げており、避難者の要望が実現されるようすみやかな条例改正を求めていきます。

八ッ場ダムなど大型公共事業見直しを
 9月議会には、八ッ場ダム建設に関わって国土交通省の事業計画変更について同意を求める議案が提出されています。
 八ッ場ダムは、利水と治水等の目的で群馬県長野原町に建設中の国の事業です。埼玉県のほか群馬県や東京都など1都5県が建設費を負担しています。総建設費は2004年に2110億円から4600億円に増額され、今回はさらに5320憶円に引き上げられます。埼玉県は今回88億円の負担増です。県は04年の2月議会で「これ以上建設工事費を増額しない」決議をあげ、上田知事も国交省が「4600億円の枠内に収めるものと理解している」と述べています。県水の年間供給量は下がる一方で八ッ場ダムは利水上必要ないこと、基準点での水位の低減がわずかなことから治水効果も不十分と指摘されています。
 県は八ッ場ダムばかりでなく栃木県の思川開発や茨城県の霞ケ浦導水事業など、県民のくらしに必要なのか十分な説明もないまま大型開発に巨費を投じています。これらの問題については次号以下で検証していく予定です。

県や国・自治体に関する主な秋の諸行動予定(9月末現在)
 
 

県や国・自治体に関する主な秋の諸行動予定(9月末現在)

県議会9月定例会
□会期/9月23日(金)~10月14日(金)

埼玉大運動実行委員会国会行動
 10月5日(水) 10:30~
 10月19日(水) 10:30~
 11月2日(水) 10:30~
 11月16日(水) 10:30~
 *会場は10月19日を除き衆議院第2議員会館第1会議室。19日は衆議院第1議員会館国際会議室。

埼労連自治体キャラバン
□日程/11月14日(月)~18日(金)
 県内63の市町村を訪問し懇談。
□主な懇談内容/自治体職員、臨時・非常勤職員の賃上げと労働条件改善、公契約条例など。

県政要求共同行動
 11月10日(木)
 10:00~11:30 決起集会(ほまれ会館ホール)
 13:00開始予定 県との懇談
  社会保障(ほまれ会館)
  県政全般(自治労連会館)
 
 

変貌する埼玉の基地
危険な戦争法の先取り

 安保法(戦争法)のもとでいま、埼玉でも基地の強化などのうごきが顕著になっています。
 埼玉上空は日米安保条約のもとで、米軍横田基地が管轄する専用空域「横田エリア」にスッポリと覆われています。このため、米軍横田基地や厚木基地に出入りする米軍機が自由勝手に飛んでいます。2014年7月以降はオスプレイの飛ぶ姿が目撃されるようになりました。

「戦時病院」づくりの入間基地拡張

 入間市、狭山市にまたがる航空自衛隊入間基地に隣接する留保地に、自衛隊病院や災害対処拠点をつくる計画がすすんでいます。自衛隊病院は、自衛隊員やその家族を対象としたもので市民を受け入れる病院ではありません。それどころか、有事の際には、戦闘で傷ついたり、病気にかかった自衛隊員の軍事医療を行う「後送病院」の役割を担う「戦時病院」です。戦争法のもと、自衛隊がいつでも、どこでも、どんな目的でも海外に派遣され、戦闘行為と一体とみなされる任務を遂行する。そうなれば「殺し、殺される」危険も飛躍的に高まります。入間の自衛隊病院の建設は、自衛隊員が海外での戦闘で、傷つき倒れることを想定したものです。
 所沢にある防衛医科大学では感染症の基礎研究から治療に至るまで、感染症対処能力の強化がすすめられています。海外に派遣された自衛隊員が、得体のしれないウイルスに感染、未知の病に侵されることを想定したもので、自衛隊の海外展開と密接な関係があります。
 陸上自衛隊朝霞駐屯地には、陸上自衛隊全体を一手に束ねる陸上総隊の司令部が置かれます。すでに海上自衛隊は横須賀に、航空自衛隊は横田に、と戦闘部隊の司令部を在日米軍の司令部と同じ場所に置いています。2016年度の防衛省予算には、司令部庁舎などを新設するために91億6千万円が計上され来年度予算の概算要求ではさら80億円が計上されています。
 このように県内の自衛隊基地は規模も戦闘能力も拡大され海外派遣の拠点としての役割を担うことになります。
 埼玉では、11月20日(日)13 時30分より県営彩の森入間公園で「入間基地拡張ストップ!埼玉県集会」が5千人規模で行われます。みんなで誘いあって参加しましょう。(埼玉県平和委員会・二橋元長事務局長)
 
 

職場の労働条件悪化は住民の命と安全も脅かす
柴田泰彦氏特別代表委員

 知ってますか?埼玉でも駅の「無人化」が増えています。JR東日本は「お客様の利便性を向上するとともに、ご利用状況に合わせた効率的な駅運営をめざして、2014年2月より首都圏の18駅に『駅遠隔操作システム』を導入します」として、初電から午前6時30分までの無人化を始めました。最初は武蔵野線東所沢駅・新座駅で、2015年4月から吉川・新三郷・三郷駅が加わり、2016年4月から宇都宮線・高崎線でも宮原・東大宮・白岡駅等を追加しました。
 無人の時間帯は自動改札機が使えない切符での入場や、車椅子利用者などの乗車はできません。何かあった時は、隣接する「管理駅」の駅員がインターホンで対応します。これには不安の声が上がっています。線路に物を落とした、急病人が出た、乗客が線路に転落した等々、駅員が現場にいなければ乗客の判断で対処せざるを得なくなり、場合によっては生命の危険にさらされることにもなりかねません。
 高齢化が進む中、自家用車を使えない人々の安心・安全な交通手段の確保も急務です。本数も少なく時間がかかりすぎるコミュニティーバス、料金が高くて利用しにくいタクシーなど、埼玉県でも住民の基本的人権である「交通権」が揺らいでいます。
 「交通過疎」を逆手にとり、スマホのアプリを使った「ライドシェア」導入を目論む「楽天」など、IT仲介業者が新たな儲け口を実現しようとしています。
 住民の命と安全を守るべき「公共交通機関」の破壊は、そこで働く労働者の労働条件も脅かしています。国労や自交総連など労働組合が呼びかけます。「今こそ労働組合と地域住民が、関係自治体とも連携協力してこの問題に取り組もう」と。当然、埼玉県政の問題でもあります。次号でもう少しこの問題を追いかけてみます。