民主県政の会ニュース171号

第171号 2016年11月1日

八ッ場ダム追加予算や
次世代施設園芸拠点整備など検証必要な事業も

県議会9月定例会おわる
 
 埼玉県議会9月定例会は10月14日、県農業技術研究センター久喜試験場でトマトの土耕栽培の技術を実証・研究するための整備費6238万円を盛り込んだ総額122億7729万円の2016年度一般会計補正予算案など、38議案を可決して閉会しました。
 9月定例会での焦点のひとつは群馬県長野原町に建設中の八ッ場ダム建設をめぐり、総事業費を4600億円から5320億円に720億円も増額(埼玉県の新たな負担額は88億円)する基本計画変更案でした。この問題では2004年に事業費が引き上げられたとき「これ以上の建設工事費を増額しないこと」などを内容とする決議が全会一致で議決されています。また9月定例会には追加負担に反対する請願が提出されていましたが、日本共産党県議団を除く会派が反対し却下されました。
 
<医療、農業振興でも議論>
 
 このほか定例会で、埼玉県地域保健医療計画の変更について県は2025年の県内医療機関の高度急性期と急性期の必要病床数が6720床過剰になると明記しています。しかし全国でも高齢化の進行が顕著な埼玉県で、こうした見通しは実態を無視したものです。現在でも病院が受け入れできずに救急車での搬送を拒否される事例が発生しています。このような変更計画は見直されなければなりません。埼玉次世代施設園芸拠点の整備では、トマトの水耕栽培と土耕栽培技術を実証し県内農家に普及するための「次世代技術実証・普及センター(仮称)」の整備予算1億4433万円あまりが計上されました。これらの施設整備には流通大手のイオングループが関わっており、特定企業への支援と指摘する声もあがっています。
 定例会後には、日本共産党、民進党・無所属の会、無所属県民会議、無所属改革の会が共同で、総合的に議会改革に取り組むための特別委員会設置を議長に申し入れました。
  
 

誰もが安心できる社会保障を
25条埼玉集会へ

 
 アベノミクスで大企業・大資産家は膨大な利益をあげ国民には低収入と増税、社会保障切り捨てが襲いかかっています。
 憲法25条は、すべての国民に文化的な最低限度の生活をする権利を保障しています。しかしいま「働いても余裕が持てない」「年金だけで暮らしていけない」…そんな声が広がっています。さらに社会保障制度改革推進法で自己責任ばかり強調され、憲法が補償している生存権や国の責任が骨抜きにされようとしています。誰もが安心して、人間らしく生きることのできる社会保障制度を求め「すべてのくらしは25条から、11・26埼玉集会」が開かれます。
 
 日時 11月26日(土)14時〜
 場所 埼玉県県民健康センター
 主催 25条埼玉実行委員会

TPP
農業はじめ広がる懸念 “強行採決”は認められない

 安倍首相がTPPの国会批准を最重要課題としている国会審議が山場を迎えています。
 国会でTPPが主要議題になって以降、「生産者米価を引下げる役割を果している裏金・調整金の暴露」「国内農産物の価格補償や食品の安全基準などが輸出の妨げと判断された場合、外国企業から国が訴えられるISDS条項」「安倍首相の意向をくんだ強行採決発言」問題で国会審議が空転するなど、これまでにない動きが出ています。
 このことは埼玉農民連などが、この間運動で訴えてきたTPPの危険な本質が国民に明らかになってきたものです。埼玉食健連では連日の国会前座り込みや議員要請などと連帯し、12月にはJAや労働組合などに呼びかけ、浦和駅頭での宣伝行動を計画しています
  
農業はじめ広がる懸念 “強行採決”は認められない
 
 

なぜ頻発する?運休ダイヤ乱れ、直通運転も要因か
東武・西武・東急・東京メトロ(柴田泰彦氏 特別代表委員)

 2016年8月2日から10月19日までで4私鉄に限っても東武鉄道2路線10件、東京メトロ3路線14件、西武鉄道1路線13件、東急電鉄2路線18件、合計55件の列車遅延が発生しました(「yahoo! alerts transit」による―この項以下同じ)。原因は、落雷・台風など自然現象が11件、線路内立ち入り・乗客の救護・人身事故など21件、車両ドア・ポイント・架線など車両故障が23件です。相互乗入れ・直通運転が増えているので、1か所の発生が複数の路線運行に影響を与えます。例えば東急東横線内で車両トラブルが発生すると副都心線・池袋線・東上線の3路線も同時に遅れるという具合です。55件の遅延、実際は70件の遅延なのです。
 
他の私鉄より多いJRの遅延
 
 今回のYahooデータに含まれないJR東日本ではどうでしょうか。2014年、国土交通省が平日5日間当たり10分以上の遅延発生回数を発表しています。1位は埼京線の3・1日、5日間で3回以上の遅延です。2位が横須賀・総武快速線、3位が東海道本線、4位に宇都宮・高崎線が入っています。同じ資料で東京メトロ9位、東急16位、西武22位、東武26位ですからJRの遅延は断トツです。原因が自然災害の場合はある意味やむを得ないとして、車両故障と人身事故は、旅客輸送の定時運行・安全運行を旨とする鉄道事業者の責任大です。
 
軸の亀裂はいつできた
 
 2016年年5月18日、東武東上線の中板橋〜大山間で、池袋行普通電車5両目後ろ寄り台車の2軸が脱輪し、車体が傾きました。乗客の押した「非常通報装置」で運転士が非常ブレーキをかけ、緊急停車させました。乗客にケガはありませんでしたが事故車両が終日、現場で動けず多くの利用者に多大な被害を与えました。事故を起こした10000型は製造後30年以上経過で、東武鉄道現役最古参級の車両です。車軸には幅2㎝長さ15㎝にわたる亀裂も確認され、車両の安全点検など不備がなかったかなどが問題となります。 (以下、次号につづく)
 
なぜ頻発する?運休ダイヤ乱れ、直通運転も要因か 東武・西武・東急・東京メトロ
 
 

県の大型事業を検証する シリーズ1
膨れあがる八ッ場ダム事業費(日本共産党埼玉県議団事務局 小久保剛志)

先の県議会9月定例会で、八ッ場ダムの基本計画を変更し、事業費を720億円増やすことに同意する議案が共産・改革以外の賛成多数で可決されました。事業費は総額約4600億円から約5320億円となり、埼玉県の負担は新たに約88億円増えることとなりました。
 
事業費増額 国の約束違反は重大
 2004年に事業費が約2110億円から約4600億円に引き上げられたとき、埼玉県議会は「これ以上の建設工事費を増額しないこと」などを内容とした決議を全会一致で議決しました。上田知事もこのときの増額について「不当に値上がりした」「国土交通省もこの4600億円を引き下げる努力をするという約束をしている」との認識を示していました。さらなる事業費増額は、まさに国の約束違反であり重大です。
 専門家からもダム建設予定地の吾妻渓谷は地すべり地帯で岩盤が脆弱なため、建設費が膨らむ可能性を指摘されてきましたが、まさにその通りとなりました。今後の試験湛水などで新たな問題が発生すれば事業費がさらに膨らみ、県民負担がいっそう増える恐れがあります。水道料金への影響も明らかにさらに、八ツ場ダムが稼働する2020年度以降には、県営水道事業では、減価償却費や維持管理費として毎年24億円の新たな支払いが生じ、収支の赤字見通しから県営水道の料金値上げの可能性もあります。八ッ場ダム建設によるさらなる負担増は県民の理解を到底得られるものではありません。
(次号に続く)