民主県政の会ニュース172号

第172号 2016年12月1日

小児医療センター跡地に医療型障害児入所施設
埼玉県議会12月定例会開かれる

 埼玉県議会12月定例会が2日から開会されます。2016年度補正予算を含む21件の議案が提出される予定です。
 一般補正予算は8億8、382万円です。神奈川県相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件をうけ、県内の社会福祉施設等に防犯カメラなどを設置するための補助費3億1、302万円や、児童相談所が保護した子どもを短期間滞在させる「一時保護所」の生活環境の改善費5、721万円などが計上されました。また病院事業会計には、小児医療センター跡地に医療型障害児入所施設を整備するための改修費8億8、340万円が2年間の債務負担行為として盛り込まれました。

2019年ラグビーW杯熊谷新スタンド建設も
 主な議案としては、屋外広告物の許可等39事務を処理する権限を市町村へ移す条例改正案や荒川左岸南部流域など6流域の下水道の維持管理及び設置などに要する自治体負担額の見直し案などです。さらに、上尾運動公園など県有3施設の指定管理者の指定や2019年のラグビーW杯にむけた熊谷ラグビー場新スタンド等の建設工事契約案件なども審議されます。
 会期は12月22日までの21日間です。
 12月定例会では日本共産党県議団が本会議で一般質問を行います。12月9日(金)午後3時から柳下礼子県議団長が行う予定です。

お問い合わせは日本共産党県議団事務局まで。
電話048―824―3413。
 
小児医療センター跡地に 医療型障害児入所施設
 
 

水が溜まらない?ムダな思川開発事業は中止を
県の大型事業を検証する2(小久保剛志 県議団事務局)

 
 栃木県鹿沼市に南摩ダムと付近の河川を結ぶ地下導水路を建設する思川開発事業。総額1、850億円の巨大水資源開発事業は国による事業検証が終了し、事業継続が決定されました。平成27年度末までに累計で約870億円(47%)の予算が執行見込みとなっています。
 埼玉県はすでに約14億円の負担金を支出し、今後も約155億円を負担する見通しです。本年度の県予算では利水・治水合わせて5億3千万円以上が計上されています。
 
導水しなければ水のたまらないダム
 民主党政権以来、ダム建設を継続するか検証をしている状況でしたが、周辺整備は着々と進行し、用地取得、県道改良、仮排水トンネルは100%、工事用道路99%、付け替え県道は67%が完了し、残すはダム本体と導水路となっています。
 日本共産党埼玉県議団は10月17日、梅村さえこ衆議院議員はじめ関係自治体の議員とともに南摩ダムの建設予定地を初めて視察しました。建設予定地を望む展望台にあがりましたが、見事なV字渓谷でここをダムサイトの適地とした理由がよくわかりました。ダム底を流れる南摩川は流量が非常に小さく、まるで小川のような川です。山を越えた黒川と大芦川からトンネルで導水しなければ、ダムに水がたまらないことがよくわかりました。
 
治水でも利水でも必要のないダム事業
 もともと、3つの川から導水する計画でしたが、大谷川が地元自治体の反対で導水ができなくなりました。2本の川でダムの貯水量が確保できるのか。疑問の声は当然です。
 人口減少がすすみ、水道用水の需要も縮小傾向が続いています。水がたまるかわからず、治水でも利水でも必要のない無駄なダム事業は中止すべきです。
 

国保の都道府県化国保税引下げを
国民健康保険制度の大「改正」(埼玉社保協  川嶋芳男 事務局長)

 
 国民健康保険が1958年に国民皆保険として開始されてから60年を迎えようとしていますが、制度の大きな改正が実施されようとしています。2018年度から市町村が運営委員する国保に県が加わり、財政運営を担います。医療機関への医療費を支払う責任は埼玉県が担いますが、必要な財源は市町村から拠出してもらいます。保険証は「埼玉県国民健康保険証」に変わります。地域の実情に沿って病院や診療所を運営することは市町村国保の大事な任務として今後も継続します。
国保税率統一で引き上げ心配
 そこで、埼玉県国民健康保険に変更されることから、「国保税率を統一したい」という意見が出されて県を中心に検討が行われています。11月10日に行った県政要求共同行動による県からの回答では「当面は統一しない」「将来に向けて検討」となっています。たいへん心配です。既に大阪府は保険料統一の方針を明確にしています。北海道では納付金を仮算定し結果、所得200万円夫婦二人の保険料の場合で比較した結果、市町村間の格差が現在の2・26倍が1・3倍に是正されるとしています。実際には半数以上の市町村で保険料が上昇し、14市町村は30 %以上値上がりします。
 現在県と市町村は、県に納める「納付金」などについて協議を行っています。市町村は2018年3月議会で新たな保険税率を定めます。「払える保険税」「保険税引き下げ」を実現される運動は、2017年度が正念場です。
 いま県民のくらしに不安を与えているのは、国保ばかりでなく介護問題があります。来年から介護サービス運営の一部を県から市町村に移します。保険料やサービス水準はどうなるのか注視する必要があります。
 
国保の都道府県化 国保税引下げを
 
 

「コスト削減」「利益優先」の
アウトソーシング 労組がチェックを(柴田泰彦氏 特別代表委員)

 自公政権の下、本来業務の分社化・民間委託などアウトソーシングが進められてきました。東武鉄道も、車両のメンテナンスを「東武インターテック」に、線路と電気関係の保全を「東武エンジニアリング」に、乗車券の発売や改札口、ホームでの乗客の安全確保など駅の業務全般を「東武ステーションサービス」という、東武鉄道が100%出資する子会社に業務委託しています。この三社の労働者は2575人と、東武鉄道正社員の6割を超える規模です。しかも彼らは、東武鉄道本体の正社員と比べて賃金は6割程度、福利厚生制度も劣悪です。こうした状態を放置しておいて、旅客の命と安全が守れるでしょうか。
 「コスト削減」「利益優先」のために行うこのようなアウトソーシングに対して労働組合がしっかりチェック機能を発揮することが求められるのではないでしょうか。東芝、三菱自動車など大企業の相次ぐ不祥事も、労働組合が看過してきた結果との指摘もあります。日本国憲法が言う、国民の基本的人権としての交通権を確立するため、地域住民と交通関係労働組合、地方議員などが今こそ力を合わせ、みんなの声を集めて会社に改善を迫りましょう。
 

高知県の雇用・産業を学ぶ
民主県政の会と県議団が高知視察

 民主県政の会と日本共産党埼玉県議団は、11月15日から17日まで高知県庁などを訪れ、県の産業振興や雇用対策などについて関係者と懇談し、また南国市や四万十町の現状を視察しました。視察は民主県政の会の代表委員会で山田兼三元南光町長の経験を学習した際、独自の県政運営をすすめている高知県の実践に学ぶことが提起され、県議団を中心に企画をすすめてきたものです。
 その詳細については次号に掲載します。