民主県政の会ニュース174号

第174号 2017年2月1日

住民と市町村に負担増の
国保運営改定 2018年度に移行

 埼玉大運動実行委員会と民主県政の会による12月県議会レクチャーが1月13日午前さいたま市内であり、日本共産党の村岡正嗣県議から今日の県議会や上田県政の動静が報告されました。とくにいま市町村から県に運営が移行される国民健康保険制度改革が、県民に大きな負担と影響を与えようとしています。
 
 2018年度から国民健康保険制度が改定され、運営が市町村から都道府県に移行します。これまで市町村に入ってきていた保険料等はすべて都道府県国保会計に入ることになります。
 県は昨年9月議会で、県の国保運営協議会設置や埼玉県地域医療構想を提案し、日本共産党県議団は反対しました。12月に県から提出された資料では、県内各市町村に課せられる県への納付金や一人当たりの標準保険税額が示されています。

国保税も、県への納付金も増える
 市町村から県への納付金は、①応益分に重きを置くケース、②県の所得水準(全国比)によるケース(原則)、③応能分に重きを置くケースの3つの試算が示されています。改定される納付金は、現行制度と比較して7〜17%も増える自治体(蕨市、戸田市、白岡市など)があります。
 また国保税のシュミレーションでも3つの試算を出していますが、平均31%増となっています。とくに蕨市は176%超えです。さらに国保税を抑えるため市町村が行っている一般会計からの法定外繰り入れをペナルティーとして、交付金が出ない可能性があります。このような改定は県民の暮らしを直撃するもので、到底受け入れられません。県は別表の工程で制度改定をすすめる計画です。

国保運営改定への主なスケジュール(県ホームページより)
 2017年3月 運営方針案の決定
      4月 市町村の意見聴取
      7月 県民パブコメ
      8月 運営協議会答申
      9月 運営方針決定・公表
      10月 18年度予算要求、納付金仮算定提示
      12月 関係条例の制定
 2018年1月 納付金等本算定
      2月 標準保険料率公表
      3月 18年度予算成立

12月県議会レクチャー=1月13日
 
 

下水道市町村負担金引き上げ
12月県議会、自民党の賛成で強行決定

 県議会レクチャーでは国保制度改定について詳報されたほか先の12月定例会で下水道市町村負担金の引き上げが行われたことが報告されました。
 関係する自治体は荒川左岸南部のさいたま市、川口市、上尾市、蕨市、戸田市と、中川流域のさいたま市、川口市、春日部市、草加市、越谷市、八潮市、三郷市、蓮田市、幸手市、吉川市、白岡市、伊奈町、宮代町、杉戸町、松伏町、古利根川流域の加須市、久喜市、利根川右岸流域の本庄市、美里町、神川町です。これらの自治体では、下水道料金引き上げで新たな住民負担につながることが懸念されています。収支均衡の観点だけで、運営費の上昇を自治体に負担させるのでは、ますます流域間格差を広げ、単価の全県統一実現に逆行します。
 また27年度一般会計・特別会計決算で、マイナンバー制度実施のための3億1千万円や八ツ場ダムへの21億円などの支出が審査され、日本共産党県議団はいずれも反対しました。
 
 

前島英男氏(さいたま地区労議長)がさいたま市長選に立候補表明
幅広い野党共闘で市長選をたたかう(5月7日告示5月21日投票)

 次期埼玉県知事選挙まであと2年半になっています。民主県政の会は県民が安心して生き暮らせる埼玉県をつくるため、県民要求にもとづいて、上田県政をどう見るのか、また政策や候補者を含めて選挙をどのようにたたかうのかなど、幅広い議論を続けています。
 いま、県内のいくつかの市町村で首長選挙が予定されています。県民のなかには、国政選挙ばかりでなく市町村長選挙でもいわゆる「野党共闘」を期待する声があります。それぞれの市町村で考える問題ですが、民主県政の会としても注目しているところです。

◇              ◇

 県内で最も人口が多く政令指定都市のさいたま市は、今年5月7日告示、21日投票で市長選を行います。
 1月26日さいたま市内で「みんなのさいたま市をつくる会」から前島英男氏が市長選に出馬すると発表しました。前島氏は地元さいたま市(旧大宮市)内で、37年間教員として勤めてきました。記者発表ではその経験から「貧困から子どもを守るため、少人数学級、給食費の無料化、トイレの洋式化など生き生きした学校生活の確保する」を強調、また民主主義を守る観点から「九条俳句」問題の解決などにこだわって市政運営を行いたいと決意を表明しました。
 また記者の質問に答える形で今後も幅広い「野党共闘」を追求していく考えに言及、今後も市民要求実現のために必要な運動に取り組む決意を明らかにしました。
 
前島英男(まえじま ひでお)
1953年4月12日生まれ63歳(妻・一男・一女)、さいたま市北区在住、埼玉大学教育学部卒、さいたま市内で37年間小学校教諭。
現さいたま地区労議長、埼労連副議長他

前島英男(まえじま   ひでお
 
2017年実施予定の県内市町村長選挙の日程(2月1日現在)
□越生町長選挙1月31日告示  2月 5日投票
□朝霞市長選挙2月19日告示  2月26日投票
□桶川市長選挙4月 9日告示  4月16日投票
□秩父市長選挙4月16日告示  4月23日投票
□吉見町長選挙4月18日告示  4月23日投票
□松伏町長選挙5月 9日告示  5月14日投票
□和光市長選挙5月14日告示  5月21日投票
 
前島氏のさいたま市長選立候補会見
 
 

職員を減らして県民の命、暮らしを守れるか
「埼玉県5か年計画大綱」で企業経営の感覚強調

 県は2017年度から21年度までの基本施策「埼玉県5か年計画大綱―希望・活躍・うるおいの埼玉―」を発表しました。
 大綱では埼玉県の目指す将来像や時代の潮流を示し、今後5年間で県民とともに取り組む施策を打ち出しています。
 計画実行のために必要な仕組みとして分野別の施策ごとに県が達成すべき内容、達成水準を数値目標(施策指標)を設定すること、県民生活全般の向上に視点を置いた施策評価を行うとしています。また効率的で効果的な県政運営を強調し、より少ない費用で大きな効果を上げる「費用対効果」を重視しています。さらに「今後はオリンピック・パラリンピックなどを機に県の行政需要は増加する……引き続き“人口当りの職員数が日本一少ない『最小、最強の県庁』として効率的な組織運営”を行うとしています。
 国からの権限移譲があるとはいえ、すでに地方分権の名で市町村には業務や財政負担などが押し付けられています。県は職員を減らして業務でも費用対効果を強調するなど、民間企業と見まがうような「経営」感覚で県政運営をすすめようとしています。これで災害対策や介護・医療、保育など、県民サービスの維持・向上が守られるのか懸念する声が広がっています。