民主県政の会ニュース175号

一般会計予算1兆8644億円少子化対策・経済対策などただす
日本共産党村岡正嗣県議に聞く

 埼玉県議会2月定例会が2月20日開会し、2017年度の一般会計予算をはじめ43議案が審議されています。会期は3月27日まで。2月定例会の議案で上田知事があげる3つの特長や、日本共産党県議団としてとくに重視している問題について、県議団幹事長の村岡正嗣県議に聞きました。
◇      ◇
 一般会計予算は総額1兆8644億円、特別会計、企業会計を含む全予算は2兆7371億円となります。
 上田知事は提案説明で3点の特長をあげました。第1は、人口構造の変化への挑戦として実効性ある少子化対策を強調しています。しかし私立学校父母負担軽減の拡充ぐらいで、県民や教育関係者の強い要望である少人数学級の拡大や、子ども医療費無料化の年齢拡大は含まれていません。第2は、強い埼玉経済で先端産業創造プロジェクトや儲かる農業づくりを掲げていますが、これらは一部の企業と農業での企業参入促進であり、本県経済を支えるすべての中小企業支援策ではなく、また中山間地農業や営農意欲のあるすべての農家支援策にはほど遠いものです。第3は、地域の安心・発展として、駅のホームドア設置補助制度をあげていますが不十分な内容です。
 その一方で、ムダな開発事業である「八ッ場ダム」建設や「南摩ダム」(栃木県)事業に71億円が計上されています。県単事業であった重度心身障害者への医療費補助制度は廃止されたままです。

県民のくらし守る5カ年計画を―共産党修正案

 本定例会では2017年度〜2021年度の向こう5年間の埼玉県の最上位計画となる「5か年計画」が決められています。日本共産党県議団は、児童虐待や介護認定、学力調査などに修正案を提案しました。
 議員提案では、山岳遭難にかかわる防災ヘリコプターの手数料を徴収するための条例改正が提案されましたが、遭難者は救助方法を指定できるわけでなく、むしろ、山岳遭難救助に障害となりかねず県議団としては反対です。また県議会議員の費用弁償にかかわり、定額支給から実費負担とする条例改正には賛成です。
 埼玉県の行った「県政世論調査」では、県政の要望の第一位は「医療サービス体制の整備」、第二位は「高齢者の福祉の充実」です。今回提案の予算は、こうした県民の声に応えるものではありません。
 
 

県議会レクチャーと高知視察報告
民主県政の会第70回代表委員会
団体・地域から参加を

 民主県政の会は3月28日午後、「第70回代表委員会」を開催します。
 次期県知事選挙まで2年4ヵ月。民主県政の会では選挙後も県政の動向や県民要求・世論と運動、県議会の様子など会議で議論するとともに、加盟団体や地域に対して発信してきました。
 3月の代表委員会では、日本共産党柳下礼子県議団長が2月定例会の議案審議と日本共産党の質問などについて報告します。また村岡正嗣幹事長が昨年11月に行われた高知県の産業政策視察について報告します。財政規模も小さな高知県ですが、県知事、職員、県民がいっしょになって産業振興に取り組んでいる姿が見えてきます。代表委員だけでなく、各団体や地域のみなさんにも参加を呼びかけます。
■日時3月28日(火) 13時30分開会
■場所 自治労連会館3階
 
 

条例改正は10件 県警職員増員など

 2月定例会では、条例関係が10件提案されています。前記の他、公共施設の長寿命化などの計画を推進する財源として、基金を設置するための新たな条例制定や、また県費負担だった教職員給与費のさいたま市(5179人対象)への移譲に伴う学校教職員の定数の改定、県警職員の階級別の定数を64人増やすため条例の一部改正です。
 代表質問や一般質問が終わり、17年度当初予算案などの集中審議は、予算特別委員会で3月9日より部局別に行われます。
 
 

危険がいっぱい 埼玉の空
県内にも飛来するオスプレイ 飯能市・日高市でも目撃

 2012年夏以降、県北・県西地域を中心に、米軍横田基地所属のC130輸送機による低空・編隊飛行が繰り返され、騒音被害や墜落・落下事故の危険が取りざたされています。
 また、横田基地ではC130輸送機からパラシュートで降下する訓練=「サムライサージ」が実施されるようになり、飛行回数も増加。福生市の「航空機騒音調査」によると、飛行回数は2015年度で1万1895回。「世界一危険」と言われる沖縄の普天間基地での飛行回数1万1105回を上回るものとなりました。
 2014年7月以降は、米軍横田基地、厚木基地に飛来する米海兵隊のMV22オスプレイが、飯能市、日高市上空を通過する様子も目撃されています。昨年10月23日に朝霞訓練場で開催された陸上自衛隊観閲式では、「祝賀飛行」と称してオスプレイが飛来。所沢市、川越市、上尾市、さいたま市、朝霞市などで目撃されています。

県や国に安全と基地対策を要望

 米国防総省は2015年5月11日(米国時間)、横田基地にCV22オスプレイ(空軍仕様)の特殊作戦飛行隊を配備すると発表。2017年後半に3機、21年までに残りの7機を追加する予定です。横田基地にCV22オスプレイが配備されれば、公然と埼玉上空を飛ぶことは必定です。
 埼玉県平和委員会では、オスプレイの横田基地への配備撤回や埼玉上空の飛行中止などを国に対して申し入れるよう、埼玉県に要望。これを受けて県や基地所在自治体などで構成される埼玉県基地対策協議会は、「平成29年度基地対策に関する要望書」で、安全飛行の徹底や県民・地元住民への十分な説明などを、防衛省・外務省に要望しました。しかし、現時点ではまだ、具体的な進展はありません。

千葉県にはオスプレイの整備拠点が

 千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地に、オスプレイの整備拠点がつくられようとしている問題とあわせ、オスプレイの問題は、埼玉を含め首都圏全体で取り組むべき課題になってきています。(二橋元長・埼玉県平和委員会事務局長寄稿)

osplay

高校統廃合でなく少人数学級教職員増の実現を
埼玉県高等学校教職員組合中央副執行委員長  弘津次久
県教委「魅力ある県立学校づくり」を批判する㊤

 埼玉県教育委員会は、2016年3月に「魅力ある県立学校づくりの方針」(以下「方針」)を策定し、公表ました。
 その趣旨について「方針」は、「本県の10年先を展望すると、少子高齢化や生産年齢人口の減少などにより、社会や経済における活力の低下が予想されます。…〈中略〉…こうした中、県教育委員会は、グローバル化や知識基盤社会の進展、産業構造の変化などに対応するとともに、社会で活躍するための汎用的な資質能力の育成などを目指した今後の県立学校の教育の針路を示すため…」(第1章1方針策定の趣旨より抜粋)としています。
 「方針」はこのような基本的な考え方にもとづき、「県立学校の活性化・特色化」(第3・4章)「教育環境の整備―県立高校の再編整備」(第5章)として、施策の方向性を示しています。

子ども達の成長発達を後景に追いやる

 特に第5章では「〈前略〉学科再編や統合などにより、県民の生徒、保護者のニーズに応える特色ある県立高校の設置を検討します。」 「〈前略〉このため、適正規模を下回る学校については、県立高校の教育の活性化の観点から、地域性を考慮しながら近隣の学校との統合などによる再編整備を検討します。」として、言葉は濁していますが、高校統廃合の方針を打ち出しているのです。
 要するに「方針」は、「活性化・特色化」の名の下、国家戦略をになうグローバル人材の育成にシフトし「再編整備」と称して、すべての子どもたちの個人としての成長発達の保障を後景に追いやろうとしています。(次号に続きます)