民主県政の会ニュース176号

「2月定例会」「高知県産業振興視察」報告を学ぶ
民主県政の会第70回代表委員会

 3月28日(火)さいたま市の自治労連会館で、民主県政の会第70回代表委員会が行われました。会議に先立ち、日本共産党埼玉県議団から「(県議会)2月定例会を振り返って」と「高知県産業振興視察」の二つの報告が行われ、上田県政と県議会の様子、高知視察から見える県政のあり方など学びました。

 報告の一つは柳下礼子県議の「2月定例会を振り返って」でした。今議会では、平成29年度一般会計予算など70件の議案が提出されました。日本共産党は、八ッ場ダムや思川開発事業への負担金や、乳幼児医療費助成制度で自治体の財政力を理由に補助率で差別することは問題だとして、当初予算など10件に反対しました。
 また、全国的に関心を呼んでいる「防災ヘリの有料化」が自民党から提出されました。共産党県議団は、埼玉県の山岳遭難では「道迷い」が多く有料化では無謀な登山は抑制できないこと、マリンスポーツや町中でも危険は潜んでおり、山だけ、埼玉県だけ有料化することは法の下の平等に反することなどを理由に反対しました。
 一方、米軍輸送機オスプレイの県内飛行や米軍基地負担に関する質問では、上田知事が「基地関連収入で経済が回っているようなことはない。返還で活用されるほうが国民に有益」と答弁する場面がありました。
 報告の二つ目は村岡正嗣県議が「高知県産業振興視察レポート」と題して行いました。
 高知県視察は昨年11月、民主県政の会などと共同で行われたもの。高知県は埼玉県と比べ約10分の1の人口で、財政力指数も全国第46位という産業振興では大きなハンデを抱えています。県の大部分を山間地に囲まれ、南側には太平洋が広がる高知県。尾崎正直知事の県政は、埼玉県でも大いに参考になることを伺わせました。詳細は次号以降に掲載します。

民主県政の会News176号2

「授業料無償、年収609万円未満世帯まで私学も無償に」の潮流さらに強まる
埼玉私教連 櫻井昭吾中央執行委員長・寄稿

 2010年度、公立高校の授業料無償化に伴い、全国的に私学へ通う子どもの世帯にも、一律118,800円の就学支援金が支給され、私立学校の実質授業料無償化に向けた一歩が踏み出されてから7年目になります。しかし2014年度からはすべての家庭に支給していた就学支援金が、年収910万円以上の家庭には支給しないという所得制限がかかり、その後2016年度からは全国の高校生に該当することとなってしまいました。
 一方、埼玉県においては県独自の制度により、2017年度の授業料助成については表1のように決定しました。家計急変世帯・生活保護世帯については、昨年に引き続き授業料全額補助を実現させました。

民主県政の会News176号

 県の2017年度全日制高校の父母負担軽減制度は図1のようになっています。
 昨年度は年収500万円未満の世帯には375,000円、年収609万円未満までの世帯には250,000円の補助でしたが、今年は年収609万円未満の世帯にまで375,000円の補助が拡大されました(図の「新」の部分)。これは実質授業料無償化が実現したことになります。
 さらに年収500万円までの世帯では、昨年と同額の20万円の補助が上乗せされ、合計575,000円が補助されます。この額は、県内の私立高校授業料の平均を上回っており、学費(授業料+施設設備費)の実質無償化が実現したことになります。
 
 

私学無償化―埼玉私学助成をすすめる会の運動があと押し

 また2014年度より、新たに低所得世帯の教育費負担を軽減するために、学校への納付金以外の教科書・教材・学用品等を負担する制度も設けられています。これが年々拡充され、2017年度から生活保護世帯には52,600円、年収250万円未満の世帯には、第1子に84,000円(2016年度67,200円)、第2子以降138,000円が援助される制度となり、学費の無償化と合わせると全国的にもたいへん高い水準になっています。
 これら要求が前進してきた背景には、埼玉私学の教員・生徒・父母で構成する「埼玉私学助成をすすめる会」が、日ごろから取り組んできた署名や学習会、県要請など地道な活動があり、それらの取り組みの積み重ねがあります。そして同時に「子どもたちが、お金の心配なく安心して学べる社会」「教育はお金で買うものではなく、国民が受けるべき権利」という目標の実現に道を拓く大きな成果といえるものです。
 子どもたちが安心して学べる私学の条件整備をめざして、引き続き運動を強めることが求められています。
民主県政の会News176号3
 
 

高校統廃合でなく少人数学級教職員増の実現を
埼玉県高等学校教職員組合中央副執行委員長 弘津次久
県教委「魅力ある県立学校づくり」を批判する 下

統廃合で遠距離通学強いられた生徒も

 高校統廃合については、1999年から2013年までの「21世紀いきいきハイスクール構想」にもとづく3期にわたる「推進計画」で全日制高校を153→134校に、夜間定時制高校を31→17校に減らしてきました。
 このことは、同時に進行した「新自由主義経済政策」によって格差と貧困にあえぐ子どもたちにさらなる困難をもたらしました。たとえば、全日制高校の廃校による定員減と夜間定時制高校の廃校は、困難を抱える子どもたちに遠距離通学を強いることとなり、通学定期を買えずに登校できなくなったり、深夜に自転車で危険な目に遭ったりすることもありました。
 また、高校の廃校は地域社会の活力の減衰を招くことにもつながりました。
 

生徒減のいま、少人数学級実現のチャンス

 「方針」は、「再編整備」(=高校統廃合)が必要な理由として今後の中学卒業生の減少と学校の適正規模の維持をあげています。
しかし、これは現在の高校標準法にもとづく1学級定員40人とそれに対する教職員配置数を前提としており、大きな問題点をはらんでいます。
 生徒数の減少する時期こそ、少人数学級を実現するチャンスのはずです。ましてや、格差と貧困の拡大による困難を抱える子どもたちによりそう教育をすすめるには、少人数学級や教職員の増員によりきめ細かな教育を保障する条件整備こそ、教育行政(県・県教委)の責務ではないでしょうか。