民主県政の会ニュース177号

県国保運営協議会
国保「運営方針」原案の議論終了新制度で国保はどう変わるか
埼玉社保協 川嶋芳男 事務局長

 埼玉県国保運営協議会が昨年12月末の第1回から、今年4月までに通算で3回行なわれました。4月24日に行なわれた会議では、国保運営方針原案の後半部分を議論し、これで全般の議論が終了したことから5月の会議では方針案をまとめ、7月に県民コメント(パブリックコメント)を募集し、9月に決定します。そこで新制度で国保がどのように変わるのかまとめてみました。

県が「交付金と納付金」基準・額を決定

 第1には、財政運営が変わります。これまでは国の責任で、市町村国保に直接医療費国庫補助など公費が入っていました。今後は国からの公費は県に入ります。この公費と市町村からの納付金で、県は医療費を賄います。市町村国保には、国に代わって県からの「保険給付費等交付金」が入り、県へ「納付金」を納める関係になります。県と市町村のお金のやり取りとなる「交付金と納付金」の基準や額の決定は県が握り、県が大きな影響力を持つことになります。
 第2に、前記のとおり「納付金と交付金」を県が判断することから、市町村からすると保険税額を独自に判断しにくい仕組みです。全国レベルで算出した市町村ごとの加入者の所得水準や全県の収納率の平均との差によって、県が標準保険税を算出します。保険税額は市町村の判断で決定できる事になっていますが、実際には厳しくなるのではないかと考えられます。

「法定外繰入」を超える標準保険税

 第3に、さらには法定外繰入を今後も行ったとしても、保険税は引き上げられる可能性があります。国は法定外繰入は実質赤字解消のための支出であり、解消すべきだとしています。私たちが行っている自治体要請キャラバンの調査によれば、2016年度埼玉県内では、ほぼすべての市町村で平均2万5千円程度の繰入を行っていました。今回公表された2回目の試算結果によると標準保険税は、これを大きく超え平均で3万8千円引き上げになります。
 この結果から、国が国保へ3400億円財政支援する仕組みに問題があり、効果を発揮していないという事であり、このまま都道府県化が実施されたら法定外繰入を行っても保険税の引き上げが必至です。社会保障は国の責任です。国保税を引下げ、払える国保税にさせる運動を強めましょう。
 
 

高知にできたことは埼玉でもできるはず
「高知県産業振興策」視察
村岡政嗣県議報告❶

 2016年11月15日〜17日まで、日本共産党埼玉県議団と民主県政の会などが共同で高知県の産業振興を視察しました。視察については今年3月28日の民主県政の会代表者会議に合わせて行われた学習会で村岡正嗣県議が詳細を報告しました。本稿は村岡県議の報告を編集部の責任でまとめたものです。

地域の資源に光をあてた産業振興

 村岡県議は冒頭、高知県の地理的特徴、全国や埼玉県と比較した経済的位置などについて解説しました。高知県の人口は72万人。埼玉の10分の1。面積は埼玉の倍近くあります。県内総生産は2.2兆円で埼玉の約10分の1です。ところが1人当たりの所得は、埼玉の290万円に対して高知が244万円とそれほど低くありません。しかも、財政力指数は埼玉が全国5位、高知は全国46位です。
 県の大部分を高い山と南側の太平洋に囲まれた高知県。首都東京に隣接する埼玉とは産業構造的にも、決してめぐまれているとは言えません。村岡県議は高知の産業振興計画策定の背景と特長について次のように分析しました。「高知県はかつて買い物難民が多数いました。そこで県民に自動車購入補助をはじめました。しかし高知県の現状を見たとき、地域の資源に光をあてるしか道はないと、尾崎直道知事をはじめ県の職員は一次産業を軸とした産業振興をはかる決意を固めた」のです。
 
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「原発止めたい」の思いつよく
加須市内の原発避難者の現状と支援について(上)
佐伯由恵・日本共産党加須市議会議員

 東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から6年が経過しました。いまもなお埼玉県内には4千4百人が、また加須市内には多数の原発避難者が生活しています。年月を重ねるごとに一層深刻さを増す現状について、日本共産党加須市議会議員の佐伯由恵市議から報告していただきました。
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 田園風景が広がる埼玉一の米どころとこいのぼりのまち・加須市。2011年3月30、31日、福島県双葉町は原発事故の影響から逃れるため、さいたまスーパーアリーナを経て市内にある県立旧騎西高校に役場機能ごと避難してきました。避難者の数は、最大で約1400人にまでのぼりました。
 避難所は2014年12月末に閉鎖されました。避難所としては、これまで例のない3年9ヵ月という長期にわたりました。この間、日本共産党の大門みきし参院議員、埼玉県議団、福島県議団、加須市議団が避難者と懇談してきました。私は、地元議員として避難者との交流を続けてきました。
 避難所閉鎖後、役場は騎西総合支所内に「双葉町埼玉支所」を残し、いわき市に移転。避難者の多くは、市内のアパートなど借り上げ住宅に移りました。また、福島県内に戻った人もいました。市内には現在、双葉町民をはじめ1市5町2村の原発避難者が189世帯・538人暮らしています。

民主県政の会News177号3

 
 

2020
東京オリンピック開催のための仮説費用は主催者負担が原則
日本共産党埼玉県議団事務局・小久保剛志

 東京オリンピックを準備する大会組織委員会が昨年12月、はじめて大会関連経費の全体像を明らかにしました。その合計額は立候補ファイルの8千億円の倍以上となる1兆6千億〜1兆8千億円にのぼります。いま、この費用分担をめぐって、東京都・大会組織委員会・国と関係自治体との間で激しい駆け引きが行われています。
 埼玉県では都の要請などをうけ、サッカーとバスケットボールの競技会場として埼玉スタジアム2002や、さいたまスーパーアリーナの2つの県有施設が使用されます。立候補ファイルおよび大会の基本計画で組織委員会は、取材ブースなど仮設的施設の整備と大会運営費を、自治体はスタジアム本体など恒久的施設の整備を担うものとなっていました。

なし崩し的な負担押しつけは認められない

 しかし昨年9月、都政改革本部調査チームの報告書で「東京都以外の自治体に立地するものは現地自治体と国が負担」との新ルールが突然提案され、不安になった関係10自治体の首長は昨年12月末、国と都に立候補ファイル時の費用負担の原則を確認するよう申し入れました。
 その後、都、組織委員会、国と関係自治体が設置した実務者レベルの作業チームによって、都外会場に必要な業務や経費について課題の洗い出しが行われ4月18日、4者による連絡協議会の幹事会に中間報告が出されました。しかし、都は費用分担の大枠を示さず「実務的な検討のなかで詰めていく」とさらなる先送りとなっています。
 埼玉県では、開催準備や気運醸成のために、2015〜17年で2億9千万円がすでに計上されています。施設整備については組織委員会から方針が示されないため、予算規模も明らかになっていません。仮設施設の整備や大会運営費については当初の原則どおり開催都市の東京都と組織委員会が責任を持つべきであり、関係自治体へのなし崩し的な負担押しつけは認められません。