民主県政の会ニュース178号

高知にできたことは埼玉でもできるはず
「高知県産業振興策」視察 村岡正嗣県議報告❷

 高知県は産業振興計画の策定にあたり県民と双方向で調査・協議することを重視しました。

「強みは中山間地」をコンセプトに教育・医療を充実

 集落実態調査では、買い物や通院手段など128項目について直接住民の声を聞き、中山間地政策には何が必要かなどのヒアリングも受けました。また専門家に県債収支分析を要請、弱点の商品加工はアドバイザーの支援や補助金投入、人づくりなどで公の援助を重視。県内900社を企業訪問し、現状をリアルに把握しました。
 政策立案でコンセプトは「強みは中山間地」。「地域に人が残るためには、教育と医療」を政策の柱に。例えばあったかふれあいセンターをつくり配食サービスを行いました。中山間地は従来の福祉施設設置基準では人数が少ないため施設が立てられず、介護施設だと公金投入できないがコミュニティー施設としてなら建設できます。また訪問介護に20分以上かかるところは、事業所が撤退しないよう補助金を出しました。子ども子育て新システムを活用し、集落で子育てを可能にしました。
 特筆すべきは小規模学校を廃校や統合ではなく「地域の核」と位置づけて残したこと。これらを実施するため65人の地域支援員を正社員で配置。NPOへの支援も直接行います。
 施策の検証と修正にも即応します。県の補助制度と実態が嚙み合っているかを市町村がチェックし、これが課題と思ったら副知事に意見をあげます。県が市町村の自主防災を直接支援することも。県職員も役場に机をおき地域を回ります。

国に政策提言、財政制度やしくみを使って補助金も

 尾崎知事はトップリーダーの役割を強く自覚した方です。知事は財務省主計局出身で、国の財政制度やしくみを熟知し、前述の福祉施設建設や子育て施設建設など、国庫補助対象の要件を考え出しました。また医療再生の基金の活用では、国に政策提言してお金を引き出したようです。

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さいたま市長選
前島ひでお 氏善戦・健闘
市民と野党の共闘、今後に活かし

 5月21日投開票でさいたま市長選挙が行われ、「みんなのさいたま市をつくる会」の前島ひでお候補は、前回市長選で会が擁立した候補の2・2倍の5万3971票を獲得しましたが及びませんでした。当選は現職の清水はやと氏でした。投票率は過去最低の31・44%でした。
つくる会は投票日翌日の22日、次のような声明を発表しました。「今回の市長選挙は、安倍政権の暴走が強まり、市民と野党の共闘が発展する一方で…(略)…市政のオール与党化がすすむなかで行われ、日本共産党の推薦、無所属市議や元大宮市議の支援、教え子や保護者など市民の応援の輪が広がりました。会はみなさんの要求、選挙でかかげた政策の実現へ、市民の皆さんとともに力をつくす決意です」と強調しました。
 民主県政の会は市長選に直接責任を負うものありませんが、政令市の首長選挙として多くの県民に影響を与えることから強い関心を寄せていました。共闘問題など、今後のたたかいに活かすことが求められます。
 
 

県議会6月定例会
6月19日〜7月7日まで

 埼玉県議会6月定例会は、6月19日から7月7日までの19日間行われます。会議の詳細は次号に掲載予定です。請願は19日の開会日、午後5時まで議会事務局で受け付けます。問い合わせは議会事務局(048―830―6238)まで。
 
 

「原発止めたい」の思いつよく
加須市内の原発避難者の現状と支援について(中)
佐伯由恵・日本共産党加須市議

 福島県からの原発避難者が189世帯538人を数える加須市。その現状と課題を探ります。
◇   ◇
 避難者の中には、農地を借り以前のように米や野菜を作り、農業に精を出している人もいます。また、震災前に営業していた床屋を市内で再開し、親子で頑張っている人もいます。しかし避難者の多くは高齢者です。人生の最終段階で住み慣れた故郷を追われ、知らない土地で老いていくことがどれほど不安なことか、察するに余りあります。高齢者の間では、長引く避難生活で病に倒れ、亡くなる人が続いています。
 例えば、74歳の女性は、避難生活で糖尿病が悪化しました。さらに転倒により歩行障害となり、77歳の夫が介護を続けてきましたが、それももう限界。今年1月、市内の介護施設に入所しました。ところが肺結核を発症し、急きょ都内の大学付属病院に入院。毎日のように夫は妻を見舞い、その最中、脳梗塞で倒れました。そして妻は入院から2日後に息を引き取りました。
 また、原発からわずか2㎞のところで農業と黒毛和牛50頭の飼育をしていた夫婦。一時立ち入りでおそるおそる牛舎に入ると、そこには白骨化した牛の無残な姿がありました。夫婦は再出発を決意。農家の空家を借りて、大型機械を買い揃え農業法人を設立。未来に向かって順調に進んでいるときでした。夫に病気が見つかりました。そして今年2月に息を引き取りました。67歳でした。このように、避難先で命を落とす悲しいことが起こっています。「何のための避難だったのか」……問われなければなりません。

喜ばれる加須市の被災者支援

 加須市は被災者の方々が少しでも安心して市内で暮らせるよう、年に2回(5月と12月)、お宅に足を運び困っていることや要望を聞き取って支援を続けています。被災者のみなさんからは「加須市には本当にお世話になっています」と喜ばれています。訪問調査の対象は、原発事故に伴い、市内に避難している全世帯です。双葉町民の訪問の際には、双葉町の職員と一緒に訪問します。調査内容は―健康状態、生活で困っていること、加須市や避難元への要望、市の情報提供―などです。
(次号に続く)

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埼玉社保協が国保学習会
国保運営の県移行で検討状況をヒアリング
自治体キャラバンプレ企画

 埼玉社保協は5月20日に、6月の自治体要請キャラバンのプレ企画として国保学習会を行い49人が参加しました。
 2018年度から、国保運営がこれまでの市町村に変わり都道府県が行い、財政責任を担うことになっています。学習会では、6月22日から始まるキャラバンで、自治体に対しどのような要請が必要かや、県の検討状況を学びました。
 第1部は「国保の都道府県化について」埼玉県国保医療課国保事業担当者から、検討状況について説明を受けました。運営方針は2018年度から2020年までの3年間のもの。策定の目的として、「(埼玉県)の市町村国保は毎年3000億円以上の慢性的赤字で、①県は市町村の収納率向上に向けた取り組み支援、②市町村国保における医療費適正化の一層の促進、③市町村とともに赤字の解消・削減、④事務の効率的な運営のため標準化や共同化をすすめる」としています。その目的に沿った運営方針と国保事業納付金および標準保険税額の第2回シュミレーションも示されました。
 第2部は、「国保の都道府県単位化の課題と今後の運動方向」について、神奈川社保協前事務局長の佐々木滋さんから話がありました。(舟橋初恵 埼労連事務局次長)

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