民主県政の会ニュース180号

「核兵器禁止条約」「共謀罪」に対する知事見解、
国保・介護制度などで県の考えを質す

<金子正江県議(日本共産党)が一般質問>
 
 埼玉県議会6月定例会が7月7日に19日間の日程を終え閉会しました。平成29年度埼玉県一般会計補正予算など11件の知事提出議案と埼玉県虐待禁止条例をはじめとする議員提出議案が審議されました。日本共産党県議団は知事提出の教育委員選任について不同意としましたが、そのほかの議案については賛成しました。

 6月26日に日本共産党の金子正江議員が一般質問に立ちましたが、公明党の妨害で一日遅れ翌日あらためて質問を行いました。金子議員は27日の質問の冒頭、国連で議論されている核兵器禁止条約について、県としても速やかな締結を政府に働きかけていくよう知事の見解を質しました(条約は7月7日に採択されました)。知事は核兵器廃絶の意義は認めつつも、協定締結は国の専管事項であり政府への要請等は「自制」すると述べました。
 
<知事 「共謀罪」に「審議尽くされていない」と答弁>
 
 6月15日未明に自公などが国会のルールを破って強行成立させた共謀罪について金子議員は、県内の自治体でも反対する意見書が採択されていることに触れて知事の見解を求めました。これに対して知事は、法案の成立過程で「審議が尽くされないまま法案の採決に至ったことは残念」だと答弁しました。また医療的ケア児・重症心身障害児者の保護者への支援について、家族の深刻な負担を具体的に示しながら支援を求めました。
さらに介護制度に関わって「地域包括ケアシステム」の整備を求めました。臨時的任用教員の雇用問題では「教育に臨時はない」の立場を強調して新任同様の3年から5年の継続勤務を認めるよう求めました。

 来年から運営が県に移行される国保は、3月のシュミレーションでも保険料の平均が昨年比1.4倍にもなることから、県の財政支援を求めました。

公明党が「共謀罪」で質問妨害も認められず

 26日の金子議員の質問に対し公明党から「共謀罪法」という法律はないと動議が出され、会議が流会になりました。議事運営委員会で日本共産党の秋山文和議員が「共謀罪の文言は新聞各紙や知事の発言でも使われており国民に広く浸透している」と修正を拒否。民進党からも「表現の自由が失われる」と通告通り認めるよう意見が出され、委員長が「質問は通告文通りに」と決定、金子議員の質問は翌27日に修正なしで行われました。多数の傍聴者からも「難癖だ」の声があがりました。
 
「核兵器禁止条約」「共謀罪」に対する知事見解、国保・介護制度などで県の考えを質す
報告する金子県議(左から3人目)
 
 

沢田力県議(自民)が辞職

<政務活動費の不正受給を認める>
 
 7月12日、自民党県議団は政務活動費を不正受給した沢田力元県議(大宮区選出)を除名し沢田氏は責任をとって県議を辞職しました。
 自民党によると沢田氏は2011年度から2015年度まで政治活動報告のチラシ投函代としてPR会社が発行したとする領収書を県議団に提出、自己負担分を除く545万円の政務活動費を受け取っていました。しかし、PR会社側が「沢田氏との取引はない。支払いも受けておらず領収書も渡していない」と証言し、沢田氏も投函の依頼をしていないこと、領収書は偽造であることを認めました。
 これらの行為はきわめて悪質で議員辞職は当然ですが、事実経過や使途などについていまだ不透明な部分が多く、沢田氏は県民に対しただちに説明する責任があります。沢田氏の辞職により、8月18日告示、27日投票で県議補選が行われます。

高知にできたことは埼玉でもできるはず

<「高知県産業振興策」視察 村岡正嗣県議報告④>
 
 視察団の一行は11月16日に高知県森林組合連合会、県立農業担い手育成センターを、また17日にはものづくり総合技術展を視察しました。
 森林組合では中越利茂県森林組合連合会代表理事会長から説明を受けました。ここでも、県が人づくりを重要課題にしていることが伺えます。県連の会館建設では、県内の設計士複数によるチームを3つつくらせコンペで設計者を決定。CLT部材(板の厚い層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネル)の活用では、関係者が連携して基準法をクリアしました。施工も地元業者でCLT部材に初めての挑戦ながら完成させました。会館建設だけが目的ではなく、新たな林業・CLT部材の供給、設計・施工の技術者育成へと道を開いています。また木質バイオマスで未利用材の活用を県が支援しています。まさに川上から川下まで組合連合会が責任を負い、県知事がその先頭に立っている姿がはっきり見えます。
 
 県立農業担い手育成センターでは、担い手育成戦略の起点を「消費地に遠い」「中山間地で大量生産不可」という弱点の克服に置き、若い人や就農者を増やすための指導者・サポーターづくりに取り組んでいます。東京や大阪圏への働きかけも積極的にすすめています。
 
 

ものづくりは「人づくり」

 高知県ものづくり総合技術展(18日)の視察では「規模の大きさに驚いた」と言います。会場には高校生ら若い人の姿が目につきます。話を聞いて彼らが出展者だと知りました。ものづくり産業が「教育」に位置付けられ、人づくりと結びついているのです。民家再生に取り組む事業者のブースでは、耐震化の技術者を県が主導して育成しています。杭打ち企業は県のバックアップを受けて台湾へ進出予定とのことでした。
 
 最後に村岡正嗣県議は「最終日に高知県立自由民権記念館を見学。日本国憲法の源流に土佐出身の自由民権論者・植木枝盛の存在を知りました。植木の遺稿『未来が 其の胸中に在る者、之を青年と云う』のことばが胸に突き刺さった。青年の心こそが本気を生むのだろう。翻って我々はどうか。大きな宿題をもらった」と結びました。(了)
 
ものづくり総合技術展
ものづくり総合技術展
 
 

埼玉社保協
県の国保運営方針案を
「保険税値上げの改革か」の声、参加者から

 7月21日、国保の都道府県化の問題で県国保医療課の担当者と懇談し、10団体9地域から42名が参加しました。県は7月10日から8月9日まで県国保運営方針案についての県民コメントを募集しています。懇談はこの方針案についてのレクチャーを兼ねて行われました。事前に提出した要望書への回答のあと参加者5名が発言、県国保医療課長が丁寧な回答を行いました。
 埼商連からは業者経営の実態が報告され、これ以上の保険税負担は耐えられないと訴えました。これには県も「今後も実情にそって市町村が判断」すると回答しました。さいたま市の参加者は「保険税値上げの改革なのか」と迫りました。実際には国保加入者の医療費以外の後期医療と介護保険の収入が少なくて支出が大きい、このアンバランスが原因ではないかと指摘しました。
 
 県は「後期医療と介護保険の問題はオールジャパンの問題」と、指摘をほぼ認めました。法定外繰入れの目的は、後期医療と介護保険の収支の赤字を補てんするためで、市民や県民を支えるための支出です。川口の参加者は子どもの均等割負担の軽減を求めましたが、県は「県民コメントで是非提案してほしい」と回答しました。
 
 高すぎる保険税を改善させるため、国の公費負担を増額、法定外繰入れの継続で、払える保険税に引き下げる事が求められています。(川嶋芳男 埼玉社保協事務局長)
 
国保等で県と懇談=7月21日
国保等で県と懇談=7月21日