民主県政の会ニュース183号

県立学校体育館改修など盛り込んだ29年度一般会計補正予算が可決
埼玉県議会9月定例会が閉会

 9月22日から開かれていた埼玉県議会9月定例会は23議案を可決し、10月13日閉会しました。議会では県立学校の体育館床板改修費用などを盛り込んだ平成29年度一般会計補正予算などが審議されました。日本共産党県議団は、知事提出の11議案(決算認定2件を除く)すべてに賛成しました。
 議会に提出された請願の内、政務活動費の支出を証明する領収書のインターネット公開を求める請願が議会運営委員会で審議されました。請願は自民党の沢田元県議による政務活動費の不正を受けて出されたもの。多くの県民は県議会が県民に開かれ信頼されるものになってほしいと願っています。日本共産党県議団はこの立場から「透明性を高めるための一歩前進」と捉え、速やかな採択を求めましたが自民、公明、民進、改革の賛成で継続審査となりました。同県議団は政務活動費の出納簿や領収書のWeb上での公開をはじめ、政務活動費のあり方全般について見直しをはかるべきだとしており、そのための協議体を設置するよう求めました。
 
大気汚染被害者救済制度を求める請願は全会一致で採択
 9月定例会に「大気汚染による健康被害に係る救済措置を求める意見書」の国への提出を求める請願が提出され、全会一致で可決されました。これは東京や埼玉の患者団体らから、大気汚染によるぜんそく患者等に対する医療費助成制度創設などを求めて提出されたものです。大気汚染の医療費助成制度の創設を国に働きかける運動は、これまで医療生協さいたまや埼玉土建、建交労、埼労連などが取り組んできた経緯があり、いまその願いが実現したものです。
 
国保制度、消費税増税に関する請願に自公などが反対
 埼玉社保協などから提出された「国民健康保険の都道府県化についての請願」は、福祉保健委員会で審議され日本共産党の秋山県議が採択を求めました。請願は、国保制度への国・県の財政支援を求めるもので、秋山議員は「制度変更に伴う負担増は許されない。国の公費負担の増額は県も知事会も要望している。法定外繰り入れも考慮されるべき」と強く採択を迫りました。しかし自民、民進、公明、県民会議の反対で不採択となりました。このほか消費税率10%への引き上げ中止の意見書提出を求める請願も提出されましたが、共産党が賛成したものの自民、公明、県民会議の反対で不採択になりました。
 また「県自転車の安全な利用の促進に関する条例」の一部改正案が全会一致で採択され、来年4月から施行されます。自転車利用者が事故で相手にけがなどさせたときなどに備えるものですが罰則はありません。
 
医師・看護師の増員と労働条件改善はかれ
 議会閉会中に開かれている決算特別委員会に出席した共産党の前原かづえ県議は、病院局の審査で医師・看護師不足について県の対応を質しました。また小児医療センターの新都心移転に伴う準備業務や、患者搬送に関して今後に生かす課題と教訓について聞きました。前原県議は医師の計画的増員や医療の安全・質を向上、医療労働者の労働条件改善を強く求めました。
 
 

2017年 県政要求共同行動11月10日(金)埼佛会館

 2017年県政要求共同行動は11月10日(金)さいたま市の埼佛会館で午前10時から共同集会が、午後1時からは社会保障と県政全般の要求課題別に県の担当者と懇談します。
県政全般では県民の暮らしや人権を守る県政の役割を果たすよう求めているほか、県の最賃をただちに1000円にし、1500円をめざすよう要求。またライドシェア(白タク問題)に対しては慎重対応を、さらに建設技能労働者の処遇改善や担い手確保のための「改正担い手3法」をすすめるよう求めるなど、県の姿勢を質すことにしています。
 
 

オスプレイ飛行ルート下の県内自治体と懇談

 埼玉県平和委員会は、米軍輸送機MV22オスプレイ(以下オスプレイ)が飛んだと思われるルート下にある約30の自治体を訪問し、懇談する「ピース・キャラバン」をおこない、15自治体と懇談してきました。
 
県内各地でオスプレイの飛来確認
 きっかけは2017年3月6日から17日までの12日間にわたって、群馬県の相馬原演習場、新潟県の関山演習場で日米共同訓練「フォレストライト02」がおこなわれた際、県内各地から「オスプレイを見た」との目撃情報が寄せられたことでした。
 万一事故が起きたとき、「犠牲になる県民はもちろん、県や自治体も知らないうちに、埼玉上空をオスプレイが勝手気ままに飛んでいたことは見過ごせない」として始めたものです。「ピース・キャラバン」ではオスプレイの飛行実態を報告するとともに、オスプレイ特有の構造上の危険性や「敵地」侵攻のためのスキル・アップ訓練をおこなっている点なども示し、実態を共有し、住民のいのち・安全を守るうえで何ができるのかを話しあってきました。
 
知らいないうちに飛ばれるのは気味悪い
 トップを切っておこなった埼玉県との懇談では、埼玉県基地対策協議会(県と基地所在地の14自治体で構成)を通じて、オスプレイの事故に対しては、原因究明・再発防止・安全が確保されるまで飛行の中止などを求めたことが述べられ、ひきつづき県民のいのち・安全の確保のためにも情報の開示などを求めていくと表明されました。
 訪問先の自治体担当者からは「知らないうちに頭上を飛ばれているのは気味が悪い」「目視で確認はしていないが危機感を感じる」などの発言があり、市民からの不安への対処について①自治体として苦情を受けつける窓口を設置する、②苦情については関係当局(防衛省や北関東防衛局など)に照会する、③県の基地対策協議会を通じて国(防衛省、外務省など)に要望していくことなどが表明され、一定の前進もありました。
 
「住民のいのちと安全を守る」役割果たせ
 その一方で、国に要望しても「国の専権事項」であり「米軍の運用にかかわること」と言われると「それ以上は言えない」「どのように意見を出していくか妙案がない」「市町村単独では動きにくい」など、「住民のいのちと安全を守ることを第一義とする」自治体の役割とのあいだで苦悩する姿も垣間見られました。
(埼玉県平和委員会・二橋元長事務局長)
 
183号2面P-1
川越市と懇談するキャラバン隊
 
 

梅雨空に「九条守れ」の女性デモ九条俳句訴訟勝訴
さいたま地裁が俳句の不掲載を違法と断定

 2014年6月、「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の俳句が、さいたま市大宮区の三橋公民館の「公民館だより」に掲載を拒否されたことに対し、句を詠んだ女性らが、憲法で保障する「思想・信条の自由」を侵すものとして提訴した「九条俳句」訴訟。10月13日、さいたま地裁は「原告の思想や信条を理由として、本件俳句を本件たよりに掲載しないという不公正な取り扱いをしたことにより、法律上保護される利益である本俳句が掲載されるとの原告の期待が侵害された」と判断、さいたま市に対し慰謝料5万円の支払いを命じる判決を下しました。
 原告らは判決が「実質的に原告の思想信条の自由を保障し」ていること、公民館職員が憲法アレルギーによって掲載を問題視し「不公正な取り扱い」を行なったなどと認定していることを評価。市に対してあらためて九条俳句の掲載など申し入れ、これが約束されるのであれば控訴しないことを表明しました。しかしさいたま市がこれを拒否し控訴したため、原告・弁護団らは原判決の弱点を質すため控訴しました。10月24日に弁護団は「市の違法性を認めた原判決の結論を維持し、国民の基本的人権の前進にとって意義のある
 控訴審判決を求める」との声明を発表しました。