民主県政の会ニュース185号

豪雨災害、国保、県外私学助成など県の考えただす
埼玉県議会 12月定例会が閉会

 埼玉県議会12月定例会が22日閉会しました。
 議会では平成29年度一般会計補正予算をはじめ、県職員の給与・退職金に関する条例改正、国保給付費等交付金の交付及び事業費納付金の徴収に関する条例制定、また県立小児医療センター付属岩槻診療所の廃止などが審議されました。
 日本共産党の前原かづえ県議は、12月12日の本会議一般質問で、国保やふじみの市などの豪雨災害対策と被災者支援、県外の私立高校に通う生徒たちへの支援金制度、難病患者支援のために保健所の支所復活、またホンダ狭山工場の閉鎖問題などを取り上げました。
 
<ホンダが狭山工場閉鎖を発表>
 
 ホンダ(八郷隆弘社長)は10月4日、狭山工場(狭山市)を閉鎖し2021年度をめどに寄居工場(寄居町)に集約すると発表しました。
 八郷社長は国内の生産台数を削減し電気自動車(EV)生産にシフトすること、狭山工場で働く4600人の従業員は寄居工場を中心に配置転換し、雇用も維持すると述べています。しかし労働者からは「寄居通勤はムリという人も多い。寄居に4600人も受け入れる態勢があるのか」など不安の声が広がっています。また狭山市はホンダに対して様々な便宜を図ってきましたが、今回の閉鎖が大きな打撃になることは明らかです。
 
豪雨災害、国保、県外私学助成など県の考えただす
 

ICANにノーベル平和賞
被爆者とともに核廃絶を世界の世論に
田中熙巳さん(しらさぎ会会長)も喜び

 2017年のノーベル平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が受賞しました。12月にノルウェーのオスロで開かれた授賞式には、日本被団協代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(85歳、新座市在住)らが出席しました。
 田中さんは13歳のとき、長崎県内の爆心地から3・2キロの自宅で被爆しました。自身は奇跡的にケガなどありませんでしたが、親族5人が亡くなりました。1956年に日本被団協が発足し、85年から今年6月まで20年間事務局長を務めました。日本被団協は70年以降、核兵器廃絶に向けて海外で原爆被害の実相を伝える活動を続けてきました。国連では、亡くなった山口仙二さんや谷口稜曄(すみてる)さんらが、自身の体に刻まれた原爆被害の酷さをさらしながら核兵器廃絶を訴えました。
 田中さんも海外での会議に何度も出席し、05年には日本被団協として初めて国連本部での原爆展を実現させました。田中さんは、国連など核軍縮を話し合う場で、核兵器の非人道性が焦点になるうえで谷口さんらの果たした役割は大きかったと話し、10月の受賞決定の瞬間には仲間の姿が脳裏に浮かんだと言います。
 田中さんはICANの受賞を喜びながら、若者が活動の中心にいるICANと比べると、日本では核兵器廃絶運動が十分広がっていないことに心配を抱いています。
 
<田中熙巳さんの話し>
 
 ICANのノーベル平和賞受賞式に出席できたことは署名への励ましになります。ICANはその運動すすめていくうえで被爆者を平等に扱ってくれています。条約は採択されましたが、各国の批准は簡単ではありません。アメリカの圧力も激しいです。しかしヒバクシャ国際署名が、批准を後押ししてくれていることも確かです。
 2020年の条約発効をめざして署名を広げていきたい。
 
185号1面P-2
 
 

増える生徒 足りない学校
県内特別支援学校の教室・学校不足の抜本的な改善を
牧野浩 埼玉県高等学校教職員組合書記次長

 子どもたちに障害と発達に応じた専門的な教育を受けさせたいという保護者の願いなどを背景に、1990年代後半から特別支援学校で学ぶ子どもたちが急増しています。07年度4671人であった県立特別支援学校の在籍児童生徒数は、今年度7256人となりこの10年間で1・55倍と大幅に増加しています。
 私たちの運動の成果で、埼玉県は高校統廃合の跡地などを利用して、07年度の高等学園2校(さいたま桜・羽生ふじ)をはじめとして、13年度までに県の東西南北に各1校の特別支援学校(上尾かしの木=09年度、所沢おおぞら=10年度、深谷はばたき=11年度、草加かがやき=13年度)を新設してきました。さらに16年度には入間わかくさ高等特別支援学校を開校させました。
 
<生徒数が適正規模の2倍、3倍超も>
 
 しかし児童生徒の急増に学校建設が全く追いついていません。特別支援学校の多くは100人〜150人を適正規模として建設されていますが、県立知的障害特別支援学校25校のうち15校が200人を超えています。私たちは2000年頃から200人を超える学校を大規模・過密校とし、その解消のために学校建設を求める運動を強めてきました。しかし、現在は200人どころか300人超える学校が4校もあり、13年度216人で開校した草加かがやき特別支援学校は今年度366人、来年度は400人を超えることも推計されています。
 
185号2面p3
 

教室を衝立で仕切り、複数のクラスで使用 人権・学習権侵害も

 各学校では音楽室などの特別教室が次々に普通教室に転用され、一つの教室を衝立等で仕切って複数のクラスで使用するなどして対応しています。音楽の授業なのに「大きな声で歌わない」、体育なのに「思い切り走らない」ように指導しなければならない状況があることは、まさに人権・学習権の侵害です。
 県教委は、県立戸田翔陽高校敷地内に知的障害特別支援学校(高等部普通科・30教室・200人規模)の建設を明らかにし、今年度は基本設計をすすめています。しかし、開校は21年度でこの間さらに児童生徒が増加することは明らかです。
 全国的にも特別支援学校の教室・学校不足が深刻化しているにもかかわらず、学校建設が遅々としてすすまないのは、幼稚園から大学、専門学校まで文科省の所掌する他のすべての学校にある「学校設置基準」が、特別支援学校にだけないことに大きな原因があります。文科省は「特別支援学校は個々の児童生徒の実態に応じた柔軟な対応が必要なため、一律的な基準は策定しない」と言っていますが、これは詭弁としか言いようがありません。教室が足りなくて個々の子どもの実態に応じた柔軟な対応ができない実情であるからこそ、私たちは「設置基準」の策定を求めているのです。
 
<設置基準策定と学校増設は急務>
 
 私たちは国に対して特別支援学校の「設置基準」策定を求めるともに、埼玉県に対しては、県南部に知的障害、および肢体不自由の特別支援学校を緊急に建設し、さらに必要な地域に、計画的に学校建設をすすめることを求め署名や県議会要請等の運動にとりくんでいます。一刻も早い抜本的な解決のために、運動へのご理解とご支援をお願いします。
(まきのひろし)