民主県政の会ニュース188号

特養増設介護職員増など阻む県会自民党
自民の横暴目立つ県議会、知事答弁に懸念も

 県議会2月定例会は、18年度一般会計当初予算などの議案を可決して3月27日閉会しました。特別養護老人ホーム整備計画と教員の勤務管理システムの導入は、自民党と無所属改革の会が提出した「計画の根拠が不十分」として予算執行を停止する付帯決議が可決されました。
 自民党は、県の資料で県内の特養待機者が9047人とあるが、1年以内に入所を希望する人数は5284人との答弁があり基礎的数値があいまいだとしています。また介護職員の確保に関する具体策がないとも指摘しています。日本共産党の金子正江県議は「特養待機者は市町村が適正に把握し県が精査したもの。また特養は建設までに時間を要するので、1年以内に入所を希望しない人が待機者としてカウントされてもなんら問題はない」と反論。また介護職員不足は自公内閣による職員確保が不十分なためで、政府が賃金引き上げなど介護職員の労働環境を改善することこそ急ぐべきだと指摘しました。
 2月定例会では、国のいいなりに生活扶助基準の引き下げや重度心身障害者の医療費助成制度への所得制限導入などがすすめられ、共産党県議団は県民要求に応える県政を求めました。
 一方、原発再稼働では県知事が「限られた安全なところでの再稼働はやむを得ない」と、1万人超の反対署名にも背を向け県民の不安を広げています。

ニュース188-1
共産党県議団に再稼働反対署名を渡す県民大運動実行委の代表
 
 

原発再稼働反対請願取り下げ求める自民
「一時不再議」で請願を認めないのは民主主義の否定
伊藤 稔(いとうみのる)
民主県政の会代表委員の話

 県民大運動実行委員会が1万717筆の署名を添えて2月県議会に提出した「すべての原発の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進を国に求める請願」は、他の原発再稼働に反対する2つの請願とともに、議会運営委員会で継続審査の扱いとなりました。
 これまで原発についての請願は環境農林委員会で扱っていました。今回、議会運営委員会の扱いになったことについても疑問が残りますが、さらに議会運営委員会では自民党議員から請願に対する県議会の態度は12月定例会の意見書で示されている、閉会中に請願者に取り下げを求めるべきだなどの発言があり、自民・公明・改革の賛成多数で継続審査になりました。昨年12月定例会では自民党・県民会議らによって「原発再稼働を求める意見書」が可決されており、これが県議会で決定した態度であるというのです。
 確かに議会運営には「一事不再議」という原則があります。一度議会として意思を決定したことについては、再度意思決定するための議論や採決は行わないという原則です。
 しかし、この「一事不再議」は「会議中」「会期中」に限るという制約があるのです。そもそも「一事不再議」とは、いたずらに一度決まったことが「会議中」「会期中」に蒸し返されることで、時間の制約のある会議の進行が妨げられないための原則であって、2月定例会では、たとえ12月定例会の結論に背反するものであっても、再び議論できるというのが原則的な議会運営のはずです。
 今回の3つの請願を継続審査にした会派の論理を採用してしまうと、国民が議会に請願をするにあたって、過去の議会ですでに態度決定しているものについてはいっさい請願できないという理不尽なことになります。
 国会に偽造した決裁文書が提出されるようなことも起こっています。政治の私物化という問題以上に、議会制民主主義の原則がないがしろにされたということに怒りを禁じえません。また、埼玉県議会での3つの請願に対する取り扱いも、基本的人権のひとつである国民の請願権に対する侵害ではないでしょうか。そもそも議会が請願者に請願の取り下げを求めるということができるのでしょうか。3つの請願を正規の手続きで審査・採択することを強く求めるものです。
 
 

市町村で対応異なる「国保税増減」
4月からの国保税率改定、「誰でも払える」が重要
川嶋芳男 埼玉社保協事務局長

 1958(昭和33)年に成立し3年間の準備を経て61年に現在の国民健康保険法が施行されました。同時に国保診療所もつくられ、医療提供体制の整備も国保の重要な役割となりました。日本の歴史上初めて「いつでも、どこでも、だれでも医療にかかれる」時代の到来となったのです。それから60年経過し、18(平成30)年4月から県が国保財政運営の責任を担う大きな改革が行なわれることになりました。市町村はこれまで通り住民から保険税を集めるので「何が変わったの?」と思われるでしょう。心配なのは保険税がどうなるのかです。
 4月からの保険税率について31自治体が改定し32自治体が据置く見込みです。埼玉県社会保障推進協議会が、所得100万円・63才1人世帯の場合の保険税を試算した結果、改定する31自治体の内23自治体が保険税額を引上げ、8自治体が引下げ、平均では前年より5155円高くなります。最も高いのは戸田市で1万6100円増、逆に東秩父村は8700円減額となりました。所得だけではなく世帯人数が多くなると保険税が高くなり、子育て中の多子世帯の負担が増えます。今回県内で初となる多子世帯の負担軽減を行なう自治体は、富士見市とふじみ野市、杉戸町、鴻巣市です。所得制限や中学生までとか3人目からなど市町村で条件が異なりますので注意が必要です。80年代前半まで、市町村の医療給付費の4〜5割は国庫補助を行なっていましたが現在は32%です。これも国保の財政運営を厳しくしている原因です。国と県は責任を果たし市町村は住民に向き合って、誰でも払える保険税にすることが必要です。
 
 

ホンダ狭山工場閉鎖のもたらすもの
柴田泰彦 民主県政の会特別代表

 ホンダは昨年10月4日、狭山市の狭山工場を、2021年度をめどに閉鎖すると発表しました。狭山工場の生産車種は、ステップワゴン、オデッセイなど中型車クラスで、25万台の生産能力を持っています。国内向け106万台生産の現行水準を販売不振を理由に、狭山工場閉鎖で81万台に縮小すると八郷社長が決断した結果です。先代の伊東社長が掲げていた「国内100万台生産の維持」という旗を降ろし、国内生産を縮小するという方針の大転換です。
 
<各界からあがる不安の声>
 
 狭山工場には4600人の労働者が働いています。八郷社長はこれを寄居工場(往復100km)に異動させ雇用を維持するとしていますが、狭山工場の労働者には不安の声が上がっています。また労働者だけの問題にとどまらず、下請け部品メーカーなど地元の中小企業や新狭山周辺の不動産・飲食・小売業など地域の商業者にも大きな影響を与えます。さらにホンダからの固定資産税収入をはじめ、関連事業者からの税収減は狭山市政にも大きな影響を与えます。
 発表直後は埼玉県や狭山市に対し説明があったものの、その後現在まで何の説明もありません。また労働局に対して雇用問題の具体的説明はありません。
 これだけの大きな影響を与える今回の政策転換について「社会の期待は、時代とともに変化し続けています。HONDAはこれからも責任あるグローバル企業として多様なステークホルダーの声に耳を傾けながら、その信頼と期待に応えられるようさまざまな課題解決に取り組んでいきます」(Honda Philosophyより)を掲げるグローバル企業として社会的責任は小さくありません。
 次回から「労働者・地元商工業者などへの影響」「国内最後の基幹製造業である自動車産業の行方」「埼玉県の経済に与える影響と産業政策など」を念頭に連載します。
 
ホンダ狭山工場(ホンダのホームページ)
ホンダ狭山工場(ホンダのホームページ)
 
工場前で宣伝する共産党や地域の人々
工場前で宣伝する共産党や地域の人々