民主県政の会ニュース190号

「種子法」廃止とその復活を求める運動
埼玉農民連副会長・松本慎一氏の話

昨年安倍内閣は、規制改革推進会議の意向を利用し、今年3月末で種子法を廃止してしまいました。
 
種子法は、日本の基本食料である米、麦、大豆の研究・生産・普及を目的につくられた法律で戦後日本の復興と国民に食料を供給する重要な役割を果たしてきました。ところが安倍内閣は「岩盤に穴をあける」と大企業の金儲けを最優先、農業分野だけ見てもTPPの推進、EPA合意、農協・農業委員会の解体攻撃などすすめ、昨年は種子法廃止を突然閣議決定しました。そして農民・消費者らの反対運動を無視し、今年3月の廃止を決めたものです。
 
種子法廃止には二つの大きな問題があります。①国・県の試験研究、普及機関の長年にわたる研究と成果が大企業に独占されること、②国・県の開発した世界に誇る優れた種子が、穀物メジャーや農業薬メーカーに渡り、今より十数倍高い種子を農民は売りつけられることなどが懸念されています。
 
【世論背景に県が種子条例を制定】
種子法廃止に危機感を持った埼玉、新潟、兵庫の三県は、国による種子法廃止に対し「県内農民の経営、消費者の生活を守る」ことを目的に、独自の種子の開発・生産・普及体制を維持するため「種子条例」を制定しました。
埼玉では3月県議会で自民党県議団が提案、全会一致で可決・成立しました。この「種子条例」制定には、埼玉県農協中央会、埼玉農民連などの運動が一定の役割を果たしました。
また国会では、日本共産党や立憲民主党などの野党6党が「主要農産物種子法復活法案」を提出し、その成立をめざしています。

農民連ホームページより
農民連ホームページより

ホンダ狭山工場閉鎖のもたらすもの【3】
柴田泰彦 民主県政の会特別代表

伊藤社長に代わって八郷新社長就任以降、ホンダ狭山工場閉鎖は動き出しました。背景に二つの大きな要因があるように思われます。自動車産業全体の問題でもあるこの二つについて見ていきたいと思います。
 
【内燃機関エンジンからEV化への流れ】
ドイツ人のダイムラーとベンツがガソリンエンジンの自動車をあいついで発明してから130年。以来常に課題となってきたのが排気ガスによる環境汚染でした。近年では地球温暖化防止の観点からCO2の排出も問題となっています。限りある化石燃料依存からの脱皮とも合わせ、近年EV(Electric Vehicleの略語)自動車が続々発売されています。
 
完全なEV(日産リーフなど)とエンジンとEVを組み合わせたハイブリッド(トヨタプリウスなど)、そして水素燃料電池(トヨタMIRAIなど)が日本では増えてきています。フォルクスワーゲンの排ガス不正問題などもあって、ドイツ連邦参議院は2030年までに内燃エンジンを搭載した新車の販売禁止を求める決議を可決しました。この影響はEU域内に広がるとみられています。
(つづく)
 
ホンダ狭山工場閉鎖のもたらすもの3 柴田泰彦 民主県政の会特別代表
(本文とは関係ありません)

オスプレイの横田基地配備で常態化する埼玉上空の飛行
埼玉県平和委員会 事務局長  二橋元長氏 寄稿

在日米軍は今年4月3日、「空軍特殊作戦用CV22オスプレイの配備を1年半前倒しして、今年夏頃におこなうこと」「その後数年かけて、10機のCV22と450人の人員を配備すること」、それに先立って「今週後半(当時)にも5機のCV22が横田基地に一時的に立ち寄ること」を突然発表。直後の4月4日には5機のオスプレイが横浜の米軍ノースドックに陸揚げされ、翌5日には横田に飛来しました。

その後の報道によると米軍は3月16日に日本政府に通報したものの、日米両政府は3週間にわたって情報を隠ぺいしていたことが明らかになりました。

埼玉に隣接する東京の米軍横田基地は、これまでハワイやアラスカ、グアムなどを結ぶ米軍の航空輸送の拠点基地でした。
ところが、昨年5月1日には無人偵察機RQ4グローバルホークが、5月26日には在韓米軍のA10攻撃機サンダーボルトやF16戦闘機など、輸送機以外の軍用機が飛来。6月1日には韓国空軍のKF16戦闘機6機が、空中給油支援に支障をきたしたとして橫田に緊急着陸しています。輸送の拠点だった同基地が、すっかり戦闘機の中継基地になってしまいました。

【CV22が県内上空で目的外訓練】
それに加えて、CV22オスプレイの配備です。

CV22は、敵地侵入、夜間強襲、暗殺、拉致などの特殊作戦任務を持っているため、離着陸、編隊飛行、物料投下、リベリング訓練などに加え、激しい夜間超低空飛行訓練などを必須としています。「より過酷な条件下で訓練活動を実施」するので、海兵隊用オスプレイよりも、さらに事故率が高いことを防衛省も認めています。
 
オスプレイは、昨年3月の日米共同訓練「フォレストライト」や今年1月の訓練の際には、埼玉県内の30市町の上空を勝手気ままに飛び回り、「目的外訓練」をおこなっていたことが、埼玉県平和委員会の調査で明らかになっています。
県平和委員会は、これらの自治体に情報提供を申し入れ、県をはじめ23の市町を訪問・懇談する「ピース・キャラバン」をおこなってきました。訪問先の自治体では市町公室長、総務部長、危機管理監、副町長などが対応し、「飛んでいることに危機感を感じる」「知らないうちに頭の上を飛ばれるのは不安」などの声があがりました。
 
【オスプレイの運用は抜け穴だらけ】
CV22オスプレイが横田に配備されれば、横田が特殊作戦の展開拠点となり、人口が密集する東京や埼玉上空の飛行が常態化します。
北関東防衛局の説明では、オスプレイの運用に関して「日米合同委員会合意(平成24年9月)」が基本になっているといいますが、この合意は、「可能な限り」「最大限」などの表現が多用され抜け穴だらけ。沖縄県当局と県民の監視調査で517件の違反を指摘したにもかかわらず政府の回答は「日米合意に違反するものはない」としていることからも明らかです。
 
直下に暮らす県民のいのち・安全が脅かされるうえ、県も市町村も、県民も知らないうちに埼玉上空が「敵地侵入」の訓練場にされてしまいます。見過ごすことはできません。
 
オスプレイの横田基地配備で常態化する埼玉上空の飛行 埼玉県平和委員会  事務局長  二橋元長氏  寄稿
横田基地に着陸したオスプレイ(滝沢修飯能市議の撮影)
 
オスプレイの横田基地配備で常態化する埼玉上空の飛行 埼玉県平和委員会  事務局長  二橋元長氏  寄稿
東京上空を飛ぶオスプレイ(羽村平和委員会高橋美枝子さん撮影)
 
東京上空を飛ぶオスプレイ
ピースキャラバン=川越市