民主県政の会ニュース192号

自民の横暴とまらず県議選で厳しい審判を
埼玉県議会6月定例会をふり返る

埼玉県議会6月定例会は7月6日、19議案を可決するとともに、上田知事が全国知事会長に就任(次期知事選立候補への布石と見られている)したことに反発して自民党が提出した「全国知事会の認識を問う決議」など採択して閉会しました。
決議は上田知事が前回知事選で「多選自粛条例」を出しながら立候補したことに自民党が反発したもの。日本共産党や公明党、立憲・国民・無所属の会などが「立候補は本人の自由。誰を選ぶかは県民が決めること」(共産)、「別組織である全国知事会の決定に異論を唱えるのは筋違い」(公明)、「全国知事会は自立した団体。決定については不干渉であるべき」(立憲ほか)など、決議採択に批判を強めています。また自民党は、知事の特別秘書の給与について「監査請求に関する動議」を提出しましたが、これも条例に抵触するとまでは言えず、自民党の執拗な上田知事バッシングに疑問の声が上がっています。
 
<自民党が原発再稼働の意見書強行>
 
議会制民主主義をゆがめる自民党県議団の議会運営は、県民世論にも向けられています。
昨年12月定例会で「原発再稼働を求める意見書」が自民党などによって可決されました。これに対して今年の2月定例会では県民から「国内のすべての原発について再稼働させないことを国に求める請願」や「すべての原発の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進を国に求める意見書の提出を求める請願」「原子力発電の再稼働及び新増設をやめ、自然エネルギー活用の促進を求める請願」が提出されていましたが継続審査となっていました。
 
<原発再稼働反対意見は門前払い>
 
7月2日の議会運営委員会ではこれら3つの請願について、木下議運委員長(自民)から「2月定例会で(各請願の)取り下げを求めるため継続審査としたが、本日まで取り下げがなされず不採択」とする提案がなされました。これには日本共産党の秋山文和県議が採択を求める意見を述べようとしましたが、他の自民委員から「(内容に入るべきではない)手続きの問題だから」と発言を制止され、採決が強行されました。秋山県議は請願に賛成しましたが、委員長の強行採決で不採択になりました。
自民党が押し通した原発再稼働を求める意見書に反するものは、門前払いで葬り去ろうということです。まさに議会制民主主義否定といえる横暴が続いており、県民の中に懸念が広がっています。埼玉県議会で過半数を占める自民党にNO!を突きつけるために、来年4月の埼玉県議会選挙で厳しい審判を下すことが必要です。
 
<特養ホーム予算凍結は解除>
 
一方、2月定例会で自民党によって予算執行が停止されていた特別養護老人ホーム整備事業については、人材確保策が提示されたとして自民党が予算執行容認に転じました。しかし教員のタイムカード導入予算は、自民党が「教員の仕事はタイムカードで把握できない」の考えを崩しておらず、予算が凍結されたままになっています。
 
ニュース192号P-1
6月議会で質問する共産党柳下礼子県議
 
ニュース192号P-2
東海第二発電所(げんでんホームページより)
 

2018自治体要請キャラバン
県内63市町村を訪問
国の社会保障改悪の防波堤に

埼玉県社会保障推進協議会 川嶋芳男 事務局長
 
2018年度の自治体要請キャラバン行動が6月26日から7月6日まで34コースに分かれて実施され、県内63市町村を訪問・懇談することができました。自治体要請キャラバン行動は、埼玉社保協結成前の1992年にはじまり、94年からはすべての自治体を訪問・懇談し今年で25回目となりました。
安倍政権は憲法25条を解釈改憲し、2013年12月に社会保障プログラム法を成立させ、以後社会保障費の大幅な抑制を行ない、国民に対する負担増と医療や介護、年金や生活保護費など給付削減を行なってきています。同時に、社会保障分野の営利化・市場化が急速に拡大しています。納税の義務(憲法30条)の履行と引き換えに基本的人権を保障する関係ではありません。しかし、国保税などの滞納処分で預金のほとんどを差し押さえている事例も発生しています。社会保障は国の責任です。キャラバンでは自治体が私たちの防波堤になって頂くよう要請してきました。
今回も、副市長をはじめ幹部が最後まで参加するなど、行政側のキャラバンの位置づけが高くなっています。また「懇談事項」の文書回答が約半数の自治体で当日参加者に配布されました。
 
<国保税引き上げ見送る自治体も>
 
今年度から、国保制度が大きくかわりました。県が国保の財政運営の責任を担うしくみとなり、市町村独自の判断ではなく県の方針に従う姿勢が強まった印象です。県の方針に従い法定外繰入が全県で前年より13億円以上減額しました。その背景には当然国の社会保障費抑制があり、私たちにとっては大変危険な姿勢とみる必要があります。
一方、今年度国保税率の改定は31市町村にとどまり、17市町は限度額も含め前年のままです。慎重に判断している事は評価しつつも、安心できません。今後6年間で「赤字を解消する計画」を実行せよと国は迫っています。「払える国保税」の運動は今後も続きます。
介護の分野では、7自治体が引下げたこともあり介護保険料の格差が顕著です。最高額で比較した場合、最高額の戸田市1万5592円に対し、最低額の鳩山町7200円で約2・2倍の差となっています。特養ホームの待機者は1万人を超えていて、施設整備、介護職員の処遇改善と確保は喫緊の課題となっています。
障害児の放課後等デイサービスなどを通じて株式会社の参入が相次いでいる実態が見えてきました。また生活サポート事業を評価し拡充を求める意見が出されています。子育て分野では、少子化が進む中で幼稚園が減少する一方、保育所待機児童の増加が特徴です。公立保育所が増えず民間や認定こども園などの増加が続いています。保育士不足が深刻で市独自の処遇改善強化を求めましたが鈍い反応です。さらに10月からの生活保護基準引下げを懸念する意見が強く出されました。高齢者や障害者を含む世帯の増加がすすんでいます。
この結果をまとめ、11月の県政要求共同行動や国会行動埼玉デーなどにつなげたいと考えています。
 

来夏の知事選へ政策づくり
「子育て」をコンセプトに県政シンポジウム

民主県政の会の県政シンポジウムが9月8日に行われます。
会は1年後に迫った県知事選挙に向け「埼玉に暮らしたい、魅力あふれる埼玉県」をコンセプトに県政政策をつくる予定です。今回は「子育て問題」で①保育所増設と待機児童の解消②子どもの貧困と格差・教育③子ども医療の拡充と行政の役割として3人のパネリストが報告します。会の構成団体だけでなく、広く県民のみなさんとともに考える機会になるようご来場を呼びかけます。
■日時 9月8日(土)13時30分開会
■会場 県民健康センター1階(さいたま市)