民主県政の会ニュース195号

埼玉県議会9月 定例会が開会
農大跡地をIHIに売却障害者雇用の水増し問題自民県議団の横暴さらに

9月20日から始まった埼玉県議会9月定例会は、10月12日一般会計補正予算を含む知事提出議案17件と議員提出議案16件を可決し閉会しました。
 
9月定例会では、鶴ヶ島市の農大跡地を株式会社IHIに71億円超で売却することが提案されました。既報のとおり、鶴ヶ島と目と鼻の先にあるIHI瑞穂工場(東京都)が、米国のアジア太平洋地域におけるF35の整備拠点として稼働することが決定しています。瑞穂と鶴ヶ島の地理的関係を見れば、連携してその役割が発揮されることは想像に難くありません。IHIの土地取得の提案概要では、鶴ヶ島工場を「民間航空機のエンジン事業の拠点」としていますが、工場を建設・稼働させてしまえば立ち入り調査など事実上できません。防衛省や米軍に関わるとなればなおさらです。県議団は、地元住民の不安や疑問を解消するよう説明を求めています。
 
<県立高校統廃合などで県の姿勢ただす>
 
9月28日の一般質問で日本共産党の秋山文和県議は、旧岩槻特別支援学校の活用について質問しました。同校は県立小児医療センター移転に伴って閉校されました。しかし、さいたま市周辺の特別支援学校では、児童生徒数がこの10年間で2倍以上に激増しており、旧岩槻特別支援学校を活用して過密解消するよう求めました。
 
県は2029年4月をめどに県立高校を10校程度統廃合する計画です。秋山県議は県が小規模校を統廃合するとしていることに対し、県内最小規模の皆野高校が少人数学級で一人一人の生徒がわかるまで授業している様子を紹介、機械的な統廃合を撤回するよう求めました。
 
障害者雇用の水増し請求問題で、自民党などが現教育長の問責決議を提出しました。教育長は水増しを陳謝し、障害者雇用に取り組む姿勢を示しました。決議は事実関係の調査を行わず、その責任を一方的に教育長に押し付けるもので共産、立憲・国民、公明などが反対しましたが、賛成多数で可決されました。自民県議団の横暴がさらに強まっています。
 

日本を代表する大企業「ホンダ」は住民に寄り添ってCSRを果たせ!
柴田泰彦 民主県政の会特別代表

ホンダ狭山工場の移転撤退が発表されて1年が過ぎました。従来狭山市に、部品製造部門として残す可能性を示唆していたそうですが、今年7月30日に日本経済新聞も同様の報道をしたものの、翌日、撤退が決定的であるとの誤報訂正記事を掲載しました。
 
この間、塩川鉄也衆院議員、地元の共産党狭山市委員会の人々や望月市議会議員などが、工場門前で労働者にたいするアンケート活動や、近隣事業所などへの聞き取り調査を行ってきました。こうした動きを受けて狭山市も市内の製造業者や工場近隣の事業所などを対象に、閉鎖の影響についてアンケート調査を行いました。今日はその調査結果の概略を見ていきます。
 
<法人・個人市民税、固定資産税などで市財政は減収>
 
まず、狭山市は市政全体への影響について次のように述べています。
①「市の行財政」への影響
個人と法人の市民税をはじめ固定資産税、上下水道料金などの減収を指摘しています。一方これらの減収で、「基準財政収入額」が減ることから「普通交付税」が増額されるので、財政に大きな影響は及ばないとしています。減収分の穴埋めが国税で行われる問題が残ります。
(以下、次号に続く)

ニュース195号P-1
閉鎖が発表されたホンダ狭山工場
 

減らない待機児、増えない保育士 国・県は制度・施策の見直しを県政シンポジウム
金子貴美子 氏

9月8日行われた県政シンポジウムでの各氏の発言(要旨)をシリーズで掲載します。第1回目は埼玉保問協金子貴美子事務局長(文責・編集部)。

最初に待機児童問題です。保育園に入りたい方は年々増えています。多くのお母さん方から認可保育所、それも公立保育所に入れたいと聞きます。小規模保育があるけれど、保育の内容や子どもの処遇のこと食事のことなどで、認可保育所でないと安心して預けられないと言われます。県の子育て応援行動計画では、幼稚園の空き教室を使った預かり保育で待機児童を吸収するとしています。3年前の新制度で小規模保育事業所は激増しました。3歳までの預かりですが、確かに乳児の待機児童は解消に向かいましたが、3歳児の待機児童が増えています。とくに県南地域は待機児童がかなり多いのです。そこでは民間保育園が増えました。さいたま市なども公立保育所で臨時保育士が民間保育園の正規職員として引き抜かれています。保育士の取り合いになっています。待機児童を解消するには、保育士と保育園を増やしていくことが一番です。

<政府の「無償化」では解決しない>

政府は幼児教育や保育の無償化と言います。しかし保育の財源が無償化に充てられても「公定価格(保育のお金)」が変わらなければ、保育士の処遇改善にはまわりません。完全無償化も当面3歳以上児が対象です。一番保育料が高い0歳から2歳まではごく一部の非課税世帯に限られています。だから保育料がかかるこれらの方たちは、これまで通り高い保育料を払わなくてはなりません。
 
公立保育所は職員の賃金や運営費すべてが自治体の持ち出しです。予算がとれないのです。一方で保育所の開園時間は12時間、それ以上です。そのためシフト制が組まれますが、しわ寄せは労働者に集中します。保育士の家庭生活もたいへんで離職者が多くなります。政府は保育ママとか準保育士など資格を持たない労働者で保育士不足を解消しようとしました。私たちは有資格者が子どもの命を守り発達保障をしていくっていうことを大事にしています。

<保育士は子ども達の笑顔にやりがいと誇り>

国が「キャリアパス制度」を打ち出しました。15時間研修を受けると手当がつけられます。しかし「キャリアパス」の研修を受けさせれば現場は手薄になり、その穴埋めをするにも人手が必要です。その上保育指針を改定し君が代や国旗掲揚まで強制しようとしています。何も知らないわからない子どもたちに国旗や国歌を刷り込ませていいのかということも指摘しておきます。
 
最後に2点お伝えしておきます。一つは小学校以降の子どもに対して、海外では国民の一人として大切にされています。ドイツでは法的に位置づけた上で保育の無償化を行っています。日本の場合には法的位置づけがなくて、財源をどうするのかもわからないような状態です。就学前の子ども達の居場所や権利に対する国の義務がないのが問題です。学校に入れない子は一人もいないのに保育園に入れない子は溢れています。
 
また保育士の賃金です。東京都や千葉県などは、処遇改善費ということでかなりの額を上乗せしています。けれども現場ではいくらお金もらっても今の働き方では続けていけないというのが本音です。職員会議が午後9時くらいまで行われ、持ち帰り残業、風呂敷残業も日常化しています。腰痛などを抱え病院通いをしている方もいます。それは子ども達の笑顔に励まされ誇りとやりがいのある仕事だと思うからです。そういう人たちの熱意に支えられて埼玉の保育は成り立っています。
 
ニュース195号P-2
image