民主県政の会ニュース199号

「自然災害と県の農政」「ムダなダム建設より河川改修急げ」
「原発依存から自然エネルギーへ転換を」県政フォーラム
災害対策と産業政策で3人が報告

2月2日(土)午後、さいたま市の県民健康センターで民主県政の会主催の「県政フォーラム」が行われ53人が参加しました。「自然災害と農業」「八ッ場ダムなど大型公共事業」「原発と自然エネルギー」の3つのテーマで県政について学びました。
 
<県民のいのちと安全なくらし守る県政を>
 
フォーラムは昨年9月のシンポジウムに続くもので、今回は3人から報告を受けました。
埼玉県職員組合の塚澤和憲書記次長が「県の基幹産業の農業を支える農政を」、水資源開発問題全国連絡会共同代表の嶋津暉之氏が「八ッ場ダムなど大型開発が県政を歪める」、前東海村村長の村上達也氏が「原発依存から自然エネルギーへの転換をはかる県政へ」とそれぞれの課題で報告しました。
 
<県内農業の奮闘を高く評価すべき>
 
塚澤氏は埼玉県の主要な野菜の出荷高は全国的にも高く「農業県」を強調。埼玉県での風水害や大雪被害など近年の自然災害は農家や市町村のレベルでは対応しきれず、県の役割について話しました。一方で、県内農業の次世代対策は関係者の努力ですすんでいます。氏は県が農家などの奮闘を高く評価すべきと話し、いま上田県政の下で農林部など職員数が全国最低であり、その改善をはかることこそ急務だと強調しました。
 
嶋津氏は利根川流域の大型河川開発がすすめられ埼玉県が膨大な予算を拠出していると指摘しました。その上で「八ッ場ダム(群馬県)や南摩ダム(栃木県)など大型ダムは、治水にも利水にも役立たずムダな公共事業」の筆頭だと喝破しました。さらに昨年の西日本豪雨では、愛媛県の肱川(ひじがわ)が上流の野村ダムの放流で川が氾濫し、街に甚大な被害をもたらした実態を詳細に報告。その上で、今必要なのはダム建設より河川の整備・改修だと強調しました。
 
村上氏は、村長として自身が東海村の原発建設にかかわった経験から、原発を推進する大企業と政府の言いなりではなく、住民の命を守ることを第一義に村政を運営してきと証言しました。そして東海第二原発再稼働を許せば、事故の時は間違いなく埼玉県も被曝し大惨事になると指摘。再稼働反対の声を強めるよう呼びかけました。
 
3氏の報告は参加者の心を打ち、「もっと話しを聞きたい」の感想が多数寄せられました。
報告の詳細は、次回200号(4月1日付)に掲載します。
 
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東海第二原発について報告する村上前東海村村長
 
 

消費税10%が県予算にも影響
懸念される県民負担増
埼玉県議会2月定例会が始まる

埼玉県議会2月定例会が2月20日開会され、1兆8884億6千万円にのぼる2019年度当初予算など47議案が審議されます。
会期は3月15日までの24日間です。議案の内訳は予算関連21件、条例関係16件のほか、財産の取得1件や事件議決6件になっています。
 
<消費税増税による県民負担はするな>
 
条例案では国が今年10月1日から消費税を10%に引き上げることに伴う各種手数料の改定が目白押しです。例えば飲料水の水質試験に関わる手数料が引き上げられ、水道料金値上げにつながります。また県証紙条例の改正では、飲食店営業許可申請手数料の改定などがあります。これら手数料収入の影響額を県は4億2500万円(内、水道料金3億9000万円)と見込んでいますが、これらは県民の負担になるのです。そのうえ、県が日常的な業務をすすめていくときに必要な資材や備品類にも消費税がかかり、増税されれば県の支出に跳ね返ります。県はこれら一般会計への影響額を35億2900万円と見込んでいます。これらも県民の税金で賄われることになります。
 
消費税増税は、アベノミクスによる虚構の好景気演出により強行されようとしていますが、このような情勢だからこそ県が住民の暮らしを守る役割を果たすことが求められているのではないでしょうか。
 
<心配される県立4病院の独法化>
 
県は県立のがんセンター(伊奈町)、循環器・呼吸器病センター(熊谷市)、小児医療センター(さいたま市)、精神医療センター(伊奈町)の4病院を独立行政法人化する計画です。県はその理由として、病院事業の赤字経営をあげています。しかしこれらの病院は、新設や改築されて間もなく、それに伴う支出もあり赤字になるのは当然です。単純に「赤字続き」(マスコミ報道)だからと独法化していい訳がありません。独法化すれば職員は公務員の身分でなくなり、正規職員から非正規職員への置き換え、賃下げにもつながりかねません。職員の労働条件・権利の低下は、患者・利用者の安全・安心が脅かされる事態にもつながります。
 
地方公務員法及び地方自治体法改定を受け、県は昨年10月臨時・非常勤職員を「会計年度任用職員」にしました。2月定例会では、会計年度任用職員の報酬の改定や期末手当の支給など労働条件を整備する条例改正が提案されます。しかし会計年度任用職員と名前が変わっても、臨時・非常勤職員の労働条件や処遇改善がすすむとは限りません。正規でも非正規・臨時でも仕事や仕事に対する責任の持ち方は同じです。臨時・非常勤職員の労働条件と権利の向上を実現し、安心して働ける職場づくりが求められています。
 
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県立小児医療センター(さいたま市)
 
 

あけぼのブレーキ(羽生市)が私的整理に

1月30日、羽生市に本社のある曙ブレーキ工業(東京証券取引所第1部上場)が、私的整理の一種である「事業再生ADR」を第三者機関に申請し受理されたと発表しました。これにより取引銀行に対し、借入金の返済を一時停止するなどの支援を求めるようです。会社は事業継続しながら再建をはかるとしています。ホンダ狭山工場閉鎖のショックが冷めやらない中で、県内の大手企業の経営悪化が続いています。アベノミクスによる好景気はどこの話でしょうか。
 
■事業再生ADRとは、訴訟によらない紛争解決手続きで、銀行やグループ会社など当事者間で話し合い経営再建する方法。