民主県政の会ニュース213号

県議会6月定例会で1,600億円の補正予算
コロナ感染検査体制、医療機関支援強化
地域経済の回復や教育環境整備にも対応

6月15日~7月3日まで県議会6月定例会が開かれ、新型コロナウイルス感染症対策を柱とする総額1、591億8、554万円の一般会計補正予算が審議されています。議会では医療体制の強化や中小企業対策などをめぐり論議が交わされています。

補正予算案は県が独自に組んだ107億4、118万円(第5号)と政府の第二次補正予算にもとづく1、484億4、436億円(第6号)で、県のコロナ対策が医療体制の強化に力を入れていることを示したものです。県は感染症拡大防止と第2波への備えとして、抗原検査の導入や民間検査機関におけるPCR検査体制の拡充に約14億5、527万円をあてるとしています。また市町村の感染症対策事業への助成に10億4、500万円を、重症患者治療体制強化のためのTele―ICU体制整備への助成として7、900万円を計上しています。そのほか地域経済活動の回復に向けた支援や、遠隔学習など教育環境整備、学習指導員の追加配置を打ち出しています。

第6号では新型コロナウイルス重・中症患者受け入れ医療機関への助成、院内感染防止対策への助成、クラスター対策チーム設置、医療従事者や介護施設職員への慰労金などを盛り込んでいます。コロナ対策チームは病院や福祉施設、薬局など重症化リスクの高い人々が利用する施設で患者が1人でも確認された場合に派遣するとしています。また医療機関への支援では中等症以上の患者を診る「重点医療機関」の病床数確保に対する支援、患者発生に備えベッドを空けた場合、例えば集中治療室(ICU)内なら1日当たり30万1千円を補助します。対象として県内37病院450床分を見込んでいます。
このほか医療関係以外で中小企業・個人事業主の家賃補助の上乗せなど行います。
 
 

県補正予算案(第6号)の主な事業

■重点医療機関に対する病床確保・設備整備への助成 285億6700万円
■クラスター化防止のコロナ対策チーム設置・運営 1億1500万円
■医療従事者、介護施設職員への慰労金支給 371億5200万円
■感染症治療に対応する医療従事者への支援 1億6000万円
■中小企業・個人事業主に対する家賃支援 120億2400万円
■市町村立小中学校の学習指導員の追加配置への助成 24億900万円
■ひとり親世帯臨時特別給付金の支給 5億4400万円

大野知事が保健所体制を検証し検討すると答弁
日本共産党の質問に答える

6月22日には日本共産党の守屋裕子県議が一般質問に立ち県のコロナ対策を中心に討論を行いました。

守屋県議はPCR検査体制の抜本的強化と対象の拡大について、党県議団として最近行った「ふじみのクリニック」の院長との懇談などを踏まえ、厚労省の基準ではなく、症状のない方の検査・隔離を含めたPCR検査体制強化が必要と指摘しました。また県内の感染症指定医療機関の多くが公的病院であるにもかかわらず、厚労省が再編整備の対象にしていることの誤りを指摘しました。またこの間縮小してきた県の保健所体制強化や県立川越特別支援学校の教室不足解消などについて答弁を求めました。知事は守屋県議の質問に答えて、保健所体制の充実について検討することを約束しました。

また県教育長は、県内の知的障害特別支援学校に共通する過密解消は大きな課題として、高校内分校を含め取り組むと答えました。

20年度県国保運営協議会
法定外繰入の減額解消広げ、保険税率統一など問題点も
埼玉県社会保障推進協議会 川嶋芳男事務局長

埼玉県と市町村が共同で行っている国民健康保険組合の運営に関する重要事項を審議する令和2年度「第1回埼玉県国民健康保険運営協議会」が、6月11日さいたま市内で開催され、埼玉社保協の川嶋芳男事務局長が傍聴しました。協議会の様子などを川嶋事務局長に解説していただきました。

◇     ◇

新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言が発出されたことにより、4月に予定され延期となっていた埼玉県国保運営協議会が6月11日に開かれました。新年度の協議会では委員の変更があり、日本共産党県議団の秋山文和県議から秋山もえ県議に交代しました。

今年の国保運営協議会は、国保運営方針の改定が大きな課題となっていて、会議開催が約2か月遅れた影響により、今年度の改定スケジュールに影響が出ています。大きく日程が変わるのは協議会の審議日程で、県民コメント(パブリックコメント)を当初の予定どおり8月に実施するために、7月中に議論が尽くされるよう日程が検討されました。次回は7月16日の開催が決まりましたが、場合により7月中にさらに開かれる可能性があります。

今回の協議会は、会議時間が1時間しか設定されていませんので県側からの提案説明に終始し、質疑の時間はほとんどありませんでした。議題は
①埼玉県国保運営方針(第2期)原案について、
②2020年度の埼玉県国保事業特別会計予算について、
③2020年度保険者努力支援制度の結果、
でした。

県国保運営方針は6年間の計画でしたが、前半の3年間を第1期とし18年度(平成30)から20年度(令和2)まで、翌年度以降の計画を見直し第2期とし、21年度(令和3)から23年度(令和5)についても目標が設定されることになりました。

県の運営方針改定「改悪」提案もあり

この計画の見直しについては昨年から政府「骨太方針」や厚労省の審議会などから盛んに意見が交わされてきました。その意見を集約する形で、先月5月8日付で厚労省保険局長から「都道府県国民健康保険運営方針策定要領」が発表されています。この策定要領にそって埼玉県側も改定案を作成しているものと予想しましたが、いくつか国以上に「改悪」する提案が含まれていました。特に2つ問題点があります。第1は、市町村の一般会計から国保医療課特別会計への「法定外繰入」についてです。国は①「決算補填目的等」と②「決算補填目的等以外の目的」に分類、策定要領で①の決算補填目的の繰入の減額、解消の実行を迫っています。ところが、埼玉県の説明では①も②も「減額、解消」をめざすべき目標だと提案しました。憲法の地方自治の本旨から逸脱する考え方ではないでしょうか。

第2は、国は国保税(料)の全県統一に向けた議論を前進させるため、当面は「二次医療圏ごとに市町村間の検討」を求めています。しかし県は「埼玉方針」で県内統一保険税率の設定をめざすと提案しています。そもそも第1期計画では「当面は統一の保険税水準としません」としていたものを2年で方針を大きく転換しようとしています。さらに心配なことは、「国保税の全県統一」=「保険税額の引き上げ」を前提に提案していることです。秋山もえ議員が統一による影響を質問したところ「急に上がらないように」計画的に引き上げていくというのです。引上げが前提の提案です。コロナ感染の影響で休業を余儀なくされ大きく収入が減少している事態が進行しているのです。現状を直視するなら、国保運営方針の改定は、今年度は中止し延期すべきです。

コロナによる地域医療の疲弊を直視すべき

国保の運営では小鹿野町は国保病院の運営も行っています。医療提供体制にも責任を負うのが国保です。県は地域医療が疲弊している現状を直視しているのでしょうか、たいへん疑問に思いました。

次回の会議で本格的な議論が行われます。私たち埼玉社保協でも専門部会である国保部会を設置して検討を進める事にし、できるだけ早く私たちの提言をまとめたいと考えています。
(かわしま よしお)

20年度県国保運営協議会
協議会の審議の様子