民主県政の会ニュース214号

医療・検査体制・感染者宿泊施設拡充、保健所体制検討も
埼玉県議会 コロナ対策な ど第2次補正予算成立

埼玉県議会6月定例会は7月3日、新型コロナ感染症対策を中心とする約1600億円の補正予算案を全会一致で可決し閉会しました。
議会ではPCR検査の拡充や病院・医療従事者への支援、雇用や営業支援など、県民の命とくらしを守る県政をめぐって議論が交わされました。

補正予算では、埼玉県の郡市医師会に委託したPCR検査を来年3月まで延長し、また診療時間の延長も行われます。またコロナ病床の空床補償が、1床1万6190円から5万2000円に拡大されます。一方で、中小企業や個人事業主への支援として、国の制度に上乗せして家賃補助を行います。
日本共産党県議団は6月22日に、守屋裕子議員が一般質問を行いました。守屋県議は、PCR検査の拡大や第2波に備えた医療体制の整備、保健所の強化について質問しました。また中小企業・個人事業主の支援などについて取り上げました。保健所体制の強化について大野知事は「臨時の応援や業務を別に移すことよって対応してきたが、保健所体制について、今後しっかり検証し、検討する」と答弁するなど前向きな姿勢を示しました。

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重症者は確実に入院治療につなげる

大野元裕埼玉県知事は新型コロナ感染症拡大の第2波が懸念される中、7月22日の定例記者会見で、県民の関心が高い医療・検査体制や宿泊施設の拡充について問われ、次のように答えています。
知事は感染の現状について問われ「第1波・2波の定義はわかりませんが、今後ワクチンが開発されるまでは(感染拡大の)山があったり谷があったりとなる。それぞれの段階で政治としてしっかり対応することが大切」と答えました。
また県の医療・検査体制について「万全か」と問われ「人口1人当たりの医師数やベッド数が極めて低いこと」は認識しているとし、今後コロナ感染が上回っても医療提供体制に負担をかけず、感染症患者ばかりでなくそれ以外の方にも必要な医療を提供していくことが重要と述べ、重症のコロナ患者は確実に入院治療につなげると答えています。7月20日現在の重症者用ベッドは90床、「病床使用率は42%程度で比較的余裕がある」と説明しています。また検査体制について、1日最大1200件に達しており、今後も拡充・拡大させていきたいと決意を述べました。
宿泊施設については、東横イン浦和美園駅東口の171室に加え7月17日からは入間第一ホテルの99室、22日からは東横インつくばエクスプレス三郷中央駅153室を確保しています。現在の宿泊療養者数は85人で比較的余裕があるとしています。さらに院内感染を防ぐため「COVMAT(コブマット)」や疑い患者の搬送システムをつくると約束しました。

コロナの影響ひろがる
6月議会レクチャー

7月17日、県民要求実現大運動実行委員会(伊藤稔代表・埼労連議長)が、6月県議会レクチャーを行いました。
日本共産党の守屋裕子県議の議会報告のあと、各団体から活動が報告されました。各団体ともコロナ感染の拡大が組合員や会員の生活に大きな影響を与えていることが話されました。埼玉民医連は「医療労働者への慰労金支給は助かるが、いつになるかわからない」と不満。さらに病院経営が逼迫している様子をリアルに報告しました。また埼商連や埼玉土建は持続化給付金の申請が、前年度収入と比較できる書類を揃えるなど煩雑で、今困っている人たちを支援する制度にしてほしいと訴えました。埼教組の代表は教員の過重負担を指摘、国や自治体の対策強化を求めました。さらに新婦人は、PCR検査の拡充や子どものストレス解消を求めました。

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急がれるコロナ対応
台風で利根川の氾濫広域避難で備える
加須市議会議員  小坂 徳蔵(こさか とくぞう)議員団長の報告

昨年10月の台風19号は、埼玉県にも大きな被害をもたらしました。今年も心配される大災害。その上コロナ感染が重なる「複合災害」が県民に不安を広げています。県東部の加須市では、日本共産党市議団と市民による取り組みが始まっています。今後、県政の重要課題として取り上げていくことが求められます。

7月の九州豪雨は線上降水帯の長時間停滞により河川が氾濫し、多大な犠牲者を出しました。心からお悔やみを申し上げ、被災された皆様に衷心よりお見舞い申し上げます。
昨年、台風19号によって利根川と渡良瀬川の水位が急上昇し、深夜に「レベル5」が発令され、3万人の広域避難となった加須市民の一人として、九州豪雨は決して他人事ではありませんでした。

台風19号被害の教訓とコロナ感染の課題

秋の台風時期が近づき、利根川などの越水被害に備える必要があります。台風19号の教訓から市は、防災情報を伝える手段として、各世帯に防災ラジオの無償貸与を行っています。しかし、申請は市全体で3割弱の水準。住民のいのちを守るため引き続き市民に対する周知が必要です。
また昨年、深夜の避難指示で混乱したことから、市は明るい時間帯の避難を大前提に、3日前から「避難準備」の発令を予定しています。
問題は避難場所の確保です。昨年は広域避難3万人に対し、市が確保した避難場所は半分の1万5千人分でした。私は、少なくとも市が3万人分の避難所を確保するよう提案。当初、当局は難色を示していましたが、公共施設の再検討と民間施設の協力を得て、約3万人分の水害避難所60か所を確保しました。
ところが、新型コロナ感染が避難計画に大きな影響を及ぼしています。その内容は以下のとおりです。
1.毎年行っている防災講演会(利根川右岸・左岸の2か所で実施)を中止せざるを得なかった。
2.市の検証を基に、避難場所と避難ルートを変更したが、自主防災組織に対する説明会がコロナ禍で実施できない―文書による周知が主となる。
3.コロナ感染防止のため、避難所の「3密」対策が示され、新たな対策が必要となる。

加須市における具体的な問題点

①避難所の収容人員約27260人分を確保したが、感染防止の「3密」対策のため、実際に収容できる人は、当初見込みの4分の1に減少し、約6200人となる見込み。避難所に収容できない約2万1千人の住民をどうするか―これが大きな問題となっている。
②台風19号の際、県外自治体に協定に基づいて広域避難した。しかし県外自治体が避難所の感染対策の関係から、加須市民の避難受け入れが困難になっている。このため、加須市内の広域避難によって、避難対象3万人の避難場所確保が、新たに大きな課題となっている。
③水害避難所60か所に、コロナ感染防止の消毒液など保健衛生用品の備蓄が新たな課題となっている。今年度、補正予算で衛生用品の備蓄を始めたが、まだ不十分である。

求められる「誰ひとり取り残さない」避難計画

来る台風に備えるため、避難所におけるコロナ感染の「3密」を避ける必要から、いま市が確保した避難所の収容人数を、現行の4倍程度に増加させることが求められます。このためには、車中泊を含めた対応を考える必要があります。
また、水害などの自然災害に対し、「誰ひとり取り残さない」避難計画を具体的に作る必要があります。それには、水害時に一人では避難できない高齢者や障がい者など要援護者に対し、避難する際の協力者を見つけることです。自主防災組織の方々の協力を得ながら、要援護者の個別避難計画の策定を視野に、コロナ対策と同時並行で水害対策に取り組んでいます。

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