民主県政の会ニュース217号

県議会9月定例会
コロナ対策で約1300億円の補正予算を全会一致で可決
65歳以上のインフル接種は無料に、医療施設援助も

県議会9月定例会が10月14日閉会しました。議会では新型コロナウイルス感染症対策として医療提供体制整備などを盛り込んだ一般会計補正予算案など10議案が審議されました。補正は3回にわけて提出され、9月24日にインフルエンザワクチンの個人負担分の高齢者への助成が急設議案として審議可決されました。

県議会9月定例会では、新型コロナウイルス感染症対策や県内経済回復などを柱とする総額約1300億円の一般会計補正予算が審議されました。この中では、特に65歳以上の高齢者のインフルエンザワクチン接種費用の自己負担分補助が開会日に審議され、全会一致で可決されました。県民からは、負担なしでワクチン接種ができると喜ばれています。
補正予算には、コロナ患者を受け入れる医療機関の空床補償を、約5万2千円から7万1千円に引き上げるコロナ専用医療施設の整備費37億円余りも含まれ、これも全会一致で可決されました。県はコロナとインフルエンザの両方に対応できる診療・検査医療機関の募集や指定を、すでに10月15日から開始しています。また医療機関名は県のホームページなどで公表するとしています。11月14日までに指定申請した医療機関には50万円の協力金を支給します。県は、1200件の応募を見込んでいます。
さらにコロナ患者専用の仮設医療施設を整備する医療機関についても公募を開始。感染の拡大ピーク時に1400床の確保を目標に、仮設施設の整備などで達成をめざすとしています。

保健師の過重負担軽減と保健所体制整備を検討

10月1日には日本共産党の柳下礼子議員が一般質問を行いました。柳下県議は、新型コロナウイルス感染症の収束やひとり親家庭のへの支援強化、少人数学級の推進、豪雨災害対策・複合災害対策など取り上げました。特にコロナ禍での県内保健所の過重負担とその改善について質問しました。
柳下県議は、狭山保健所を視察調査の上で保健師の過酷な労働実態について質しました。コロナ蔓延期に狭山保健所の保健師の中には、過労死ラインの100時間を超える時間外労働が行われていました。かつて狭山保健所管内には飯能、所沢、狭山の3保健所があり、2005年には94人の職員がいたが、保健所統廃合で今は57人に減ったことを指摘、県の姿勢を質しました。これに対し大野知事は、平成6年の地域保健法の制定以来国策として保健所の再編がすすめられてきたことを認めるとともに、狭山保健所については「保健師の増員をはかった上で、今後の保健所体制の整備についてしっかりと検討する」と答えました。

◇     ◇

知事給与、議員報酬削減を自民党が否決県民の批判免れず 

  

9月県議会では、知事・副知事・教育長の給与と議員報酬の削減が提案されました。新型コロナ感染症で県民の暮らしや雇用が深刻な状況にある中、削減したお金をコロナ対策に充てようとする自然な流れで、県民の納得を得られるものです。
しかし自民党県議団は、削減額に論理的根拠がないと言いがかりをつけ「削減はパフォーマンス」として反対、否決しました。コロナの影響で看護師などのボーナス削減すら行われる中、自民党の対応は県民から批判を受けそうです。

◇     ◇

一人の業者も取り残さない
持続化給付金など国や県のコロナ対策制度を知らせ
埼玉県商工団体連合会 中村 稔(なかむらみのる)事務局長に聞く

申請資料「不備」で不受理相次ぐ
給付金申請審査の民間委託が弊害生む

コロナ禍が長引く中、国民生活は悪化の一途を辿っています。多くの国民が安倍首相に「自粛と補償は一体に」と求めましたが、政策の失敗で感染症対策も経済対策も迷走しています。とくに中小商工業者の生業が危機的状況です。その実態を埼商連の中村稔事務局長に聞きました。
内閣府が9月8日に発表した2020年4月?6月期の国内総生産(GDP)が年率換算で28・1%減となりました。安倍政権が強行した消費税増税の経済失政にコロナ禍がさらに追い打ちをかけた結果です。コロナ禍が広がる中、5月25日に「緊急事態宣言」が発出し、これにより飲食・観光をはじめ多業種にわたり、休業や営業の縮小を余儀なくされました。

業者の声に押されて実現した「持続化給付金」

民商・埼商連は、「中小業者が商売を続けていること自体が社会貢献」と主張してきました。3月23日に行われた全商連のコロナ対策要請の省庁交渉に参加し、経済産業省に休業補償や家賃などの固定経費の補助を要望しました。当初は「できない」の回答しかありませんでした。そうした中でも引き続き「自粛と一体の補償」を求めて運動を進める中で、国民と中小業者の切実な声に押されて、持続化給付金を初めとする支援制度を実施しています。

県も休業補償や家賃支援金を実施

埼玉県も5月から休業補償を実施し、引き続き第2弾も行いました。さらに国の家賃支援金に追加する形で家賃支援金も実施しています。
持続化給付金の申請が始まると会員の他、会員外からの相談も激増しました。政府が持続化給付金申請の審査を民間企業へ外注し、会計や税務の知識のない職員が審査業務を行ったため、全く問題のない申請資料を「不備」とする事案が頻発しました。そのたびに経済産業省への交渉を進め、ひとつずつ問題解決に当たらざるを得ませんでした。

一人一人が申請できるよう学習活動強める

切実な相談が引っ切りなしに続く中で、コロナ対策制度を学習し、持続化給付金を自分自身で申請した経験を通して、相談にのれる役員も増えてきました。
役員が毎日のように事務所を訪れ相談者の対応を進めた民商では、全国的にも注目を集める拡大数となりました。会員の口コミで、コロナ対策支援制度をわかりやすく伝えることで「民商の会員で本当に良かった」の声が広がり、会員拡大につながっています。
特に持続化給付金申請が電子申請に限られていたため、若い役員の奮闘が注目されました。
コロナ禍の終息が見通せない中で、「一人の業者も取り残さない」をスローガンに、まだ、コロナ対策制度を知らない業者への声かけを進めています。

◇     ◇

埼玉県の主な中小企業支援金(埼玉県HPより抜粋)

■資金繰り支援/融資限度額4000万円(個人事業主は別)融資期間10年、売上高▲15%、利率3年間0%
■経営あんしん資金/運転資金として1億円前年同期比売上高が減少または減少見込利率年0.8%以内(保証料率0.45~1.64%)、期間1~10年
■家賃支援金/賃料×1/15×6ヵ月(A)、又は賃貸借契約を複数件締結している場合30万円(B)のいずれか低い方の金額