民主県政の会ニュース219号

埼玉県議会12月定例会では、新型コロナウイルス感染症対策を中心とする補正予算など、逼迫する県民の命・健康、経済を守るための施策が審議されました。日本共産党は県職員などの期末手当を引き下げる条例案について前原かづえ県議が、村岡正嗣県議と秋山もえ県議の2人が一般質問を行いました。

医療従事者・医療機関に県独自の財政支援を
日本共産党村岡正嗣県議が一般質問
埼玉県議会12月定例会

村岡県議は12月7日に一般質問を行ないました。新型コロナ感染症への県の対策について質しました。
12月に入り感染者や入院患者が激増し、知事にフェーズⅣ対策と取り組みの決意を迫るとともに、来年度予算の見通しについて認識を質しました。新聞各紙が21年度は歳入不足になると伝えたことで、社会福祉関係者から「県単独事業から切り捨てられるのではないか」と不安の声が上がっています。村岡県議は、「コロナ禍だからこそ不要不急の事業見直しを徹底し、県民の最後のセーフティーネットである医療や介護、福祉に関する県単独事業は絶対に削減してならない」と迫りました。知事は「来年度予算編成では1475億円の財源不足が見込まれるがゼロベースで事業を見直し選択と集中を徹底することでセーフティーネットに必要な財源を確保する」と答弁しました。
また村岡県議が、「命がけでたたかっている医療従事者と医療機関に対しては、県独自の財政出動による支援が必要」と指摘したことに対して、知事は「本来国が財源を確保することだ」としながら「コロナ医療機関への協力金や看護職員手当など、県の独自支援を行っていく」と答えました。

公衆衛生活動は重要なインフラ(知事)

いま新型コロナとのたたかいを通して、世界中で公衆衛生の重要性が再認識されています。村岡県議は県の衛生研究所の設置根拠が厚生省事務次官通達のみで、県としての設置根拠を強め、地方衛生研究所を条例に位置付けるよう求めました。知事は「公衆衛生活動は社会経済を支える重要なインフラ」との認識を示すとともに、「九都県市首脳会議として衛生研究所の法律上の位置付けの明確化を菅総理に要望した」と答えました。
この他、村岡県議は生活困窮の学生への支援や、年末の資金繰りが深刻になっている業者への第2弾となる持続化給付金の支給、災害時の避難計画と避難所における感染防止、特別支援学校の過密解消などについて取り上げました。

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秋山もえ県議
保健師増員やひとり親家庭支援まったなし

12月9日は秋山もえ県議が一般質問を行いました。
秋山議員は、県が保健所の保健師増員で採用年齢制限を撤廃し38人の雇用をめざすとしたことを評価、「県立大学はもとより県内養成機関に積極的アプローチすべき」と求めました。保健医療部長は「県外も含め保健師養成課程を有する養成機関などに訪問して人材確保をすすめる」と表明しました。さらに、コロナ禍で生活環境が悪化している女性とくに「ひとり親家庭への支援はまったなし」と迫り、現金給付や食料支援を求めました。県は国の予備費活用の決定にもとづいて迅速に支給するよう努めると答えました。
秋山県議は、埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)に触れ、現状では2050年度までの目標達成は無理と指摘。長野県の「気候非常事態宣言―2050ゼロカーボン宣言」を紹介し、県の決意を求めました。
また高校の校則問題や一時保護所内の人権問題、手話通訳者養成について質問しました。

質問後に傍聴者に報告する秋山県議

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米軍の特権を野放しにしている地位協定の抜本的見直しは急務
埼玉県平和委員会代表理事  二橋 元長さん

政府は、コロナ禍で多くの国民や医療機関が疲弊する中でも、敵基地攻撃能力の保有を掲げ2021年度予算では5兆4千億円超の防衛費を計上しようとしています。
埼玉県平和委員会の二橋元長代表理事に、県内でもすめられる基地強化と県民生活への影響について聞きました。

米軍機が埼玉上空を勝手気ままに飛ぶ…

米軍のオスプレイが初めて埼玉県に飛来したのは、2014年7月21日でした。
以降、米軍の横田基地(東京)や厚木基地(神奈川)に飛来するオスプレイはひんぱんに埼玉県上空を飛び、いまでは全県63市町村のうち40を超える市町の上空を飛んでいることが明らかになっています。
オスプレイだけでなく、C130輸送機をはじめ、戦闘機や艦載機なども早朝深夜を問わず、勝手気ままに飛んでいます。休日も、お盆の時期も関係なく、です。
埼玉県も市町村も、県民も知らないうちに、埼玉上空が米軍の訓練場、それも他国への侵攻の訓練場にされている背景には、米軍が航空管制権を握る「横田エリア」や米軍の特権を野放しにしている日米地位協定の存在があることが浮き彫りになっています。

県条例の適用除外で県は調査もできず…

一方、所沢では、米軍横田基地の工事で出土した土砂が、米軍所沢通信基地内に運び込まれ、堆積されています。仮置き場といいながら、いつまで堆積しておくのか、米軍は期限を示していません。
埼玉県には土砂の堆積に関する規制条例がありますが、米軍は日米地位協定のもと、県条例の適用除外となっており、県は基地内に運び込まれた土砂の安全性を調査することができません。ここにも日米地位協定の壁が厚く、高く立ちはだかっています。

県基地対の要望書に地位協定見直し明記

県平和委員会は近年、埼玉県をはじめ市町村を訪問し、懇談する「ピース・キャラバン」をおこない、米軍機の飛行に対する「うるさい」「怖い」という住民の苦情を受け付ける窓口の設置、苦情を受けた際には関係機関(防衛省、北関東防衛局など)に問い合わせること、日米地位協定の抜本的見直しを国に求めること、などを申し入れてきました。
その甲斐あって、埼玉県と米軍基地・自衛隊基地をかかえる14市町で構成される埼玉県基地対策協議会が毎年、国に提出する「基地対策に関する要望書」には、日米地位協定の「見直しを行うとともに、その運用について適切な見直しを行うこと」が盛り込まれました。

地位協定見直し求め粘り強く国へ要請を

2018年7月27日には全国知事会が。日米地位協定の抜本的見直しを求める提言をまとめました。
大野元裕県知事は2019年9月30日、県議会における日本共産党の秋山文和県議の質問への答弁で、「ドイツやイタリアなどの地位協定には国内法の適用や基地への立ち入り権が明記されているなど、我が国の地位協定とは大きな違いがある」と述べています。野放し状態の米軍特権にメスを入れ、安全な空、平和なくらしを取り戻すためにも日米地位協定の抜本的見直しは喫緊の課題です。
埼玉県平和委員会では日米地位協定の抜本的見直しを求めて学習・宣伝・署名活動を強めるとともに、埼玉県や埼玉県基地対策協議会などが、国に対し粘り強く要請することを求めていきます。
(ふたつばし もとなが)

飯能上空を飛行モードで飛ぶオスプレイ(18.8.16)

「ピースキャラバン」で県と懇談(20.8.26)