民主県政の会ニュース223号

民主県政の会・県民大運動実行委合同の県予算レクチャー

2021年度埼玉県予算を検討
共産党 予算に賛成

県立4病院の独法化、マイナンバー推進事業 思川開発事業などに懸念示す

民主県政の会と県民要求実現大運動実行委員会の共催による「2021年度県予算分析検討会」が、4月6日(火)午後さいたま市内で行われ、オンラインを含めて14団体が参加しました。
日本共産党の前原かづえ県議が21年度当初予算の特徴と課題について、県議会の様子も交えて報告しました。

正面に座っているのが前原県議(左は新島埼労連議長)=4月6日

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コロナ感染を抑えるためにPCR検査の対象拡大を

前原県議は3月26日に発表された日本共産党埼玉県議団の議会報告「2月定例会を振り返って」にもとづき、日本共産党の質問と県の答弁について報告しました。
県議団は21本の当初予算について賛成しました。予算特別委員会では、前原かづえ県議が1千億円余りの新型コロナ対策予算や検査医療体制整備予算、120億円余の流域治水対策や洪水対応、家畜伝染病の防疫体制強化などについて質問しました。また大野知事が、熊谷・朝霞児童相談所・一時保護所整備予算や、県東部地域特別支援学校、高校内分校3校に加え、さらに3校の整備、大宮北・川越・三郷特別支援学校の増設方針を示したことを評価し、予算全体に賛成しました。その上で、大規模公共事業の思川開発事業やプライバシーを危険にさらすマイナンバー推進事業、医療不採算部門切り捨てにつながる県立4病院独立行政法人化・総合リハビリテーションセンターの公営企業化、教育環境に過度な競争をあおり教員に負担を強いている県学力学習状況調査などに懸念を表明、改善をもとめました。

一方、守屋裕子県議は総括質疑で、高齢者・障害者施設職員等のPCR検査で11人(のちに13人)もの無症状の陽性者が発見されたと指摘、高齢者・障害者、医療施設の職員の定期的PCR検査を今後も行うよう要求しました。その後補正予算でこれらの施設職員に月1回(4?6月)検査を行うための予算が計上されました。前原県議は補正予算審議で、PCR検査をデイサービスや作業所など通所系施設や保育施設職員にも対象を拡大するよう要求しました。大野知事はこれらの質問に「今後の状況を踏まえて検討する」と答えました。

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県政の弱点を変えるのは私たちの運動

参加した各団体からは率直な感想・意見が出されました。
多くの団体が「前知事から大野知事に代わり県民の声を聞く姿勢に変化があったことは確かだが、国の悪政押し付けを跳ね返し切れず、県民に負担を強いていることも少なくない」とする意見が聴かれました。

とくに県立病院の独法化には(国に抵抗してでも)強く反対して欲しいとの声が聴かれました。また医学生の奨学金は賛成だが国公立大学にはない。さらに特別支援学校については、入学するにも試験があり生徒が振り分けられている。県は現場の実態を見て政策を立てるべきと強い懸念が表明されました。
県政に弱点が多いことは確かだが、私たちが県の姿勢を変えさせるよう運動を強めることが、県民要求の実現に一番大事だと確認しました。

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医労連
病床削減を推進し、看護師を減らす法案に反対

埼玉県医療介護労働組合連合会 藤田省吾書記長

政府が今国会に提出した「医療法等一部改正案(医療法等束ね法案)」の柱は、「医師の働き方改革」と「医療提供体制改革」の推進です。
いま新型コロナ感染症の拡大が止まりません。緊急事態宣言終結後、瞬く間に第4波が迫り、再びコロナ病床の確保が困難になりました。にもかかわらずこの法案は、第3波での「医療崩壊」や「救える命が救えない」事態などなかったかのように、病床削減を推進し、そこで働く看護師を減らします。しかし、病床が確保できず「医療崩壊」に至った原因は看護師不足です。「医師の働き方改革」では、医師の長時間労働を合法化し、医師の仕事を他職種に肩代わりさせ医師増員を抑制したうえで、地域の診療科や病床の再編・削減や病院統廃合が狙われています。

ゆとり確保こそ感染症から国民のいのちを守る

また新興感染症に備えて、地域医療構想を超えて病床をかかえると「追加的負担がかかり続ける」と、「フェーズに応じた病床確保」「機動的に対応」する方針です。しかし、このやり方はすでに破綻しています。第3波では、病床は確保できても看護師が足りず、「確保病床」すら即座に稼働させることが困難で、「救える命が救えない」事態に陥り、「緊急事態宣言」に至りました。この間の効率化政策で余裕を削ぎ落されたもとで、機能せず行き詰まり破綻しました。感染の急拡大に対応するにはあらかじめ施設・設備やマンパワーに十分なゆとりを確保しておくことが不可欠です。政府の法案では、逆に病床もマンパワーも減らします。これでは感染症から国民のいのちを守ることはできません。

「いのちの署名」と議会請願をひろげ

日本医労連は昨年9月、「安全・安心の医療・介護の実現と国民のいのちと健康を守るための国会請願署名(いのち署名)」180万筆以上を目標に取り組み、県と市町村議会1788議会すべてに、陳情・請願をもれなく実施することを提起。これを受けて埼玉では3月定例会で64県市町村議会中40議会に提出。これまでに長瀞町、美里町、杉戸町、八潮市の議会で意見書の採択が行われました。
コロナ禍を乗り越えるためには、政治・政策を変えることが必要です。埼玉医労連は、あらゆる機会を通じて、職場の声を行政に届けられるようにしていく決意です。そのため引き続き6月議会でも陳情・請願運動に取り組むことにしています。