民主県政の会ニュース226号

PCR検査、ワクチン接種、業者支援など
職員の努力だけでは限界
医療従事者の増員はまったなし
埼玉県議会6月定例会のレクチャー開かれる

新型コロナの感染拡大が広がる中、医療従事者や保健所、保育士などのエッセンシャルワーカー不足が深刻になっています。限られた職員でコロナ抑制にあたるため、長時間労働が常態化し過労死ラインを超えている職員も少なくありません。とくに埼玉県では「最少の職員で最強の県政を」と職員不足を放置してきたことによる弊害が、様々な分野であらわれ始めています。

7月14日午前、県議会会議室で県民要求実現大運動実行委員会が県議会6月定例会レクチャーを行い、日本共産党の守屋裕子県議が議会の様子や特徴を報告しました。
県議会は6月定例会で、新型コロナ感染症対策を中心とする総額609億8610万円の2021年度一般会計補正予算を成立させました。補正予算にはコロナウイルス感染症まん延防止の影響で、月売上が半減している事業者や酒類販売事業者への支援金などが計上されています。また、高齢者・障害者施設職員へのPCR検査の通所系施設への拡大が盛り込まれており、日本共産党県議団は補正予算に賛成しました。世界では新型コロナ感染症の抑制に成功している国もあります。オーストラリアは本人が少しでも気になる症状があれば、無料でPCR検査を受けることができます(のべ検査実施率45%)。またイタリアでは、自覚症状がなくてもホームドクターの処方箋があれば無料で検査が受けられます。フランスも同様です。
埼玉県は全国的には検査数が第2位ですが世界の水準から見れば十分と言えません。守屋県議は一般質問で、県がこの間行っている「集団検査」を評価しつつ、「私たちは園児が泣いたら抱っこし密に接することが避けられない」と声をあげる保育士を紹介し、保育士・学童・放課後デイなどの職員への集団検査拡大を求めました。県はこれらの職員のPCR検査を重点的・集中的に実施するとしたものの、保育系の職員には「国の方針に基づき適切に対処する」とのべるに止めました。
守屋県議は新型コロナウイルスの陽性者が最大となった今年1月の状況を指摘しました。この時期の職員の時間外勤務の最長は、感染症対策課では月218時間、保健医療政策課は213時間、熊谷保健所では208時間、感染対策課職員全体の最長は137時間と「過労死ライン」を超えています。県の職員数不足が長時間労働の要因であることは明白です。守屋県議はこうした状態の一刻も早い解消を求めました。

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誰もが受けられる
奨学金制度を

ニュース226号1面P-1

レクチャーに参加した団体の発言では、新婦人県本部が奨学金の返済困難な大学生や親への支援を要請した際、対応した職員から「県には奨学金の窓口がないので応じられない」と門前払いされたと報告。埼生連は生活に困窮している学生が生活保護を受けられるように運動したいと発言。他の団体からもコロナ禍で学ぶことが保障されないことに「県民の暮らしを守る県政と、それを実現する県職員の増員がどうしても必要」と声が上がりました。

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選手、大会関係者、市民らにコロナ広げるオリンピック
選手の感染は競技の公平性を損なう

「東京五輪・パラリンピック2020」が、多くの国民の不安や反対の声を押し切って7月23日開会されました。
開催都市「東京」で感染者が2千人を超え重症者も増加、医療関係者から医療崩壊に警鐘が鳴らされ続けているにも関わらず、菅首相は「ワクチン供給が広がり、重篤な患者も抑えられている。オリンピックは世界中の人々に勇気と感動を与えている。安全安心のオリンピックを世界に発信する」と聞く耳を持ちません。こんな状態でオリンピックを強行することに意味があるのでしょうか(編集部)。
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開会式に先立って行われたサッカー男子予選リーグの日本対南アフリカ戦。南アチームで3人の感染者が判明し、濃厚接触者が8人と発表されました。濃厚接触者は競技の6時間前に検査を受け、全員「陰性」だったので条件が整い予定通り試合が始まりました。しかし出場した南ア選手の中には、不安を隠せず「チームは万全な状態とは言えない」と語る人も。これが公正でフェアな試合と言えるのでしょうか。
外国の選手の中には、ウイルスの陽性が見つかり、競技への参加を断念した方も少なくありません。すでに今回のオリンピック関係者の中には132人(7/25現在)もの感染者が見つかっています。オリンピック出場を目標にしてきた選手も献身的に選手を支えてきた関係者も夢の舞台に立てないのです。
日本国内では東京をはじめ多くの自治体で「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が発出され「集まるな」「飲むな、食うな」「不要不急の外出はやめろ」と規制がかかります。昨年からの営業自粛で倒産や廃業を余儀なくされた業者も少なくありません。支援金や協力金もなかなか手元に入りません。ワクチン接種も供給ストップの事態が続いています。
しかも競技会場はほとんどが「無観客」。政府やオリンピック関係者だけが観戦しています。「拍手」や「歓声」を録音で流すところもあるようです。
一度決めたら、どんな困難があっても押し通す。それがオリンピックを推進する方々にとって「勇気と希望を与える」ことなのでしょうか。

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埼玉に再び緊急事態宣言か
確保病床使用率47・4%(25日)

一方、県内の新型コロナウイルス感染症の拡大が止まりません。大野元裕知事は7月26日に臨時の記者会見を開き、感染拡大の傾向にある飯能市や狭山市など5市1町を新たに県独自の「警戒区域」に指定し、これまでに指定している坂戸市など2市と合わせて7市1町に広がりました。確保病床使用率は6月末に20%を切っていたものが、感染者の増加とともに上昇を続け25日には47・4%に達しました。これは国が緊急事態宣言発出の目安となるステージ4(感染爆発=50%以上)に迫るもので、知事は国に緊急事態の要請を検討しています。