民主県政の会ニュース200号

消費税10% 増税による県民への負担増やめて
埼玉県議会 2月定例会おわる

埼玉県議会2月定例会は、1兆8884億6千万円の新年度一般会計予算などを可決して3月15日閉会しました。議会で日本共産党は消費税10%増税に伴う料金改定(引き上げ)など、県民のくらしに影響を与える問題で県や上田知事に質問しました。
 
日本共産党県議団は知事提出の69議案と1本の修正案の内16件に反対しました。
県議団は平成31年度一般会計予算について、10月からの消費税増税を前提とした手数料改定や、八ッ場ダム・思川開発事業費11・7億円が計上されていることなどから反対しました。また国保事業特別会計予算は、市町村による法定外繰り入れ削減を促すとともに、県民の暮らしを無視した国保税収納率向上が行われる懸念も拭えず、被保険者である県民の負担増につながるものと反対しました。
 
<民間にも公務にも雇用拡大促す県政を>
 
予算特別委員会では「埼玉県産業立地促進補助金」が取り上げられました。これは地域経済活性化を目的に、県内に工場等をつくる企業に不動産取得税相当分を補助する制度。村岡県議はたった5人の雇用でも1億円が助成され「政策効果として低すぎる。要件をもっと引き上げるべき」と制度の改善を求めました。また工場閉鎖で解雇しても県内に新工場をつくり雇用すれば補助金が受けられるのでは雇用増にはならないと見直しを求めました。
 
また新年度を目前に深刻化する臨時的任用教員の雇用問題が取り上げられました。臨任教員は正規職員と同等の仕事と責任を持って働いても、1年ごとの契約なので社会保険にも入れず退職金もありません。共産党の前原かづえ県議は県内に3千人もいる臨任教員を正規で雇うよう求めました。この他、県立病院の独立行政法人化や重度心身障害者医療対策助成制度の所得制限などが審議されました。
 
◆訂正とお詫び◆
ニュース198号1面の「請願・意見書への各党の態度」の表中「原発再稼働促進意見書」に立憲・国民・無所属が○(賛成)は×(反対)の誤りです。
また199号2面県議会の記事中、下から2段目に「地方自治体法」とあるのは「地方自治法」の誤りであり、それぞれ訂正しお詫び申し上げます。
 
 

県政の問題点と解決の方向が見えるパンフレット
「DATAで見る私たちのくらしと埼玉県政」

5月1日発行予定 団体・地域で活用を
 
ニュース198号でお知らせしましたが、民主県政の会の政策パンフ「DATAで見る、私たちのくらしと埼玉県政」(2019年度版)は、5月1日発行で準備がすすんでいます。
 
パンフレットはA5版、33ページで、会がまとめてきた県政政策「住みたい・働きたい埼玉15の最重点政策」を、表やグラフ、写真など使って、見やすく理解できるよう作成したものです。重点政策のタイトルごとに見開き2〜4ページに収められているので、コピーして学習会や会議などの資料にしたり、チラシに転用するなどいろいろと活用できます。
 
4月上旬には民主県政の会のホームページにアップされますので、急いでいる方はご利用ください。頒価は1冊・200円。団体でまとめて購入する場合は相談の上対応します。
 
 

県立病院の独法化を学ぶ 埼玉社保協などが学習会

県立病院の地方独立行政法人化問題で、埼玉社保協などが共催して学習会を行います。
昨年の県議会で自民党が特養ホーム事業の予算を凍結する付帯決議を強行採択。このなかには県立病院の独法化も含まれており、県は今年度予算で2億円の調査費を計上しています。
□日時 4月24日(水)18:30
□場所 埼玉自治労連会館3階
□講演 本田宏(医師)、ほか。
 
 

埼玉は県職員数が全国最低レベル農家のがんばりに応える県の役割
2・2県政フォーラム報告①

県の基幹産業の農業支える農政を 塚澤 和憲氏
 
2月9日に行われた県政フォーラムでは「農業」「ムダなダム建設」「原発」について、それぞれ3人の方からお話を聞きました。今号では、それらの報告の詳細を1ページごとにまとめて掲載します(発言要旨を編集部の文責で掲載します)。
 
上田県政の2003年に埼玉県の職員数が大幅に減らされました。人口1万人当たりの職員数12・2人は47都道府県で最低(全国平均23人)ですが、上田知事は最小最強の県庁で仕事をしていると自慢しています。県庁改革をうたった行財政プログラムというのがあります。県の財政力指数は2017年で全国5位です。財政的には悪くありません。人件費を減らし職員の負担を増やして県政運営をしているのですから当然です。
 
埼玉県は、都市近郊という立地条件を活かして農業生産高がかなり高いのです。全国比較では小松菜が1位、きゅうりは4位です。サトイモや深谷ねぎなども有名です。胡蝶蘭やカトレアなども埼玉県は1位です。
 
自然災害に備える県政の役割について報告します。埼玉県は秩父方面には山が連なっていますが、平野部が非常に広がっています。比較的自然災害が少ないと言われています。台風の被害はありますが、農業や農家の被害は少ないのです。ところが大雪の被害は被害額が非常に大きくなっています。2016年に県北であった大雪災害は、とくに秩父地方で積雪がこれまでの倍近い100㎝にもなりました。ハウスの倒壊や破損が広域に及びました。ハウスの復旧は進んだものの、高齢者の中には「これ以上続けられない」と営農を諦めた方もいます。
 
またお米の被害では「彩のかがやき」です。台風後のフェーン現象などで米が白くなってしまい、埼玉米に対する印象が悪くなってしまいました。私は高温障害対策で品種改良を研究していて、そのときにも職員数の減少が障害になりました。研究職の中にも評価主義が持ち込まれ、短期間で結果を出すよう求められ不完全な形で新種の登録をせざるを得ず、高温障害が出てしまったのかと思います。
 
東日本大震災では津波被害こそなかったものの栗橋の液状化。深刻だったのが停電です。特に3月の時期はビニールハウスの中でストーブを燃やしていますが、電気が途絶え暖房が回らないという状況でした。風の影響でも放射能が風によって飛び、しいたけの原木とかとにもかなり付着して二次的な放射能の問題も起こりました。
 
イオンのトマト栽培ですが、これは水耕栽培というシステムを使っています。元々イチゴづくりでやっている方式で、ハウス施工業者の方式を取り入れています。しかし暖房の装置の使い勝手が悪く、場所によっては下水処理場の隣に設置しそこの熱を利用して栽培している。トマト自体は栽培できているようですが問題もあります。
 
埼玉県は財政状況が悪くないのに、農業を守り発展させる役割を負う職員数が全国最低。農業災害の頻発化に対する施設やインフラ整備が遅れています。私達職員は県民のための農業を守り発展させることが大事だと感じています。
 
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つかざわ かずのり
埼玉県職員組合書記次長、自治労連都道府県職部会政策委員
 
 

治水にも利水にも役立たないダムより河川・堤防整備を
2・2県政フォーラム報告②

八ッ場ダムなど大型開発が県政を歪める 嶋津 暉之氏
 
利根川流域の大型河川開発は3つあります。群馬県の八ッ場ダム、栃木県の南摩ダム、茨城県の霞ヶ浦導水事業です。3河川事業で開発する水量のうち埼玉県の水道水は、八ッ場ダムが毎秒0・67トン、南摩ダムが1・163トン、霞ヶ関は9・24トンになります。その費用負担は合計9070億円。埼玉県の負担は818億円。内訳は水道用水が7割、河川路が3割です。また水源地域整備費用とか水源地域対策費用も加わり、3河川事業全体で1兆496億円にもなります。埼玉県は現段階でも1077億円を負担しています。
 
東京、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木の6都県の水需要の内水道量を見ると1992年までは確かに増えました。しかしその後は減り2015年にはピーク時より260万トンも減っています。給水人口ではおおよそ6百万人分の減です。しかし国は1500トンまで増えると予測し八ッ場ダム建設がすすめられています。給水量が減っているのは節水家電の普及や生活様式の変化で季節変動が小さくなったことなどが要因です。今後は人口減少で水が余り、大型河川開発事業は必要ないのです。
 
<全国に広がる水害荒川貯水池増設は不要>
 
昨年7月に244人の方が亡くなる西日本豪雨災害が起きました。このうち53%は土砂災害です。西日本豪雨ではダムの決壊や河川の氾濫が起きました。愛媛県の肱川(ひじがわ)にある野村ダムと鹿野川ダムの二つですが、ダムの放流で肘川が大氾濫を起こしたのです。上流にある野村ダムの通常の放流は毎分300トンですが、満水のため一気に1800トンも放流したため川の水が溢れてしまいました。
 
未曾有の豪雨ですから急速に量は増えますが、ダムがなければ4〜5時間かけて水位が上がってくるはずで、住民はそれを察知して逃げることもできたはずです。しかしダムの放流で1時間足らずで300トンから1200トンにも増水したのです。ダムをつくることばかり熱心で河川改修をおざなりにし無堤防地帯が放置されてきた結果です。
 
3年半前の鬼怒川の大氾濫も同じです。堤防がない若宮戸地域と上三坂地域から大量の溢水が常総市に流れ込みました。国交省は大洪水が来れば氾濫することが十分予想されるところを放置していました。
 
八ッ場ダムには利根川の洪水調節、我妻川の流量維持などの目的があります。2020年完成予定で9割方本体工事が進んでいます。しかし八ッ場ダムの周辺の地質が悪く、水を貯めると地すべりを起こす危険性が高いのです。私たちの指摘で住民が移転するための安全な代替地を確保することになりました。
 
また荒川に、第二・第三貯水池を建設する動きもあります。すでに第一貯水池はできていますが、その上流に第二・第三・第四貯水池をつくる計画で1670億円もつぎ込むのです。必要な事業なのか疑問です。
 
治水にはダム優先でなく、河川改修やお金はかかっても堤防の整備、とくに決壊しにくい堤防をつくることこそ大事です。
 
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しまづ てるゆき
水源開発問題全国連絡会共同代表、八ッ場ダムあしたの会
 
 

日本は原発をもつ技術も資格もない福島原発事故に学び 原発止めよう
2・2県政フォーラム報告③

原発依存から自然エネルギーへの転換はかる県政へ 村上 達也氏
 
上田知事は最少最強の埼玉と言って、最強というのをモットーにしているようですが、安倍首相も「強い日本をつくる」と言います。私は、強い日本なんていらないと思っている一人です。ムダなダム建設をすすめている国土交通省は、原子力政策でも同じです。
 
私は1997年に原発推進の旗振りをしていた前村長の指名で村長になりました。このとき東海村に135万キロワットという超大型の原発を2機つくる計画が進められていました。しかし私が村長になった年、東海原発でIAEA基準、国際基準でレベル4の火災爆発事故がありました。さらに2年後には臨界事故が起こりました。工場境界で0・842ミリシーベルト。今の値で言えば840マイクロシーベルトというような非常に高い放射線が測定されました。原子力災害で最初の住民避難を敢行しました。まだ原子力災害特別措置法はなく、村長に住民避難を命じる権限もありませんでしたが、住民を守るためにはその発生源から遠くに離すということが基本中の基本です。茨城県は屋内退避で十分だと言いましたが、村長の判断で避難させました。この国は原発だとか原子力技術というものを持つような力と資格はあるのか疑問がわきました。原子力は国策だと言われ安全神話がつくられました。福島原発事故は全電源喪失しメルトダウンになりました。原子力発電所の安全基準には全電源喪失は考慮する必要なしと明記されているのです。
 
東海村は原子力発祥の地、日本の原子力開発を推進する拠点と言われ、必要な施設は全部集まっています。そのため、次の村長選はたいへんでした。有権者は日立製作所関係者か原子力産業に関わっている方が多数です。それを打ち破って当選し4期務めました。
 
東海第二原子力発電所
(げんでんホームページより)
 
原発事故起これば埼玉に30万人避難
大型でなく環境を考慮した自然エネルギーへ
 
私が反原発を掲げた原点は、1999年のJCO臨界事故です。東海村は放射能で汚染されているのではないかとの不安が広がりました。村民が旅行先で宿泊しようとすると「どちらから来た」、東海村だと答えると「あちらの部屋へ」と離れに追いやられるようなこともありました。茨城県の農産物は全面的に排除されました。2011年3月11日の東日本大震災で東海村も被災し、道路、上下水道、電気が全部破壊され原発もあわやというところまでいきました。福島原発災害を学び、私自身が原発を止めよう、日本から原発をなくそうと強く決意したのです。
 
東海第二原発は1978年の稼動から40年経過し、さらに20年延長しようとしています。安倍政権の成長戦略には原発輸出と原子力科学技術の確保があります。したがって東海第二は相当がんばらないと止まらないと思います。この周辺30㎞圏内には100万人の住民が暮らし、またさいたま市までの距離は110㎞。東海原発で福島のような事故が起きれば茨城全県・水戸市から30万人ぐらい埼玉に避難します。
 
新エネルギーはますます普及すると思います。しかし太陽光発電の大型化など、やたら大きなものを一ヵ所につくるのは反対です。それで自然環境を破壊するというようなことがあってはなりません。バイオだとか農産物の廃棄物を燃料にするとかも考えられます。埼玉も含めて、これは地方からすすめていくべきです。
 
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むらかみ たつや
元 茨城県東海村村長(4期16年在任)