民主県政の会ニュース227号

コロナ感染拡大 深刻な医療崩壊
パラ五輪は中止を

宿泊・自宅療養で命守れるのか
新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。県内でも8月23日、新たに1696人の感染者が確認されました。死者は869人(22日)、重症者155人、入院1283人、宿泊療養668人、自宅療養は2万758人に達しました。
感染が急拡大する下で医療の逼迫が深刻な事態に陥っていまが、救急搬送にも大きな影響を与えています。さいたま市では8月1日から12日の救急搬送がコロナ患者以外を含め2206件、平均滞在時間は22分でいずれも最終的には搬送先が見つかっています。しかし14日に自己診断でコロナ陽性が判明した男性が、搬送先が決まるまで10時間10分かかったことが報告されています。千葉県で陽性の妊婦が入院先がなく自宅で出産、赤ちゃんが亡くなる傷ましい事故も起きています。これらは病床不足に大きな要因があることは明白です。
新型コロナウイルスに感染し自宅で療養する県内の患者は8月に入って激増しています。感染者は容態が少しくらい悪くても、保健所の判断がなければ入院することが難しいのが現実です。緊急の場合には自宅感染者支援センターから医師が派遣されます。しかし訪問診療ですから必要な手当が受けられない場合もあります。容態が急変した場合には、医療機関に入院することになっていますが、病院が見つからず手遅れになるケースもあります。いま自宅療養者の死亡が急増し、東京・埼玉など首都圏4都県の死亡者は7月以降だけでも18人に上っています。埼玉では7月はゼロでしたが8月に入って3人の死亡が確認されています。

学校観戦に教育委員会も反対
一方、8月24日東京パラリンピックが始まりました。五輪同様、組織委員会はコロナ対策を取っていますが、関係者の中に陽性者も出ています。競技は多くの会場が無観客で行われますが、子どもたちの学校観戦がすすめられています。しかし教育委員会などからも中止の声が広がっており、パラリンピックを強行すべきではありません。

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メガソーラー計画に地元(小川町)は中止の声
民主県政の会は小規模発電で地域密着型を提唱

今年7月に静岡県熱海市で大雨による大規模土石流が発生、多くの死傷者と家屋流出、周辺地域に甚大な被害を生じさせました。土地開発で傾斜地に積み重ねられた大量の土砂が大雨で流出したもの。これは熱海市だけの問題ではありません。
埼玉県小川町笠原・飯田地区の丘陵地帯に計画されている県内最大の太陽光発電施設(メガソーラー=出力4万kw)の土地造成計画でも72万平方立法メートルもの盛り土が予定されています。計画地域の一部では19年10月の台風19号の際に地滑りが発生しています。計画には林伐採規模29・9ヘクタールも含まれており、住民からは「林地には設置しないで」「里山をなくすな」など300を超える中止を求める意見書が提出されています。今年の6月県議会で日本共産党守屋裕子議員は、住民説明会で参加者全員が退席する事態となったことに触れ、「住民の声を尊重して誠意をもって対応すべき」と事業者と県の姿勢を質しました。
民主県政の会は2019年発行の「DATAで見る、私たちのくらしと埼玉県政」でエネルギー問題を取り上げ、「送電エネルギーロスを低くし、地域経済活性化の視点から小規模の地域密着型の発電設備」の必要性を提唱しています。

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2021年社保キャラバン

全県自治体訪問を通じて考える国保運営の問題
埼玉県社会保障推進協議会 川嶋 芳男 事務局長

コロナ禍の自治体訪問

2021年自治体要請キャラバン行動が6月22日から7月5日まで実施されました。密を避けるため原則10人の参加で、行政側にも感染予防対策として広い会場の確保や換気、消毒の用意などの対策を事前に要請しました。結果としては、各団体、地域組織のご理解とご協力をいただき、感染者数も減少した中で、実際の参加は延431団体(平均7団体)、延651人(平均10人)、行政側は736人(平均11人)の出席で懇談を行う事ができました。
コロナ禍で多くの参加者を組織しての事前学習会や打ち合わせはできませんでしたが、14の地域では社保協の総会などを兼ねて必要な事前学習と準備を行っていただきました。
また、当日の懇談では、行政側には懇談事項については文書で回答を用意していただくようお願いしたところ、63市町村中55自治体(87%)で文書が配布されました。

事前アンケートへの自治体の反応
キャラバンの事前アンケートは原則4月1日時点での420項目の質問に対し4月中に回答が届き、冊子にまとめ行政側と参加者に配布しました。周辺の市町村の保険税率や資格証明書の発行状況などを比較しながら改善を求める要請ができました。いくつかの自治体では開会冒頭の行政側の挨拶で「アンケート資料集を参考にしている」「作成していただき感謝」と述べていただいきました。

埼玉県の国保運営はどうか
国保についてです。先の国会で成立した高齢者医療2倍化の一括法には、国保法の改正が含まれており、都道府県の国保運営方針に、全県統一保険料(税)と法定外繰入解消計画の明記を強要しています。しかし埼玉県では2021年度からの第2期国保運営方針で、この2つの項目が書き加えられる改悪が行われました。これは憲法92条の地方自治の本旨に基づく市町村の自治への干渉であり、解釈改憲の進行を現わしています。
埼玉の国保は今年どうなったかです。県内63市町村はすべて国保税で運営していますが、2021年度の保険税率改定は11市町村に留まり、内引き上げが4、引き下げが6、両方の改定が1市町村で、引き下げが上回りました。賦課限度額引き上げは39市町村でした。法定外繰り入れは前年度と同じ42市町村で実施され、全県の総額では2020年度予算より55億円増額され、1世帯平均では19万円増額する予算化が行われました。訪問でこの増額についての理由を尋ねたところコロナ禍にあり保険税を引き上げる状況ではないと判断されていました。

「コロナ減免・傷病手当金」特例制度は全額国庫負担で

国は2020年度に、国保の「保険税コロナ減免」「傷病手当金」の二つの特例制度を年度内に限定し全額国庫負担で制度化しました。2021年度も継続しましたが、国は全額国庫負担を渋り市町村の負担が発生しています。申請者数が少ないことや、傷病手当金でも事業主には支給対象外としている問題があります。しかし、和光市や新座市では国保加入の事業主に傷病手当金ではなく定額の見舞金を給付する制度を創設しており、全国的にも大きな注目を集めています。今後はコロナ禍だからという一時的な国保税減免や傷病手当金ではなく、恒常的な制度にさせていく必要があると考えています。コロナ禍でも骨太方針2021は「医療費適正化計画」を推進するとしています。こんな政権には早く交代していただく必要があります。