イデオロギーでなく、市民の生活と福祉向上が市の役割 もっとあっていい県の支援 9・8県政シンポジウムの発言から 要旨

私は市長として、市民の生活と福祉の向上が大事な役割だと考えてきました。
イデオロギーではなく、どんな政策で預かった税金を市民にフィードバックしていくかを心掛けました。
市長と議会は車の両輪です。何でも賛成というわけにはいきませんし、何でも反対というわけにもいかない。
改善提案の中で良い企画であれば受け入れて街づくりをすすめてきました。
 
市長になったのは平成4年。バブルが崩壊して国全体が厳しい財政状況の中でした。
財政的には市民サービスの財源がありません。そこで箱物はつくらない、コンクリートから人へという考え方ですすめてきました。
経費の節約もすすめました。

平成7年に阪神淡路大震災が起こりました。震度7の地震でした。国交省から「震度7に耐えられる街づくりを」の通達が出されました。
特に小中学校等については、耐震診断をして耐えられなければすべて補強工事をやりなさいと。学校は避難場所でもあり子ども達の命と健康を守るところですから、すべての小中学校と公共施設の耐震診断を行いました。
平成8年から国の補助が出るとことになり、小中学校最優先で24校の耐震補強工事を行いました。
鉄筋の劣化やコンクリートの劣化などで、補強工事では治せないところは建て替えました。平成13年に一校建て替え27億円近くかかりました。

<国の支援なしでも公立保育園6園増設>

保育園の増設も行いました。保育園は国と市、事業者の負担で建設します。法人保育園への補助は、国が2分の1、市が12分の1、保育園の法人さんが残りを持ちます。国の補助以外に市が特別補助を出すのはたいへん珍しいことですが、どんどん建設しました。市長になって法人は30園、さらに3園つくり33園になっています。また公立は6園です。公立は国が支援すべきですが一銭も出さない。少子高齢化の時代にあって、しっかり子育て支援をして、生み育てやすい地域環境をつくっていくのは地方自治体だけでなく国の仕事でもあります。エアコンの設置やトイレ改修も水洗・洋式に切り替えてきました。

<子ども医療費、所得制限なしで高校まで無料に>

子ども医療費。これも子育てしやすい環境づくりでは一番大きな政策です。医療費の入通院無料化をすすめ、平成25年からは高校生まですべて無料にしました。全額無料で所得制限を設けていないのは新座市だけでした。県は中学生まで50%支援していますが所得制限を設けています。入通院とも県と市で半分ずつ持ちますが所得制限があり県の負担は28・3%、しかも就学前までです。新座市は小学校1年から高校3年生まで所得制限なし。県にお願いしたいのは国をあげて少子化対策をすすめようというのだから、それにもとづいて子ども医療費の支援、保育園の建設費や保育士確保に力を入れることです。新座市では法人保育園の保育士さんには月1万円の特別補助をしています。東京に引き抜かれないようにと。東京では家賃補助までしています。保育園をつくっても保育士がいなければ子どもを預かれません。この方策、政策、支援策を県はしっかり考えていただきたい。人口を増やし安心して子育てできる地域と国にしていく上で、県の支援が少し薄いのではと残念な気持ちでいっぱいです。(文責・編集部)

須田健治(すだ けんじ)
1992年から6期24年、新座市長の要職を務める。
 
197号3面P-3
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