オスプレイの横田基地配備で常態化する埼玉上空の飛行 埼玉県平和委員会 事務局長 二橋元長氏 寄稿

在日米軍は今年4月3日、「空軍特殊作戦用CV22オスプレイの配備を1年半前倒しして、今年夏頃におこなうこと」「その後数年かけて、10機のCV22と450人の人員を配備すること」、それに先立って「今週後半(当時)にも5機のCV22が横田基地に一時的に立ち寄ること」を突然発表。直後の4月4日には5機のオスプレイが横浜の米軍ノースドックに陸揚げされ、翌5日には横田に飛来しました。

その後の報道によると米軍は3月16日に日本政府に通報したものの、日米両政府は3週間にわたって情報を隠ぺいしていたことが明らかになりました。

埼玉に隣接する東京の米軍横田基地は、これまでハワイやアラスカ、グアムなどを結ぶ米軍の航空輸送の拠点基地でした。
ところが、昨年5月1日には無人偵察機RQ4グローバルホークが、5月26日には在韓米軍のA10攻撃機サンダーボルトやF16戦闘機など、輸送機以外の軍用機が飛来。6月1日には韓国空軍のKF16戦闘機6機が、空中給油支援に支障をきたしたとして橫田に緊急着陸しています。輸送の拠点だった同基地が、すっかり戦闘機の中継基地になってしまいました。

【CV22が県内上空で目的外訓練】
それに加えて、CV22オスプレイの配備です。

CV22は、敵地侵入、夜間強襲、暗殺、拉致などの特殊作戦任務を持っているため、離着陸、編隊飛行、物料投下、リベリング訓練などに加え、激しい夜間超低空飛行訓練などを必須としています。「より過酷な条件下で訓練活動を実施」するので、海兵隊用オスプレイよりも、さらに事故率が高いことを防衛省も認めています。
 
オスプレイは、昨年3月の日米共同訓練「フォレストライト」や今年1月の訓練の際には、埼玉県内の30市町の上空を勝手気ままに飛び回り、「目的外訓練」をおこなっていたことが、埼玉県平和委員会の調査で明らかになっています。
県平和委員会は、これらの自治体に情報提供を申し入れ、県をはじめ23の市町を訪問・懇談する「ピース・キャラバン」をおこなってきました。訪問先の自治体では市町公室長、総務部長、危機管理監、副町長などが対応し、「飛んでいることに危機感を感じる」「知らないうちに頭の上を飛ばれるのは不安」などの声があがりました。
 
【オスプレイの運用は抜け穴だらけ】
CV22オスプレイが横田に配備されれば、横田が特殊作戦の展開拠点となり、人口が密集する東京や埼玉上空の飛行が常態化します。
北関東防衛局の説明では、オスプレイの運用に関して「日米合同委員会合意(平成24年9月)」が基本になっているといいますが、この合意は、「可能な限り」「最大限」などの表現が多用され抜け穴だらけ。沖縄県当局と県民の監視調査で517件の違反を指摘したにもかかわらず政府の回答は「日米合意に違反するものはない」としていることからも明らかです。
 
直下に暮らす県民のいのち・安全が脅かされるうえ、県も市町村も、県民も知らないうちに埼玉上空が「敵地侵入」の訓練場にされてしまいます。見過ごすことはできません。
 
オスプレイの横田基地配備で常態化する埼玉上空の飛行 埼玉県平和委員会  事務局長  二橋元長氏  寄稿
横田基地に着陸したオスプレイ(滝沢修飯能市議の撮影)
 
オスプレイの横田基地配備で常態化する埼玉上空の飛行 埼玉県平和委員会  事務局長  二橋元長氏  寄稿
東京上空を飛ぶオスプレイ(羽村平和委員会高橋美枝子さん撮影)
 
東京上空を飛ぶオスプレイ
ピースキャラバン=川越市