オスプレイ飛行ルート下の県内自治体と懇談

 埼玉県平和委員会は、米軍輸送機MV22オスプレイ(以下オスプレイ)が飛んだと思われるルート下にある約30の自治体を訪問し、懇談する「ピース・キャラバン」をおこない、15自治体と懇談してきました。
 
県内各地でオスプレイの飛来確認
 きっかけは2017年3月6日から17日までの12日間にわたって、群馬県の相馬原演習場、新潟県の関山演習場で日米共同訓練「フォレストライト02」がおこなわれた際、県内各地から「オスプレイを見た」との目撃情報が寄せられたことでした。
 万一事故が起きたとき、「犠牲になる県民はもちろん、県や自治体も知らないうちに、埼玉上空をオスプレイが勝手気ままに飛んでいたことは見過ごせない」として始めたものです。「ピース・キャラバン」ではオスプレイの飛行実態を報告するとともに、オスプレイ特有の構造上の危険性や「敵地」侵攻のためのスキル・アップ訓練をおこなっている点なども示し、実態を共有し、住民のいのち・安全を守るうえで何ができるのかを話しあってきました。
 
知らいないうちに飛ばれるのは気味悪い
 トップを切っておこなった埼玉県との懇談では、埼玉県基地対策協議会(県と基地所在地の14自治体で構成)を通じて、オスプレイの事故に対しては、原因究明・再発防止・安全が確保されるまで飛行の中止などを求めたことが述べられ、ひきつづき県民のいのち・安全の確保のためにも情報の開示などを求めていくと表明されました。
 訪問先の自治体担当者からは「知らないうちに頭上を飛ばれているのは気味が悪い」「目視で確認はしていないが危機感を感じる」などの発言があり、市民からの不安への対処について①自治体として苦情を受けつける窓口を設置する、②苦情については関係当局(防衛省や北関東防衛局など)に照会する、③県の基地対策協議会を通じて国(防衛省、外務省など)に要望していくことなどが表明され、一定の前進もありました。
 
「住民のいのちと安全を守る」役割果たせ
 その一方で、国に要望しても「国の専権事項」であり「米軍の運用にかかわること」と言われると「それ以上は言えない」「どのように意見を出していくか妙案がない」「市町村単独では動きにくい」など、「住民のいのちと安全を守ることを第一義とする」自治体の役割とのあいだで苦悩する姿も垣間見られました。
(埼玉県平和委員会・二橋元長事務局長)
 
183号2面P-1
川越市と懇談するキャラバン隊