子育て、教育に影落とす格差と貧困 県の支援でくらしを支え

9月8日(土)午後、さいたま市の県民健康センターで県政シンポジウムが行われ、労組や市民団体、地方議員など約80人が参加しました。シンポジウムは子育てや子ども医療、教育・行政の役割など専門家の発言で課題を探りました。
 
<イデオロギーでなく市民の要求に寄り沿った政策を 9・8 県政シンポジウム>
 
シンポジストは金子貴美子埼玉保問協事務局長、白鳥勲彩の国子ども・若者支援ネット代表、須田健治前新座市長の3氏。コーディネーターは柴田泰彦特別代表が務め、各分野の現状や課題、新座市での行政経験などが報告されました。シンポジストの1回目の発言のあと参加者の質問に各氏が答え、2回目の発言でそれぞれの問題についてさらに深めました。
 
保育の現状を報告した金子氏は、いま国は保育所を増設するのではなく、認定保育園や預かり保育で待機児解消をすすめようとしていると指摘します。しかし職員の処遇改善がはかられなければ職員不足の常態化は避けられません。せっかく誇りと希望をもって保育の仕事に就いても、過重労働で心身とも疲弊し退職せざるを得ないのが現状だといいます。資格を持たない保育ママや準保育士を増やすのでなく、有資格者の増員こそ求められているはずだと強調しました。いま子どもたちの虫歯自体は少なくなっているが、一部には歯医者にかかれず重症化している子が増え、家庭の貧困が深刻な影響を及ぼしていると述べました。
 
貧困家庭の教育対策として県がすすめているのがアスポートセンター事業です。報告に立った白鳥氏は、いま7人に1人が貧困家庭の子どもといわれ、学力が低いのが統計的に示されていると指摘します。とくにひとり親世帯の貧困率は51%と深刻で、さらに貧困は連鎖すると強調。こうした子どもたちに寄り沿い学習意欲や学力を高めるのがアスポートの役割で、教員OBや学生ボランティアなどが参加しています。中学生対象校は県内63市町村に100教室以上あり1600人超が学んでいます。国の「子どもの貧困対策の推進に関する法律」に基づいて運営されている事業ですが、まだまだ偏見も多く課題は多いと話します。
 
<市民要求優先で政策をすすめ>
 
7月2日の議会運営委員会ではこれら3つの請願について、木下議運委員長(自民)から「2月定例会で(各請願の)取り下げを求めるため継続審査としたが、本日まで取り下げがなされず不採択」とする提案がなされました。これには日本共産党の秋山文和県議が採択を求める意見を述べようとしましたが、他の自民委員から「(内容に入るべきではない)手続きの問題だから」と発言を制止され、採決が強行されました。秋山県議は請願に賛成しましたが、委員長の強行採決で不採択になりました。
自民党が押し通した原発再稼働を求める意見書に反するものは、門前払いで葬り去ろうということです。まさに議会制民主主義否定といえる横暴が続いており、県民の中に懸念が広がっています。埼玉県議会で過半数を占める自民党にNO!を突きつけるために、来年4月の埼玉県議会選挙で厳しい審判を下すことが必要です。
 
<特養ホーム予算凍結は解除>
 
須田氏はバブル崩壊後に市長に就任し、「イデオロギーでなく市民に寄り沿った市政運営」をめざして取り組んできたと強調しました。子ども医療費の高校生まで無料化や、校舎の耐震工事、トイレの改修、エアコン設置などを市民要求を優先して政策をすすめてきた結果、他市に先駆けて実現できたと述べました。
3氏が異口同音に強調したのは「県が予算を出してそれぞれの取り組みを支援すれば、住民のくらしを支えることは可能」ということでした。
県政シンポジウムは会場発言も交えながら、会の政策を豊かにするものとなりました。(次号から課題ごとに詳報します。)

80人が参加した県政シンポ