急がれるコロナ対応 台風で利根川の氾濫広域避難で備える 加須市議会議員  小坂 徳蔵(こさか とくぞう)議員団長の報告

昨年10月の台風19号は、埼玉県にも大きな被害をもたらしました。今年も心配される大災害。その上コロナ感染が重なる「複合災害」が県民に不安を広げています。県東部の加須市では、日本共産党市議団と市民による取り組みが始まっています。今後、県政の重要課題として取り上げていくことが求められます。

7月の九州豪雨は線上降水帯の長時間停滞により河川が氾濫し、多大な犠牲者を出しました。心からお悔やみを申し上げ、被災された皆様に衷心よりお見舞い申し上げます。
昨年、台風19号によって利根川と渡良瀬川の水位が急上昇し、深夜に「レベル5」が発令され、3万人の広域避難となった加須市民の一人として、九州豪雨は決して他人事ではありませんでした。

台風19号被害の教訓とコロナ感染の課題

秋の台風時期が近づき、利根川などの越水被害に備える必要があります。台風19号の教訓から市は、防災情報を伝える手段として、各世帯に防災ラジオの無償貸与を行っています。しかし、申請は市全体で3割弱の水準。住民のいのちを守るため引き続き市民に対する周知が必要です。
また昨年、深夜の避難指示で混乱したことから、市は明るい時間帯の避難を大前提に、3日前から「避難準備」の発令を予定しています。
問題は避難場所の確保です。昨年は広域避難3万人に対し、市が確保した避難場所は半分の1万5千人分でした。私は、少なくとも市が3万人分の避難所を確保するよう提案。当初、当局は難色を示していましたが、公共施設の再検討と民間施設の協力を得て、約3万人分の水害避難所60か所を確保しました。
ところが、新型コロナ感染が避難計画に大きな影響を及ぼしています。その内容は以下のとおりです。
1.毎年行っている防災講演会(利根川右岸・左岸の2か所で実施)を中止せざるを得なかった。
2.市の検証を基に、避難場所と避難ルートを変更したが、自主防災組織に対する説明会がコロナ禍で実施できない―文書による周知が主となる。
3.コロナ感染防止のため、避難所の「3密」対策が示され、新たな対策が必要となる。

加須市における具体的な問題点

①避難所の収容人員約27260人分を確保したが、感染防止の「3密」対策のため、実際に収容できる人は、当初見込みの4分の1に減少し、約6200人となる見込み。避難所に収容できない約2万1千人の住民をどうするか―これが大きな問題となっている。
②台風19号の際、県外自治体に協定に基づいて広域避難した。しかし県外自治体が避難所の感染対策の関係から、加須市民の避難受け入れが困難になっている。このため、加須市内の広域避難によって、避難対象3万人の避難場所確保が、新たに大きな課題となっている。
③水害避難所60か所に、コロナ感染防止の消毒液など保健衛生用品の備蓄が新たな課題となっている。今年度、補正予算で衛生用品の備蓄を始めたが、まだ不十分である。

求められる「誰ひとり取り残さない」避難計画

来る台風に備えるため、避難所におけるコロナ感染の「3密」を避ける必要から、いま市が確保した避難所の収容人数を、現行の4倍程度に増加させることが求められます。このためには、車中泊を含めた対応を考える必要があります。
また、水害などの自然災害に対し、「誰ひとり取り残さない」避難計画を具体的に作る必要があります。それには、水害時に一人では避難できない高齢者や障がい者など要援護者に対し、避難する際の協力者を見つけることです。自主防災組織の方々の協力を得ながら、要援護者の個別避難計画の策定を視野に、コロナ対策と同時並行で水害対策に取り組んでいます。

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