農業被害は深刻 牛・鶏への病気も心配 埼玉農民連関根耕太郎事務局長

台風19号により、10月17日現在、川越、坂戸、東松山市などで約160名が避難生活を続けています。県内では2000棟以上の住居で浸水被害があり、東松山市内の大型商業施設は1Fが浸水し、未だ営業の目途がたっていません。
 
農業被害も深刻です。農民連副会長の原さん(坂戸市)の所へ18日に視察に行きました。坂戸市に流れる越辺川から約1㎞の所にあるライスセンターは、決壊した越辺川の水が高さ2m超まで浸水しました。センターに保管してあったコメ(フレコンと呼ばれる1t袋)10袋が全て廃棄となり、また多くの機械も浸水。原さんは「ほとんどダメだろう。収入保険に加入しているから、ある程度は補填がきくだろうけど」と話しますが、収入保険は8割までの補填です。大まかに計算しても機械代だけで約1000万円の赤字です。「過去にも同じような浸水被害があったが、その時は1mの浸水だった。今回の台風はその倍で異常。毎日片付けに追われ疲れたよ。」と、気落ちした様子。11月には小麦の作付けが控えていますが、農地の水や泥を除去する必要があり、また今回水に浸かった機械が使用できない場合の購入費用など多くの問題を抱えています。
 
本庄市で米、イチゴを栽培する小賀野さんはイチゴのハウス15棟全てが浸水しました。深夜0時ごろに心配で様子を見に行くと川が決壊しており、「決壊した場所は、川がカーブする様に曲がっており、過去に何度かかさ上げするよう行政に要請していたが実現されなかった。今回の事で対策してくれれば」と、悔しさを滲ませます。
 
東松山市の国分牧場では牛舎が冠水。牛の足元まで水がきており「今後、牛への病気などの影響がないか心配だ」と国分さん。さいたま市の浅子幹夫さんの畑では近くを流れる芝川が氾濫し周辺の田んぼや農業用ハウス、鶏舎などが浸水しました。
県内ではコメ、ソバなどを始めブロッコリーや大根など多くの作物で浸水被害があり、日が経つにつれ被害の深刻さが浮かび上がっています。