ICANにノーベル平和賞 被爆者とともに核廃絶を世界の世論に 田中熙巳さん(しらさぎ会会長)も喜び

 2017年のノーベル平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が受賞しました。12月にノルウェーのオスロで開かれた授賞式には、日本被団協代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(85歳、新座市在住)らが出席しました。
 田中さんは13歳のとき、長崎県内の爆心地から3・2キロの自宅で被爆しました。自身は奇跡的にケガなどありませんでしたが、親族5人が亡くなりました。1956年に日本被団協が発足し、85年から今年6月まで20年間事務局長を務めました。日本被団協は70年以降、核兵器廃絶に向けて海外で原爆被害の実相を伝える活動を続けてきました。国連では、亡くなった山口仙二さんや谷口稜曄(すみてる)さんらが、自身の体に刻まれた原爆被害の酷さをさらしながら核兵器廃絶を訴えました。
 田中さんも海外での会議に何度も出席し、05年には日本被団協として初めて国連本部での原爆展を実現させました。田中さんは、国連など核軍縮を話し合う場で、核兵器の非人道性が焦点になるうえで谷口さんらの果たした役割は大きかったと話し、10月の受賞決定の瞬間には仲間の姿が脳裏に浮かんだと言います。
 田中さんはICANの受賞を喜びながら、若者が活動の中心にいるICANと比べると、日本では核兵器廃絶運動が十分広がっていないことに心配を抱いています。
 
<田中熙巳さんの話し>
 
 ICANのノーベル平和賞受賞式に出席できたことは署名への励ましになります。ICANはその運動すすめていくうえで被爆者を平等に扱ってくれています。条約は採択されましたが、各国の批准は簡単ではありません。アメリカの圧力も激しいです。しかしヒバクシャ国際署名が、批准を後押ししてくれていることも確かです。
 2020年の条約発効をめざして署名を広げていきたい。
 
185号1面P-2