埼玉にくらしたい、埼玉で働きたい 魅力あふれる埼玉県へ ―「県政シンポジウム」開かれる

子育て、子ども医療、教育の現場から県(行政)が果たす役割を考える

9月8日(土)午後、さいたま市の県民健康センターで県政シンポジウムが行われ、労組や市民団体、地方議員など約80人が参加しました。シンポジウムは子育てや子ども医療、教育と行政の役割について、専門家の報告を聞いて県の政策を検証しました。
シンポジストは金子貴美子埼玉保門協事務局長、白鳥勲彩の国子ども・若者支援ネット代表、須田健治前新座市長の3氏。コーディネーターは柴田泰彦特別代表が務め、各分野の現状や課題、新座市での経験などが報告されました。

コーディネーターの柴田泰彦氏が3名のシンポジストを紹介

それでは早速今日お話をいただく方をご紹介いたします。私のお隣にいらっしゃいます金子きみこさんです。さいたま市の公立保育園にお勤めになっている現職の方でございます。どうぞよろしくお願いします。
そのお隣の方ですが、ご存知の方も多いでしょうかね。白鳥いさおさんでございます。県立高校の先生を長い間やっておられて、埼玉県高等学校教職員組合の書記長をされ、現職はまた後でご本人から詳しくお話いただきますが、アスポートという取り組みの責任者をずっとされているということで、どうぞ宜しくお願いします。
そしてそのお隣でございますが、ご存知の方あまりいらっしゃらないと思いますが、大変ローカルでございまして、新座市という市が埼玉県の一番南、東京と隣接するところにございます、その新座市で2016年まで6期24年市長を務めてこられた須田健治さんでございます。
須田さんからは行政の長としてどういうふうに政策を実現していったか、お金がどのくらいかかるのかとかですね、我々が日頃苦手とするようなところをぜひいろいろお話を伺いたいと思いますが、2015年の時も実は7月1日に朝日新聞が埼玉県内の待機児童、保育園ですね、待機児童が1,000人を超えたっていう報道があったんです。それまでは数百人の数ですが、メディアも千という数を出したなというふうに思ったんですが、実はいわゆる隠れ待機児童というふうに丁寧に見ていれば、それどころの話じゃないという。
だから知事選の第一声の時に隠れ待機児童含めれば県内で6,000人から7,000人の待機者がいるはずだという話をした覚えがございます。そしてその後ですね、さいたま市内のお母さんが認可保育所にエントリーしたけども落ちちゃったという話がありましたよね。これは埼玉だけじゃなくいくつか全国で。そして子育て、これだけ少子化だ少子化だと言ってるのにですよ、保育園足りないというのは何なんだという世論が広がってきたと思いますが、そういう埼玉の現状の中でずっと保育園の仕事をされてきた。それじゃあよろしいですか。みんな座ったままやりますからね。じゃあ金子さんどうぞ宜しくお願いします。

シンポジストの第1発言

保育現場から見える待機児童、保育士確保と処遇改善、子どもの貧困

― 金子貴美子 埼玉保門協事務局長

今ご紹介いただきましたとおり私はさいたま市内の公立保育園で今も働いております保育士です。今日は大きく三点に絞って報告します。最初に待機児童の問題です。少子化といわれていますが、保育園に入りたい方たちは年々増えています。
私が勤めている保育園でもほんとにしょっちゅう見学をしたいですという電話が入ってきます。それで10月からだんだん申請書なども配り始め11月には来年度の申請が始まるということで今ほんとに皆さん保育園を直に来てですね、どの保育園に子どもを入れようかということを一所懸命考えていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。その方たちとお話をしているとやっぱり皆さん認可保育所に入れたい。
それも公立保育所に入れたいっていう方がすべてですね。家のそばに小規模保育があるのでそこでもいいと考えている方もいますが、保育の内容だとか子どもの処遇のこと、また食事のことなど保育の細かいことをお話すると、やっぱり認可保育所じゃないと駄目、安心して預けられませんよねってことになります。でも入れませんよねと肩を落として帰ってらっしゃるって状況があります。本当にニーズが高まっている。けれどもなかなか入れない状況がある。
県も「子育て応援行動計画」を毎年出し目標値も決めて努力していますが、内容は幼稚園の空き教室を使って、幼稚園の午後の預かり保育、そこで待機児童を吸収していこう。それから小規模保育事業所。三年前に新制度が始まって小規模保育が激増しました。
そこは三歳までのお子さんしか預かれないのです。だからそこをたくさん増やして、なんとか乳児の待機児童は少しずつ解消に向けてはいます。しかし今年になって三歳児の待機児童が増えるという現象が起こっています。これは新制度が始まったときから言われていたことで、じゃあ三歳になったらどこにいくのですかと。
その辺が甘かったなというのは感じています。うちの保育園などは、そもそも三歳児は15人までしか入れないのです。しかし役所が計算すると、面積基準があと3人は入れられるという計算で無理無理あと3人なんとか入れてほしいと言ってきます。
私なんかも何人もの方が見学にきてため息まじりに帰ってらっしゃる様子を見ていてほんとに辛いので、なんとか職員を説得して3人なんとかみられないかって相談し、いま15人を今年18人ということで受け入れています。他の園もで、さいたま市内に限っていえば、20園ほどがプラス1名とか2名とかして3歳のお子さんを預かっている保育園があります。けれども職員を増やして入れているわけではないので、現場の熱意とそれから役所のごり押しというか、そういった状況のもと待機児童をなんとかしようというような状況です。だから現場はたいへんです。
今まで15人を一人で見ていたところを今は18人を一人で見ている状況で、ほんとに押し付けられてしまっている。
資料には「保育士不足の解消と処遇改善が待機児童解消のカギ」と書かせていただきました。いま県内、とくに南部の地域は待機児童がかなり多いのです。そこでは民間保育園がたくさんできています。さいたま市などもそうですけど、公立保育所で臨時保育士として働いている方が引き抜かれて民間保育園の正規職員として雇用されるという構図があります。
保育士の取りっこになっているんです。だから待機児童解消するためには保育士を増やして、保育園を増やしていくっていうことこそ求められていると思います。県も保育士を発掘しようと、免許をもっている方に働く場を提供しよう努力はしているようですが、一旦家庭に入った方が働き出そうと考えるにはかなりのエネルギーも必要です。
保育士って、見た目は子どもと遊んでいるだけのように見えますが、意外と仕事を家に持ち帰ったり体力的にもきつかったりして、なかなか続かないってところがあります。だからなかなか保育士不足が解消されてないのです。また、幼児教育の無償化、保育の無償化が政府の骨太方針で出されています。これは私たちも望むところです。
子どもの貧困の問題もある中で、保育料が無償になったらどれだけの家庭の方が助かるか。私たちも保育料軽減の運動を続けてきましたし世界の潮流でもありますから、これは歓迎することではあります。しかしいろいろと問題もあります。保育の財源が無償化に取られてしまい、本当に改善しなくてはならない「公定価格」-保育のお金ですね、保育士の処遇改善費などがおざなりになってしまうということがあります。
それから完全無償化っていう言葉は骨太の方針の中に書かれているのですが、すべてが無償化されるわけではなく、当面の間3歳以上児が対象です。一番保育料が高い0歳から2歳まではごく一部の非課税世帯に限っているということがあります。だから保育料がかかる0歳から2歳児の方たちは、大半はこれまで通り高い保育料を払わなくてはいけないという状況が続くということです。さらに保育の給食の食材費は対象外ということになっています。
今は主食費だけは三歳以上児、保護者が払わなくてはなりません。食材費全部が保護者の負担になるではないかという恐れがあります。保育というのは給食が中心で、給食は保育の一貫なんだという考えが私たちの中にはあり、これは保育制度が歴史的にも維持してきたことなのです。それがなし崩し的に自費負担ということになってしまい保育料は無償になったけれど、「食材費、給食費は自費で払わなくちゃいけない」っていう、なんか逆転現象が起こるのではと懸念されています。
最後に子どもの貧困問題に触れます。保育料、給食費など自費で払わなくてはならないのの滞納家庭が増えてきています。さいたま市の場合には給食費は1ヵ月1,000円なので、前納で1年分を12,000円分払うっていうことになっています。
他の市では金額がまちまちです。安いところもあれば高いところもあるのですが、たいていは前納で払うようになっています。しかしその12,000円が払えないという家庭が増えてきています。それから、虫歯を持っている子どもは全体的には減ってきています。私たちが子どもの頃は虫歯があって味噌っ歯で当たり前っていうようなそういう文化水準だったと思うのですが、今はかなりお母さんの意識も高くて虫歯を作らないようにしようという意識が高くて一生懸命歯磨きをしたりしています。
もちろん医療費なども無償になってきているので、お医者さんにも足しげく通う方も増えてきているんです。ところが毎年歯科検診をすると、やはり虫歯のお子さんはいるわけでゼロにはならないんです。そして3歳以上になると、ある子は全部が虫歯もしくは十何本虫歯とか重症化しているお子さんが増えているっていうのが顕著な例です。
歯が全部ガタガタで膿まで出ていて、これは大学病院に行って治療しないと駄目っていうお子さんが数パーセントいるっていうのが今の状況です。子どもたちは、みんな小奇麗にしているし、元気一杯、保育園にきて活動しているのを見ていると、どこに貧困があるのって思います。しかし、よくよく子どもの細かい体の状態ですとか、その歯の状態とか見ていくと今後学業不振ですとか、それこそ子どもの貧困といわれている問題につながるような根が、幼児期には隠れているっていうことが今現場で痛感しているところです。

貧困と教育の格差拡大、広がるアスポートセンターの活動

― 白鳥勲 彩の国子ども・若者支援ネット代表

いま金子さんが言われた中の貧困状態の凄惨な子供達で、具体的には生活保護という形、それから教育委員会ですけど就学援助という形、それから一人親世帯の児童扶養手当版、そんな形で行政は対応します。その三つの世帯の小中高校生の家に訪問して、不登校だったら話し合いしたり、一緒に散歩したり、ものすごく勉強が遅れていたら一緒に勉強したり家庭訪問も毎年1,200件ほどやっています。
それから補講の学習教室。これは子ども達にほぼマンツーマンで。2,600人の子ども達が来ています。小学生がまだスタートしたばかりで100人、高校生が400人、中学生が900から1,000人。それを教える大学生のボランティアが今700人。それから元教員が200人。我々専門のスタッフが昼間は家庭訪問、夜は教師が教えています。
埼玉で行われている支援は、国が2分の1、県が2分の1、各市で同じような形で困窮者自立支援法に基づく学習支援事業という形で今申し上げたような事業をやっています。先ほど申し上げた通り日本の貧困問題は、表面的には見えづらいのですが「底ぬけ」です。生活状態、学力状態などいろいろな意味で想像を超えるような状況があります。そういうことで、この事業がなぜ行われるのかというところで皆さんに資料を送りましたが6点にまとめました。
一つは、子どもの貧困は子どもが暮らす世帯の貧困で、7人に1人と言われています。わかりやすく言うと4人家族で年額200万円くらいの収入で生活しないといけない子ども。月18・19万円です。これが7人に1人いるということ。二つ目が、名前はちょっと言えませんがつい最近、埼玉の東部の地で貧困調査をものすごく丁寧にやりました。
そこで出てきたんですけれどこれらの世帯では、生活保護世帯を含めて急用な出費5万円、10万円がないという世帯が貧困   世帯の半分を占めています。私、長い間困難校の教員をやっていて一番ひどいときは201人入学して81人が退学しちゃったんです。
主な理由は積立金が払えないと、すぐ5万円、10万円になっちゃうんです。そのときに現金がないんです。それが払えないということも退学理由の一つで。貧困世帯の特徴のひとつは現金ない、預金がないということです。いま日本全体で32%が預金なしといわれています。すごく不安定な生活状況。三つ目が世帯所得が低いと子どもの学力も低い。
全国学力テストで毎年言われている小6と中3です。ほぼ偏差値と生活水準が比例しています。それから四点目。極端な不登校やいじめを受ける割合が高い。私たちが見てる中学生が、小学校3年のテストやりましたが平均点は30点でした。中学生ですよ。ですから小3、小4の分数・少数のところで貧困生活の子どもたちは、塾に行けないし少し難しいと親にも聞けないという状況の中で学力格差が広がっていくわけです。
それから高等教育を受ける機会が少ない。いま養護施設の子で高校まで行ったのは23%。生活保護世帯は33%しかいません。全国平均が73%ですから。18歳でものすごい格差が生じていると。さらに深刻なのは一人親世帯です。我々が家庭訪問すると、だいたい5~6割はシングルマザー、シングルファザー世帯です。もう一点が、貧困の連鎖が継続していることです。
おじいちゃん、おばあちゃんの代から貧困というような状況なので、訪問したり教室でマンツーマンで教える。でいろんな進路に相談のるということが必要になってきます。アスポート学習支援っていうのが8年前から始まりました。これは対象世帯を訪問して教育相談や進路相談、学習教室で支援する。スタートは5教室で160人。今は100教室で1,600人ということで、子どもの貧困の広がりを表しています。
学校に行くときの子どもの準備状況でよくわかります。私大学生のボランティア講習で60大学から700名の学生来ますが、大学生が子どもの貧困問題を話すんですけど、毎年聞くのはみんなが小中時代に玄関出るときに何と何と何が準備してあれば自信もって学校に行けて、授業を受けられるかということを聞く。
一番目は身だしなみちが整っていること。二番目が宿題、連絡帳が整ってること。三番目が「いってらっしゃい」という親がいること。それから四番目は腹が満たされていることです。これが毎日続いて学校の中での授業が受けられると。保護世帯の4割が朝食べていません。それから「いってらっしゃい」という親がいないということで、宿題はかなり早い時点からやれていないのが当たり前ということが掛ける時間軸っていうんですかね、毎日続くんです。例えば小1でそんな状態になったら、中三になってどのぐらいの差が出るかというようなことです。いま緊急に必要な取り組みは、貧しい子どもたちの世帯の所得を改善する。
それから二つ目は不利な状態に置かれた子どもたちの到達を補助する。三つ目は健康的な生活習慣を支援すると。小学生支援が今年から始まって、夏休みに一回も旅行に行ったことない子どもを集めて旅行に行ったりしています。自分が温かく見守られているという経験をきちっとさせていくと。それから最後は公平性です。子どもが一番傷つくのはこれなので、公平性を子どもの課題の中心に位置づけるということがとくに大切です。
これは社会的に重大な問題だということでいま法律ができています。すからこれらの事業は、ボランティア活動だけではありません。国と自治体の予算でやっています。2013年に子どもの貧困対策の推進に対する法律というのができました。この法律は、子どもの将来がその生まれ育った環境に左右されないよう貧困の状況にある子どもの環境整備、教育の機会均等、子どもの貧困対策を総合的に推進するというとこを各県各市の町で具体的に何をやるべきかを「都道府県総合貧困対策計画」を立てさせています。
全課がそれに関わっている、二つ目が教育の支援をしなさい、それから生活の支援をしなさい。それから三つ目が保護者に対する支援をしなさい。経済的支援をしなさいと。それから次の状況ですけど11ページ。
とりあえずは子どもの貧困の状況調査をして子どもの貧困率を載せたということが今仕事としてはあって、これはすべて予算的に裏付けられたことですので、各市町村でもぜひやっていただきたい。今県内で一番進んでいるのは新座市とそれから富士見市、それから大変なのは川口市が実態が大変なので、いうことで、それらのことで先ほど書きましたけどというのは自分を真剣にあったかく見つめてくれる大人が週一回でも二回でも隣に来て、一生懸命勉強を教えてくれてるというだけで明日は学校へ行こうと思いますから、子どもっていうのはあったかく見守るということと勉強というのはこれこそ発展の連続で楽しいということ、仲間同士の繋がり、それから公平に接するというのを貧困の子供達はそういうの奪われています。
そういう場は社会としてきちんと保障する。もう8年目ですと。その変化の様子は第一期生でいうと22歳です。第一期生160人中40人は完璧に不登校です。その40人は今立派な社会人として活躍しています。
で、そういう意味では打つ手を打てば子供達はもっと地域で潜在能力を発揮するというようなことで、ある意味では埼玉県は全国的に先進県です。いろいろな運動で、県の教職員とかそれから新婦人も含めたいろんな地元の力が支えてるということでここまで進んできているという状況です。ただまだまだ不十分ですが、なんとか子ども達のフォローができる、貧困世帯のフォローができることがほぼ8年間で見通せましたので、あとはどうやって広げるかということが今後の課題だと思っています。

イデオロギーでなく市民のもとめる市政運営、県も支援強化を

― 須田健治 前新座市長

皆さんこんにちは。新座市長を24年、6期務めさせていただきました須田健治といいます。長くやっていますといろんな役職が回ってきまして、県の市長会の会長ですとか、全国市長会の副会長とか、全国市長会の経済委員長とかいろんなことをやらせてもらったんですが、私は新座市の市長でありますから新座市民の皆さんの生活と福祉の向上、これを大事に考えてやってきたつもりであります。
いつもお話してきたんですけども、市民の皆さんの生活の向上、福祉の向上をわかっているのが市の役割だ。ですからイデオロギーではなくて、どんな政策、市民の皆さんからお預かりした税金をどういった形でフィードバックしていくかということを考え富士山をこっちから登るか向こうから登るか、登り方いろいろあるけども、いずれにしてもよく協議していい政策施策については取り入れさせていただきたい。市長と議会、車の両輪であります。何でも賛成してくれというわけにはいきませんし、何でも反対というわけにもいかない。どうぞ改善提案の中でいい企画を出していただければこちらも受け入れますとこういうやり方で、意見の交換をしながら街づくりをやってきたつもりであります。
市長になったのは平成4年です。バブルが崩壊をして国をあげて厳しい財政状況の中、市長になりました。ですから財政的に市民サービスをしていく財源はありませんでした。そこで考えたのはいわゆる民主党政権が平成21年誕生しましたけど、その時あがった考え方コンクリートから人へという考え方がありましたが、私市長になってから直ちにもう箱物は作らない。
こういう発想でやらせていただきました。と同時に経費の節減。市民の皆さんにもご協力をいただいて、税金払っているんだから何でもしてやれというのはもう駄目だと、そういう時代は終わった。みんなで住みよい地域を作っていきましょう。連帯と共同の街づくりということでお願いをいたしました。
バブル崩壊後平成7年阪神淡路大震災。震度6までしか日本では起こらないだろうといわれていた地震の震度が震度7まで初めて発生してしまったということでありまして、大変な大災害、そこで国交省は全国に通達を出しまして、震度7に耐えられる街づくりをやりなさい。特に小中学校等については震度7に耐えられるかどうかの耐震診断をして、耐えられなかったら、すべて補強工事をやりなさい。こういう通達がきました。当然避難場所等でもあります。
子供達の生命、健康を守るそういった立場でもありますから直ちにすべての小中学校等公共施設は耐震診断を行いまして、平成8年から国の補助が出るということになりました。とくに小中学校最優先でこの耐震補強工事を行いました。24校あります。小中学校。そのうち一校は残念ながら耐震診断の結果で、もう補強工事をやってももちません、鉄筋の劣化、それからコンクリートの劣化でもうこれは建て替えなければ駄目ですよという結果が出てしまいまして、この思い切って建て替えをさせていただきました。コンクリートから人への表になっております。
左側の福祉関係予算がどんどんどんどん増えている現状でございます。左側は逆に普通建設事業費、箱物といわれるものですがこれがどんどん減っている印象ですが、平成13年、このときにその一校を建て替えました。27億円近くかかりましたけど、思い切って建て替え工事をさせていただいて、この年からちょっと箱物の建設事業費が増えている年になっております。
こういうふうに見ていただくとおわかりいただけるかと思います。その後今度はリーマンショック等もございました。これが平成19年だったでしょうかね、民主党政権ができたのが平成21年、リーマンショックは20年でしたね、またこれで景気がすごく落ち込んでまいりました。 
そんな中で民主党政権はいわゆる農家の所得保障だとか高速道路は無料化だとか高校の授業料もすべて無料化だとかいうようなことを言いました。子ども手当てというようなものもありましたね。月に2万6000円ですか、政権をとったものの開けてみたら財源がないってことでほとんどできなかったわけでありますけど、その後平成24年にはアベノミクスがスタートいたしました。
この安倍政権、三本の矢、金融財政成長戦略を平成24年の12月にスタートして、暮れから正月にかけ県を通じて「特別保障」を出すと言ってきました。もう景気よくしなかったら日本は駄目になっちゃう、リーマンショック後景気が落ち込んでいましたので、地方自治体が公共工事をやってくれということです。みると100%補助でできる工事もありました。
ですからみんな元旦から財政企画みんな出てきて企画委員会にお願いして対象になる事業はないかと検討しました。全額国が出すからやれというわけですよ。わが市は幸いなことに、前年設計で翌年工事というふうに計画がされていました。設計はできていましたから、どんどん手を挙げて国に申し込んだらみんな通りましてね。他の市はそんなこと急に言われても無理だったようです。今まで補助がつかなかった道路舗装工事までいいよっていうんですから。
公共下水道、これも枝線は一切補助が出ないんです。でもそれもやってくれと。みんな手を出したら大変な補助をいただいてそれが実はこれが表のです。右側の普通建設事業費の24、25年ごろから増えています。これは特別補助をもらって思い切って工事をやらせていただいき、その年は建設事業費が増えているという事情です。
資料を見ていただくとおわかりだと思いますが、保育園の建設等についてもやりました。保育園をつくってきたわが市のやり方ですけど。ちょっと話が飛びますけど特別補助というのはわが市では保育園、法人保育園については出させていただいております。国と市、それから事業者の負担で保育園は建設をいたします。国が2分の1ですかね。市が12分の1、保育園の法人さんが残りを持つわけですけど、その残りを持つ分の多くを市が特別補助でわが市ではずっと出させていただいて、この待機児童対策、この保育園がこれに対応をしてまいりました。
市が特別に保育園建設に国の補助以外に国の補助、法定の補助以外に出しているというのは大変珍しいと思います。ですからうちは保育園どんどん建設をいたしました。私が市長になってからは全部で法人は30園さらに3園つくりましたので33園になっております。公立は6園であります。こういう特別補助制度っていうのはちょっと考え方によってはおかしいのかもしれません。本来ならば国が支援するのがありがたいことですけども、国が一銭も出さない。
これはやっぱり問題ですね。やっぱり地方のやり方として少子化、高齢化の時代にあって、しっかりとした子育て支援をして生み育てやすい地域環境をつくっていくっていうのは、これは地方自治体の仕事ではありますけど、国の仕事でもあると私は思います。保育園が足りないんだっていうのがわかっているのに、一銭も建設費補助を出さないっていうのはこれはやっぱり考えてもらわないといけないと思っております。
エアコンの設置等についても、この暑さ大変です。ですから思い切ってエアコン設置は、この23年と24年にやらせていただきました。それからトイレ改修も計画的にやってきました。いわゆる洋式化です。水洗はもちろん様式化トイレに全部切り替えてまいりましたが25年26年、国の特別補助もありまして、思い切ってやらせていただいて、全部洋式化終わっております。エアコン設置も全教室終わっております。
このように学校の施設改修については市の責任において子どもたちの学びやすい環境をということで、子育て支援の一環としてやってきました。それから子ども医療費。これも子育てしやすい環境づくりでは産み育てやすい環境をつくる意味では一番大きな政策といたしまして、医療費の入院通院の無料化をすすめてまいりまして、平成25年からは高校生まですべて無料といたしましたが、全額無料、所得制限をもうけていないのは新座市だけでした。
それから県の支援です。県は中学生まで支援します、50%支援しますとしていますが所得制限を設けています。新座市で計算をしますと就学前の子ども達に対しては入通院とも県と市で半分ずつもちましょうと言っています。しかし実態は所得制限が、その差額はもっておりますから、県の負担は28.3パーセント。これしか県は負担しておりません。しかも就学前までです。
小学校1年からわが市は高校3年生まで、それから県は出さない、計算すると21.7%も含めて全部市持ちで所得制限なしです。市長としていろいろやってまいりましたけど、やっぱり県にお願いしたいことは、まず一つには国をあげて少子化対策を施し産み育てやすい日本国をつくっていこう、こういう方針が出ているわけですから、それに基づいて子ども医療費の支援、もうちょっと年齢枠の拡大とか、あるいは保育園の建設費、一切補助を出さないということがないようにしていただきたい。
保育士の確保、これもほんとに厳しい状況です。わが市では法人保育園の保育士さんには月1万円の特別補助をさせていただいております。都内に引き抜かれていかないようにということでやっていますが、なかなかうまくいきません。都内では保育士さんの家賃補助までやっていますよね。保育園をつくっても保育士がいなければ、これはお子さんをお預かりできないというのが現実です。ですからこの方策、政策、支援策も県はしっかり考えていただきたい。
こういった保育園の建設費そういった補助だけじゃなくて、保育園に対するいろいろな支援をもうちょっと手広くやっていただけたらなと思っております。人口を増やし、素晴らしい子育て支援ができる国家にしていくためには国、県、市が現状をわかってやっていかなければならない。県の支援がちょっと薄くないのかなあと残念な気持ちでいっぱいです。

参加者からの事前質問に答えて

― 金子貴美子 氏

保育のことでいくつかご質問をいただいたのでそれについてわかる範囲でお答えをできたらと思っています。さいたま市が公立保育所をもう建てないっていう。懇談の場で答えていたということですが、どこの市町村も全部市の持ち出しになる、とくに公立保育所の場合には保育所で働く職員の賃金もそれから運営費も全部市の持ち出しになるので、そういった点ではなかなか予算がとれないっていうことで、さいたま市の場合には建てないっていう方針をもう何年も前に出しています。
今後は「民間活力の活用」。そういう綺麗な言葉で民間をたてていくっていう方針をもう何年も続けていてですね、民間園が百を超えてあるっていう状況があります。あと保育所の中の職員の入れ替えが多いのではないかというご質問がありました。先ほどの働き方とこれは関連していて子どもに関わる仕事とてもやりがいがあって、とても充実しているとおっしゃってくださるんですけども、拘束される時間が朝早くから夜遅くまでっていう、保育所が開いてる時間が12時間っていう、中にはそれを超えているところもある中で、それを補うためにシフト制が組まれています。
そうなるとどうしてもしわ寄せが労働者に行って、早い園などは7時15分からとか、民間園では7時から開けているってところもあって、そうなってくると(保育士の)家庭生活もほんとに大変になってくるわけです。続けられないってことで離職をされる方も多いです。あと今はほんとにいろんな保父兄というか保護者の方々もいてですね、小学校でクレーマーの方がいてっていう話題ももうだいぶ前からよく耳にしますが、保育園も同様でしてね、そういうお母さんたちの苦情ですとか、いろいろな要望に答え切れずにバンアウトとしちゃう保育士も多いです。とくにそういう若い人に多いです。
希望をもって就職したにも関わらず、こんなに辛いんだったら私無理ですっていって夢破れてやめていく、2,3年で辞めていくって方が多いです。ほんとに人間関係のもつれの中で病気になってしまって、もう人に関わる仕事はできないっていう深刻な方もいるっていう状況で、いい仕事なのですが過酷にもなっているってことがあります。保育ママに関しての質問がありました。保育ママ、もちろん子育て経験のある方、そういう方々の助言などで救われる若いお母さんもたくさんいると思うんですけど、今政府のほうで保育ママとか準保育士とかちょっと前にありましたけど、そういう福利でちゃんと保育士不足を解消しようとしている裏側には資格がなくてもオッケーっていうのがあるんですね。
私たち資格者、有資格者がやっぱり子どもの命を守り発達保障をしていくっていうのを大事にしています。何ヶ月か研修を受ければ保育ママとしてできるとか、準保育士となってこういうふうに仕事ができるというふうにいい言葉を並べて今家庭にいらっしゃる方に職の斡旋をってことがあるんですけども、それをやっていくとだんだん保育の質の低下に繋がっていくって事が私たちの懸念としてあって、今までの運動の中でそれはないんじゃないかと。
やっぱり子どもの命を守るためには有資格者でやっぱりそろえるべきじゃないかということをしています。まるっきり反対はもちろんしないんですけど、そういう方たちにも資格をとっていただいて、仕事についていただいたらと思っているところです。後、先ほど保育士が民間園にみんな臨時保育士をやめて、新しくできた民間園の正規保育士として流れてしまうという話をしました。埼玉県内に働くよりは川を越えて東京にいったほうが、それなりのお手当てがいただけるので、みんな東京に流れていってしまいます。群馬の方に言わせると群馬に就職せずに埼玉に行ってしまうと嘆いているのですが、埼玉はみんな東京に行ってしまうというふうに、同じ働くのならば少しでも処遇の良いところにと思われる方が多いです。
で、東京に行ってしまう方が多いので埼玉県の保育士不足は毎年続いているってことになります。2、3年勤めるとバンアウトしてしまったりします。ちょっとでもいい所に移って行くような、いま若い方たち2、3年ぐらいの方の離職率がすごく高いので、そこらへんがつかめずにいるっていうのが実態です。
若い方たちがやる気とやりがいを感じてキャリアを積んでいけるような、そんな保育園をこれからはつくっていかないと保育自体が崩壊してしまいます。同時に子ども達を健やかに育てていくための保育の質も下がっていってしまいますし、保育制度を守っていくという運動も衰退してしまうんじゃないかと心配しています。
職員の処遇改善のために国が「キャリアパス制度」っていうのを打ち出しています。15時間研修を受けると、主任級の方に4万円がプラスされるっていうものです。民間園の中では、じゃあそれは誰がもらうのかっていうことで、みんなが私かしらあの人かしらと職場がざわついて、士気が上がるのではなく疑心暗鬼になる状況が生まれます。
「キャリアパス」を受けさせることで現場が手薄になってしまうので、研修を受けさせるためにはその穴埋めを誰かがしなくちゃいけない、でも人がいないわけです。一番問題だと思うのは今年から保育所保育指針が改定されました。その中に君が代ですとか国旗掲揚とかですね、知らず知らずに戦争の足音が聞こえるような内容が保育所保育指針に書き込まれているわけです。
この「キャリアパス」を受ける中で、知らず知らずに国の統制がおりてくるっていう怖さ。その研修の中にそういった保育所保育指針にうたわれているような内容が少しずつしみこんでいるような状況もある。保育園として、何も知らないわからない子どもたちに国旗、それから国歌、そういったものを刷り込ませていいのかなということもあります。国による統制が、保育園・職員の中にしみこまされる状況が起こっているということもあわせてお伝えしておかなければと思っています。
あと企業参入のことについて学童の方からもご質問があったんですけど、やっぱり私たちずっと前から企業参入に関しては平成18年だったと思いますが、埼玉県でも企業参入ということになったんです。そのときからずっと反対をしています。やっぱり福祉の現場には、もちろん教育もそうですけども、金儲けの企業が入るっていうのはおかしいんじゃないかっていうことをずっと言っています。
企業の運営している保育園でとてもいい運営をしているところもあります。けれども最終的にはやっぱり儲けっていう利潤追求ってところに企業はいってしまうので、そういう金儲けの手段に子どもを使っていいのかっていうような問題があるのではないかなと思います。横浜は一時期、今から2、3年前に待機児童ゼロにしたというニュースがあったかと思うんですけど、そのときに企業を相当数入れました。
で、一瞬ですね、待機児童ゼロってことにしたんですけど、その後すごく問題が噴出しました。とにかく保育士がいつかない。数ヵ月で辞めてしまう。あと休職の内容もひどいとか、ベネッセですとか大手企業が給食も保育の資材とか、そういうもの全部自分の会社のものを入れることによって儲けが大元の企業に吸い上げられていく。
そういう構図があったようで、お金の流れは別として、とにかく保育士がいつかない。働きにくい、安い賃金で働かされていたっていう、保育福祉ってことを度外視した運営がされていたってことが露見されました。やはり福祉は、福祉法人などが担っていくべきじゃないかなと考えてるところです。

白鳥 勲 氏

ご質問はどうやって貧困世帯の子供達に呼びかけるのかっていうのが一点です。我々は各市の福祉、それから街の福祉事務所、県の社会福祉課、そこから契約をして仕事をしています。ですから生活保護世帯の子ども達には「アスポート事業があるから参加しませんか」ということを各世帯に行って説明して、ケースワーカーさんが不登校とかちょっといろいろ大変そうだというところを強くすすめる。
だから最初の接点は生活保護世帯でケースワーカーさんです。ケースワーカーさんが必要と思ってもなかなか親御さんがいいやという時は我々が説得に行きます。説得の話し合いになっていくという形で福祉事務所ルートでは生活保護です。就学援助世帯は、名簿は教育委員会がもっているので、教育委員会がこれは市によって町によってちょっと姿勢が違いますが教育委員会が就学援助決定通知書というのをだいたい4月から6月ごろまでに就学援助世帯に行ってそこに同封してきます。こういう事業がありますよと。そこで希望された人が学校に行きますので、必ず我々は面談をします。
親御さんと子どもさんに、こういうことを一緒にやりますということを説明して、基本的には親御さんの同意です。親御さんはもう最初から手を挙げるわけですけど、子どもさんは嫌がります。子どもにはとりあえず遊んでいていいよと言います。最初は訪問だけで、遊んだり一緒にドッジボールやったりというようなことから、ちょこっちょこっとクイズみたいにやったりして就学援助の同意得る。一人親世帯は、子供支援課に案内の通知を出していただいて、それで希望されたら市役所に申し込みます。
また「生活困窮者自立法」っていう法律があります。自治体の窓口のワンストップ相談で、うちの子なかなか勉強は進まないけど塾にはお金がないという相談が来ますので、そこで相談窓口ができる。最近はアスポート事業が染み渡っていますので学校推薦があります。学校でも家庭でも面倒見れないで困っているという場合、例えば志木市や新座市では職員会議に我々は行っています。職員会議でアスポート事業の説明をして、学校でできることと学校の外で我々ができること説明して推薦書もらいます。
それで学校推薦の子供は大変です。いろんな意味で一筋縄ではいかないというような子どももその場で引き受けています。学校と教育委員会の連携がどうなっているのか。我々が子どもの、例えば不登校の子どもだったらここまで来たということは学校の担任に連絡をして、学校ではこういう取り組みを我々はやっているということで業務の交換をしています。一番困っていることの一つは学習、それからあったかく見守る、公平に子供に接するというところで、特にある意味では立ち遅れているのは学校現場です。
子ども達一人ひとりときちんと対話して一人ひとりの悩みを聞いて、一人ひとりの宿題があったらその遅れをフォローするということは学校の先生うんと頑張っています。しかし今の学校は基本的には成績をいかに上げるか、競争に勝てるか、支えあいというよりは自分の将来の進路を考えるということにかなり重点を置かれています。
なかなかあったかく見守られているという感覚が、学校現場では受け止められない子どもが、とくに貧困世帯に多いということです。子どもが過ごす時間は、家庭それから地域それから学校です。地域では我々がやっていますが、学校で人と競争と管理の中で遅れちゃう子ども達に対してどのような対応ができるのか、そこを先生方と連携しながら進めていくのが大きな課題です。

須田健治 氏

たくさんご質問いただきました。まず新座市の財源についてご質問いただきました。いろいろ無料化とかやってるけど特別補助とかサービスするのはいいけど財源は大丈夫かという質問かと思います。ちょっとこちらの見ていただきたいと思うんですけど、要するにですね、この左下の表、新座市の借金の表があったんでもってきました。
私が市長になったのは平成4年です。それからずっと市政運営やってきたわけですけども、この色がついたのはそれぞれの種類がありまして、水道とかあるいは特別会計というのは下水道事業、要するに本管枝管を埋設して各家庭に繋ぐわけですけども、負担金をいただきますが、どうしても本管なんかには金がかかりますので、その本管埋設事業なんかは借金してやるわけです。そうした借金の表がこの左下の表です。
赤いところ、これ見ていただくと、この赤いのは何かっていったら実は電気財政対策債。荒っぽくいうと国税と地方税ということで国民の皆さんには納税の義務ということで所得があれば個人、法人変わらず税を納めていただく。で、国税のほうがたくさん納める仕組みに日本はなっております。地方に収めるお金よりも国に収めるお金が国民の負担です。で、国にたくさん収めて地方は地方で税金をいただいて、いわゆる国から権限委譲というか、無理にやらされている仕事というかですね、そういうのがあるわけです。
当然国の仕事、役割分担があります。法律で決まっております。国からこれやるんだよという仕事が市で3000ぐらいある。国はこの仕事をやるとおたくの人口規模だとこのくらいかかりますね。この仕事はこのくらいかかる。国が全部計算してトータルでおたくの16万5000人の人口だと300億円かかりますね、計算した結果。でも収入は250億円、ちょっと貧乏な市ですね、そうすると50億円足りませんね、
国が国民から集めた国税の中からおたくに地方交付税ということでお渡ししますから、これでしっかり国で集めた法定受諾義務と呼んでおりますけども、3000の仕事は間違いなくやってくださいよ。例えば住民登録、どこに住んでいても必ず1週間から2週間以内にしなきゃいけない。移動届けを出して転入届けを出すとなるわけですね。そういった仕事、うちはもう金がないから勝手に住んでくれというわけにはいかないわけですね。
印鑑証明、これも印鑑証明なんて面倒くさい、なんでも判子押してやってくれというわけにはいかない。これじゃあ50億円出してあげるから、交付税として渡すからそれでしっかりやるんだよというふうになっている。ところが国に金がない、もう借金してやっているわけですよね。もう1000兆円まで借金が国にはあると言われている。ですからお金がない、新座市さん申し訳ない、ほんとは50億円足りないね、渡すところだけど50億円の半分は借金してくれないか、後で返すから。未だに返してもらっていないのではないかと思いますが、いずれにしてもこれが赤いところ、毎年毎年ごめんごめん、ちょっと国も厳しいんだよ、だから借金してやっとけとことで、それがどんどん増えちゃっている。
それぞれの市の借入金、負債の状況を見ていただくとどんな状況か。この表のようにみんな右肩上がり。経済の右肩上がりはいいんだけど、借金の右肩上がりっていうのは大変なんです。そんな状況だと思います。新座市ではそんなに借金は増やしておりません。この上の表を見ていただいたらわかるかと思います。左側が安い扶助費、福祉予算。右側が普通建設事業、工事予算ですね。工事予算はどんどん削って福祉サービスのほうに回して借金はあまりしないで頑張っているというのがこの表でございます。ですからご心配いただいた新座市の財源大丈夫かっていうのは正直にいって今のところは大丈夫だと私は思っております。
その一つに経費の節減、事務の効率化いうことです。右下の表です。私のやり方は職員を減らす、例えば40人定年退職したら30人採用する。そういうふうにして市長になってから16.1パーセント減らしました。地方分権権限委譲、どんどん仕事をどんどん来るじゃないかとよく指摘をいただきましたけど、職員を減らしてやれるのか。そこで市役所で働きたい、あとでお願いできませんか、臨時でけっこうだ、お昼まで、あるいは2時まで3時まで、あるいは周4日3日でもお願いできないか。いろんなタイプの方が市役所に働きたいと申し込みがあります。何百人もいます。その中で採用させていただいて、正規職員は私が市長だったときには827人でした。臨時職員694人利用して市民の方に働きたいという方にじっくり指導し教育して臨時職員としてその一翼を担っていただいている。
もちろん守秘義務もあります。そういったことはしっかり守っていただいてやっていただいてるということで、人件費の削減を徹底して図ってきました。県内では人件費比率は一番低いんじゃないかなと思っております。やり方はいいかどうかというのはまた議論があるかと思いますが私はこういうふうにやってきたということであります。それから公立保育園、補助を国が打ち切りました。
これはもう国が構造改革という名のもとに民間にできることは民間にやらせなさいと方針を打ち出しましたので補助はしませんよと。保育園は民間で可能なんだこういう姿勢ですからやむをえません。わが市でも民間保育園をお願いして作っているということであります。それから高3までの医療費の無料化を図った。
そして各種がん検診の無料化も図った。どうしてこういうことを考えたんですかというお話がありました。少子化高齢化の中でやはり産み育てやすい子育てしやすい街づくり、また高齢者の皆さんが安心して高齢になっても暮らせる街づくり。こういったものは重要です。ですから医療費の無料化等は図らせていただいて、安心して暮らせる環境づくりをしっかりやっていく。こういう考え方。それから各種がん検診。昔は全部無料でした。しかしながら厳しい財政状況の中平成8年から10年は非常に厳しい時期でした。市長給与カット、職員、議員の皆さんにもご協力いただいて報酬カット。こういうことをやりました。
そこで市民負担についても検討させていただきたいということで市民負担のあり方、検討委員会を設け各種がん検診を無料じゃなくて、無料だったものを有料にさせていただきました。財政がある程度好転してきたら無料にしますのでぜひよろしくということでご理解をいただき議会の承認を得て有料にしましたが市の財政も厳しいことは厳しいんですけど、高齢社会になって安心してこの予防医療の重要性、しっかりと検診を受けていただいて元気で長生きをしていただく街づくりをしよう平成何年だったかな、無料化をさせていただきました。それから18歳まで無料にしたけども所得制限などは考えなかったのかというお話がありました。
例えばお医者さんにかかります。診療機関に行きますと3割なら3割負担して、あとの7割は国とか市で持つわけですね。医療機関に払うわけです。これを全額10割無料にした場合に例えば所得制限を設けるとなると、やっぱりその場ではあなたは所得のある方ですね、3割負担してください、その窓口で医療機関にやらせるわけにはいかない。
ですから面倒ですけども3割なら3割全員の方に負担していただいて、後で医療機関から請求が来たときに3割は医療機関に払ってもらう。ポイントは3割無料になる方には領収書をもってきたらお返ししますということになって、大変市民の方には面倒になります。子育て支援を目指す市として面倒なことを導入するってことはできない。これは思い切って所得制限はなしにしますということでやらせていただきました。
税金を滞納してる方、あるいは所得のある方、あるいは保育料の滞納のある方についてはいただきますよという市は実は近隣でもありますけど、わが市ではそういった面倒なことはしないで子育て支援策として子育てしやすい環境づくりの一環としてやらせていただいているということであります。それからすべての公立保育園を建て替えたけれども民間委託化は考えなかったのかというお話がありました。
やはり預けてもらえる保護者の皆さんの心情、働いている保育士の皆さんの環境のことを考えたときに建て替えるときにどんどん民間委託だって考え方はできません。やはり安心して預けられる環境づくりをすることが一番だと思いましたのでしっかりと建て替え、そしてできあがったところに移っていただきました。ここにはちょっと裏の話がありましてですね、全部市の土地でした。保育園はね。ですから建て替えるときに園庭に作ってそれから移って、それで壊して今度は建て替えてから壊す。大変なお金がかかります。いろいろ考えたんですけど近くの町でした。農家の方と親しくさせていただいていましたので、「建て替えたいんだけどちょっと畑貸してくれませんか」「しょうがねえな」ということでお借りできました。
それでその土地に建てました。そしてできあがったら保育園は引っ越します。そして古いほうは全部壊して更地にして分譲をいたしました。そのお金で建設費の一部に当てるというかいうやり方をとらせていただきました。園庭に仮設なんかつくっていたら園児の皆さんだって大変です。遊び場がなくなっちゃう。だからうちは建て替えるんだったら近隣の土地をお借りして、その土地に出来上がったら引越しをして、残った土地は売却する。
それから保育園はできれば駅の近くがいいですよね。駅の近くの地権者の方はなかなか土地活用してますから貸していただけない。そんな中でも余裕のあるところがありますので「やりたいっていってるんだけど、お願いできませんか、貸してくださいよ」ってことで、相続になったらなんとかしてもらえるように法人には頼んでおきますからと、法人さんにもその場でお話して了解を得ることができました。それで建設補助を市の補助を出す。こういうやり方をています。法人の負担は地代だけになりますから土地の購入費はないですからね、こういうやり方で法人さんには市が土地を探して斡旋してるということであります。
それから次はトイレとかエアコンをどんどんやったわけですけども、どういう考え方でやったか。お金がかかることだし、そんなに急激にやるのは大変だったでしょっていうご質問いただきましたけど、やはり子供達の環境3Kとか4Kとかトイレは言われております。古い、汚い、臭い、危険だと。そういう工事現場じゃないんですからね。そういうことを言われるような環境で勉強しろって言ったって、それはですね、何言ってんだって言われちゃいますよ。で、子供達がなんか洋式トイレに慣れちゃってます。で、学校にいって和式、ウンチングスタイル、これでは家まで我慢しちゃう。そういうこともよく聞きます。そういうことを続けちゃ駄目だ。そんなときに3000万円寄付するから、学校のトイレ、孫がこれじゃかわいそうだ、何とかしろという方がいまして、これはやらざるをえない。
思い切って選挙公約に入れて全部やらせていただくことになりました。エアコンも全く同じ発想です。子供達が勉強しやすい環境、そういった環境を作ることが市の責務。そのためにしっかりとやっていかなければということで、今5月でも大変暑いですよ。5月に台風がどんどん来る国になっちゃっているんですからね。そういう国なんだからエアコンはもう当然だということで厳しい財政状況でありましたけど、幸いにしていろいろなやりくりをして全校やらせていただきました。子供達が勉強しやすい環境もっと大きくいえば子育てしやすい街づくりを作っていくうえで市の責務をしっかり果たす。そういうことでやってきたつもりであります。

会場からの発言
先ほど須田さんからもご紹介がありましたが、この様々な行政資料は共産党の新座市議長で今団長をやってる笠原さんのご尽力があったんで、少しフロアからあった質問を念頭において資料の補足だとかしていただけますかね。(柴田コーディネーター)

笠原新座市議

新座の市会議員の笠原です。皆さん、私が議員に初めて当選したのが41年前で、その時には須田さん先輩の議員。だから長い付き合いで、ほとんど議場では激しいやりとりをするというのが長い付き合いでした。資料は私がつくったわけではありません。市の職員の方にお願いしました。今回は子育てが中心だったので、その部分と子育てと福祉の部分だけ限定してあります。さっき須田さんも言っていましたけれどいい施策はたくさんありますど、教育の部分に絞って発言します。自分たちに新座の歴史がよくわかります。
子ども医療費無料化では、昭和48年から0歳、昭和の最後の平成元年の前にですね、そのときに議員になったんですけども、そのときにはまだ0歳だったんですよね。こうやってみると平成4年から25年の18歳までは無料化になるというところまではずっとよくわかりました。次に県内は今公立保育園を建て替えるときに須田さん言ったように全部市の補助が一切ないんですよ。民間が建て替えるときに補助が出るんですよ。
おかしな話でしょ。だからみんな自治体の多くは公立保育園が古くなって建て替えなきゃならないって時にやめちゃって民間の保育園に民営化するってパターンなんですね。新座はほんとに須田さんが頑張って民営化を一個もやらないで全部建て替えました。最初は私気がつかなかったんですけど他所の自治体  うちはそういうことやりませんよと言われてね。初めて知ったんです。市内全域調べてませんけどほとんどが民間にどんどん変えているところが多いと思うので、この点でも私は全県トップクラスだと思っています。
エアコン2年間かけてリース方式でやりました。ガスを利用するところと電子機能でやって。電子機能の部分は地元の業者が仕事をする、そういう条件にしてやりました。学校耐震化の問題も時間がなかったからあんまり言いません。全県の中で一番早く市段階で学校耐震化したのは新座市です。この点でも非常に優れていると思います。最後はトイレでこれ見てもらったらわかるように平成26年のときにトイレはほんとに国の補助金ももらってたくさんやったんですよね。それでほんとにこれ言うとびっくりすると思いますけど、中学校でいうと2中3中5中とやったんですけど、一校あたり約1億5000万円ですからね。1億5000万円かけて学校のトイレやるっていうのは相当の決意が必要だと思います。
始めにトイレ作ったとき私見に行きましたけど学校のトイレこんなことまで必要なのと思うぐらいですね、すごいデラックスに。ホテルのトイレとあまり変わらないと思うほどにちゃんとしたトイレになっています。これだけお金がかかるんですけど、でも子供がね、トイレに行きやすくなった意味ではすごくいいなあと思っています。改めてこうした資料つくってみて、いつも激しく論争していた相手でも、終わってみて、予算修正案を何回も出して、決めるのは当然議員ですから否決です。でもしばらく経って須田さんが提案するんですよね。同じことを提案しても我々が提案したものは、市長が提案すると与党はみんな賛成するという格好になってやってきたので、改めてこうやって見て須田さん凄いなあっていう思いました。

保育園の管理者さん

先ほど出ていただいた私が保育園のほう経験した中で思うことなのですが、これから先心配されることはこの「キャリアパス」制度です。職員の処遇改善に一見見える。研修するとお金を出す。ただ問題点は保育士指針の研修なんですね。この厚生労働省が出した保育指針の内容がもっとも危険な内容をはらんでます。まるでモリカケのあの幼稚園のようなことを狙っているのかと思うところがあります。
いくつか例を挙げますと、期待される子供達というタイトルで十の行動を三歳・四歳の子ども達に頑張りましょうということ、期待される人間像が保育園ゼロ歳とは言いませんが始まるような感じがします。その中には日の丸君が代もそうですが、運動会や式典等にこうやって行動しましょう。これが小学校に入って立派な小学生になれる道ですよ、家庭でも家庭教育としてこういうことをがんばってくださいっていうことが書いてあります。
例をあげると驚くのは式典に対して畏敬の念という言葉が出てきます。その項目の中に地域の理解ということと畏敬の念をあわせて具体的には神社やお寺のお散歩に行きましょう。散歩に行くんです、子ども達はいろんなところに、公園とか。その中に神社やお寺に行って拝むとかなんかを期待しているのだと思います。
こういうことを研修してくる職員またそれを実際に行う子ども達が小学校に入ったら、どうして日の丸がないの、どうして神社やお寺に散歩どうして学校の社会科研修にお寺に行かないの、遠足に神社に行かないのって言い出しかねないようなそういう立派な子どもを育てたいんだと思います。最後にはあのモリカケの幼稚園のように日の丸で行進したり、安倍首相ガンバレという言葉を狙ってるのかと。

シンポジストの第2発言

金子貴美子 氏

私からは大きく2点ほど最後にお伝えしたないと思っています。一つは子どものことですね。ほんとに小学校以降の子どもに対してはもちろん大事なことだと思うんですけど、海外ではどものことは国民の一人として大切にされていると思います。
ドイツなどは法的に位置づけた上で保育の無償化っていうのをしているんですね。日本の場合には全然まだ法的なところに位置づけられていなくて、その財源もどこから来るのかちょっとわからないような状態で消費税増税にあわせてっていう予定ではいるようなんですけど、とにかく海外と日本との違いっていうのはやっぱり一人の国民として子どもが大事にされている。
権利が認められているってことで国連で採択されている児童の権利に関する条約っていうのも批准していながらもやっぱり就学前の子ども達の居場所の権利とかそれに対する国の義務っていうのが一切ないっていうのが一番問題じゃないかと思っています。学校に入れない子は一人もいないのに保育園に入れない人はわんさといるわけですよね。
そこが就学前の子どもの居場所っていうところではないがしろにされているのではないかなと思っています。そこのところがちゃんと法的に位置づけられていれば絶対保育所に入れない子どもは一人もいないはずなんですね。やっぱりそこのところが就学前の保育教育に対する考え方が軽んじられている。日本はそこが立ち遅れているなと思っているところです。
そこを国民的な議論をもっと活発にして小さい子どもの権利保障という点で運動していきたいなあと思っているところです。一環として無償化もあってですね、子どもの権利としての無償化。何歳以上に無償化が当てはめられて小さい子には当てはめられないとか、食費などは無償化の対象外だとかそんなケチなことは言わずに、やっぱり子ども達にはその育つための権利があるんだと。それにはやっぱり国がもっとお金を出すべきなんだと。国の財政保障、国費で確保すべきなんだというそういう運動というか、そういうふうに日本が変わっていってほしいなあってことをほんとに現場にいながら感じています。
もう一つは職員のことです。先ほどから賃金のこと人員の確保という点での問題点など今の現状をたくさん申し上げてきましたけども、東京都とかそれから千葉県などは今処遇改善費ということでかなりの額を上乗せしています。財政規模も違うので一言では比べられはしないんですけど、東京都は217億円上乗せをしています。保育所の整備促進などというところも。あと千葉県も12億6,000万円っていうのを保育士の処遇改善事業。先ほどの意見にもあったキャリアアップ研修授業そういったのも含まれてはいるんですけど、それでも何とか保育士の処遇を改善しなくちゃいけないっていうそういう問題意識というかそういう課題意識の中でトップ事業として補正予算を組んだりですとか、予算の中に組み込まれてきているんです。
それに埼玉県は同様にはしていないんですね。そのようにはしていなくて、まだまだ手ぬるい状況があるので、ほんとに賃金の上乗せですね、それを求めていきたいなとは思っています。けれども現場ではいっくらお金もらっても今の働き方だったら続けていけないよねっていうのがこれが本音なんです。東京都でも同じこと言われています。もちろんお金は欲しいよ、もらって家賃保証もしてもらいたいな、人並みに都内で一人暮らしができるぐらいのお金が欲しいっていうのは誰しもが思うんですけど、それだけじゃないよねっていうのが保育士のやっぱり生の声です。だから最終的には働き方の改善ですね。それが重要だと思っています。
保育士ほんとにいい保育をしようと思ってみんなで子供が寝てる間に会議をもったり、それから職員会議は子供達が帰ってから7時ぐらいから9時ぐらいまでかけて職員会議をやっています。もちろんそこに超勤手当てなどがついたりするんですけども、でも持ち帰り残業、風呂敷残業、それも日常化しています。ほんとに先ほど申し上げたとおり朝早くから夜遅くまでシフトの勤務をしながらですね、老体に鞭打ってやってる保育士もたくさんいますし、腰痛とかそういうからだの故障を抱えながら病院に通いながらお仕事してる方たちもたくさんいます。でもそれは子ども達の笑顔に励まされやりがいのある仕事だと思うからやっているわけですね。
そういう人たちの熱意に支えられて保育をしていこうとそういう方たちが埼玉県にもたくさんいます。そういった人たちのやりがいを支えて生活を支えて、仕事としての保育士の仕事、職業を支えていくためにも働き方を改革していく。埼労連とともにそういったところをこれから運動としてやっていきたいなと思っています。先ほどのアンケートというか中にも望むことは?と書いてくださった方もいました。ほんとにそこです。私が現場から声を大にして望みたいことはやっぱり楽しく働く、そうやって働くことが子ども達にかえっていくんだと思っています。

白鳥 勲 氏

今日参加して一番いろいろ勉強して感動したんですけど、須田元市長さんと笠原議員との関係について感動いたしました。思い、意見、いろいろな違いはあるけども、現実を見て一致するところからできるところからやっていこうというのが民主主義の原点ではないのかということを見させていただいて非常に今日はよかったなと思っています。
私は40年間学校現場それからここ9年間やっていますけど、今夏休みが終わってほっとしています。給食費がないと体調を落とす子がたくさんいるんですね。その世帯の子供達に食事を運ばなくてすむという点ではほっとしています。
子供の貧困の深刻さの底抜け状況はひどいですから。家の食事も含めてかなりの状態に今なっているということをぜひいろんなところで確認しながら今日は各地域の市町村の議員さんとか地域で活動されている方が多いと思いますので、4ページに私書きましたけど今の制度の枠の中でできることはたぶんたくさんあるなということを感じています。
議会それから市長さんにどうやって訴えるかということの大切さを経験してきました。この8年間、私は直接行政の担当者の方と話ししてきましたが、最も貧しい子供たちの世帯の所得を改善することは国の行政とか最賃ですが、とりあえずは医療費を18歳まで無料化することによってどれだけの子どもが、気兼ねなく医者にかかれるかということを具体化する道筋です。
それから一人でも多く就学援助を学校の現場で働きかけたり、それから就学援助の枠を生活保護時給者の1.3倍とかするだけでどれだけの子どもが給食費で悩まなかったり、これ自体が子どもにとっては温かい、この社会は見捨てたもんじゃないなということに直結します。
先ほど新座市で体現してきたということをぜひ我々を含めて学びながらやっていきたい。特にアパートでしんどい生活している子は、ホテルのようなトイレでゆっくりできるっていうのはすごいことですよ。子どもの一人ひとりの生活実感からしたら本当に大切なことです。
それから不利な状況に置かれた子ども達を自己責任であなたのやる気がないから成績が悪いんだということを文科省もそのことはないと言ってるんです。
データとして。基本的にはどうやって学校で教え、それから学校以外のところでどうやって家庭のバックアップがあって子供の学習が保障されるかっていうことは毎年のデータではっきりしていることですので、その部分をぜひ公立もできるわけですから、各市町でまだまだ行き届かない部分はやっていく。ですから学校現場でいったら教員の軸足を、うんと子ども一人ひとりの困難に目を向けさせる。そして一人ひとりと対話すると。そこに教員の大変さの重点をおくということがいまとくに大切になっています。
子どもにとって一番傷つくのは俺は高校から大学に学費がないから行けない。隣に座ってる子はすっといけるとか、それは我々が思った以上に傷つきます。ですから子どもがこの社会で希望をもっていくことの一つの大切なことは公平性です。公平性は具体的にいうと教育費をいかに無償化に限りなく近づけることです。たぶん今後の政治の焦点として二つの潮流がぶつかりあっています。
一つは貧困の連鎖はしょうがないと。貧困世帯の子どもが大学に行けないのはしょうがないよというふうな意識の調査を、ベネッセと朝日新聞がかなりの規模で学校現場でやっています。十年前はしょうがないと考えている人は4割しかいませんでした。今年の4月の時点で6割を超えました。ですから自己責任と競争と市場原理のイデオロギーというのはかなり染められてしまったということ。一方では先ほど言ったとおり子どもの貧困対策とか新座市に見られるような様々ないかに子ども達を公平に温かくやるかというところのそれぞれのところで自民党議員も含めて子どもの問題についてはちゃんとやらなきゃというところでは一致します。
しかし一方では自己責任という風潮がありますので、そこをどうやって社会のこれからを担う子どもを市とか町の中で保障していくのかというところは避けては通れないある意味では取り組みだと思っています。大きなところで実感として言いますけど、公平性っていうのは大きく二つあります。税金の取り立て方とそれから税金をどう使うかということです。
せっかく生活困窮者学習支援事業がありますので、それをちゃんと使って子ども達に学習到達度を上げるような取り組みを続けるような形で税金を使わせることが大切だなと思っていますし、そのたれを実現させるかなりの指標とか法律は皆さんがたの運動で培ってきたと。それを理解する市長さんもいるということも現実です。私、元埼高教書記長ですけども、今は県の福祉行政の方からはうんと頼りにされています。
考え方は違いますけれど、しかし子どもをどうやって一人ひとり温かく保障するかというところで8年間の実践できましたが、各地域で行政などの力も借りて子どもの幸せを守ることができるだろうと感じています。今日はいろんな意味で勉強になりました。

須田健治 氏

私の立場ではなかなか子供の貧困問題それから学習支援の問題っていうのは難しさがありまして、こうすればいいというのは申し上げることはできないと思いますけど、生活保護世帯、この方々が悪いというわけではありませんけども、増えていることは事実ですね。新座市でも私が市長になった平成4年の時には300世帯でした。平成27年、2000世帯です。
そのくら高齢化も進み所得格差も進み病気がちのかたも増えているということだと思いますけど、いずれにしてもこうした生活保護を受けておられるご家庭のまずさっき最初の一つありましたけど、この方々に対してどういった支援ができるか。これは行政の責務ですからそれを連携してやるのが民生児童委員という組織がありますね。その方々が地域の生活保護あるいは医療保護、養護世帯等を巡回したりして家庭の状況を相談にのってさしあげる。
そして支援等に繋ぐ、こうした役割を果たしているわけですが、なかなか各家庭に入り込めないのが実態のようです。私の実は兄が児童委員の市の会長をやっているんですけど、ほんとに難しさの隘路でありまして、入っていっていろいろと相談にのっている民生委員の方のお話を聞くと相談にのってもどうすることもできない。
例えば旦那さんが生活費がくるとみんな先に使っちゃうとか、奥さんに渡さないとか子どものほうに回さないとか、家庭の中で言えば暴力、民生委員がそこまで入って行けない。相談を受けても市長としてなかなか市の職員と一緒に行ってくださいという程度しかなかなか支援ができない。非常にそれぞれの家庭の事情に応じた細かいサポートというのが必要なんだろうけど、なかなかそれができない。お邪魔して明日は学校行こうねっていうお子さんにいうとニコニコ笑うっていうことですね。
ですから何とか朝しっかりとご飯を食べて送り出していただければいいわけですけど、なかなか家庭の事情ができてないようなことも事実なようでこういった状況を行政としてどう支援していくか、ほんとに大きな課題だと思っております。そんな中から白鳥先生からアスポート学習支援事業、学習支援事業というのをアスポート事業の一環としてお話いただきました。いま新座市内には三つの大学、また高校は5つあります。
学園都市的な市ですが、十文字学園女子大学は児童教育学科という持っておりまして、小学校の教員の資格取得の学科で。いろいろ地域に出て行って、地域の方々と触れ合うことで社会性や指導力、協調性こういったものを身につけていこうということで地域に市内にいろいろ出て行く。その一つがこのアスポート学習支援事業でありまして、今やらせていただいております。琉球大学のほうでも開催いただいておりまして、もっともっと学生ボランティアでありますけど、しっかりと学生の皆さんの支援をいただく。
行政も支援する。そして地域の皆さん、民生委員を中心として地域としてしっかり支援する。こういった市作りがもっともっと広まったらいいのかなと思っております。新座市には海外に三つの友好姉妹都市があります。ドイツとフィンランドと中国なんですけど、私フィンランドには6回ドイツには4回行きました。ドイツの小学校でも、朝食を食べてこない子ども達がいる。なかなか学校としても対応しきれていなかったんですけど、保護者の皆さんは自分の子だけ元気に育てばいいっていうんじゃくて、どこのお家のお子さんもみんなドイツ国家の子だという考え方、ハイル・ヒットラー的な気もしますけど、そういう子がいるんだったら余裕のある家庭でサンドイッチを持ち寄って朝食べてこない子供達に食べさせようねという授業を始めておりました。
日本でもしこれやったらどうか。ドイツでは「僕は食べてきたからどうぞ」って、その辺はほんとにみんなしっかりしていると言ってましたけど。朝食べてこなかったお子さんには保護者で余裕のある方々が、交代当番でサンドイッチを作ってもってきて食べさせて、しっかり授業を受けなさいという、そういったことやっているドイツの友好姉妹都市の事情を見てまいりました。日本でもそこまでできるかどうかわかりません。
朝給食というのはどうだと教育長と協議した。そんなこと考えてたら金いくらあっても足りないとそんな話がありました。でも食べれないお子さんがいるんだったら朝も給食にしてやっちゃうっていうのも一つの方法じゃないか、食べれない子だけでもいいんじゃないか、そんなことを行政としても考えたこともありましたけど、なかなかこういった問題どのようにしたらいいのか。国をあげてしっかりと子ども達を育て日本の平和、世界の平和に貢献できるような子供達を育てていくことはもっともっと国をあげた問題としてやっていかなきゃいけないんだろうなと思っているところです。

柴田コーディネーター

はい、ありがとうございました。まだまだ言い足りないところがいっぱいおありだと思いますが、いくつか浮かび上がってきたかなと思うことをちょっと申し上げてシンポジウムを閉じたいと思います。金子さんが賃金問題言われましたけど、働き方の問題、これとの深い関連性。確かにお金が増えることにこしたことはない。しかし今みたいな働き方だったらほんとにバーンとしちゃうよって、これおそらく保育園だけじゃなくて学校現場あるいは自治体の職員の現場も同じではないかな。民間の企業でも同じではないでしょうかね。
そのくらいこの国は今人間が人間として人間らしく働ける環境がほんとに損なわれているんだっていう感じがしました。物事にはルールということが必要で法律もルールです。でもその法律は法律の中である日本国憲法、これに基づいて、その精神に基づいて法律を作らなければいけない。もう一つこれグローバル社会で言えばね、国際的なルールっていうのがありますよね。
人権規約のA、Bであるとか、あるいは働くルールでいえばILOが定めている私はいつも思いますが少なくともこの国は法治国家だというふうに言えるんだったらきちんと国際ルール、日本国憲法このルールのラインでしっかりやってくれればそうとうの問題が解決する。それでももし解決できない問題があったらね、
憲法を見直してみるという議論だって封印する必要はないんだろうと思います。ただそこをやりもしないでそういう議論になってしまうことの危険を常に考えているところです。それから行政は白鳥さんからもお話がありましたね、誰からお金をとって誰のために使うかと。ここに公平性が担保されなければいけないっていうお話がありました。そういう目で見たときに今のこの国の財政、税制のあり方はどうなんだろうか。
ほんとに集める集め方、使い方、ここに公平性が担保されているんだろうか。憲法の精神が貫かれているんだろうかっていう切り口もあるなと思いました。そして税制も行政施策もあるものを誘導するために行われるという面ありますね。
例えばエコカー減税これなんかはいわゆるエコカーを市場に導入するために税金を使って補助金を出しそしてその購入者を増やしていこうと。
こういう政策ですよね。必ず税金を投入して施策をやるときには必ず目的と狙いがあるわけですよ。その目的と狙いがほんとに私たちの願いに沿ったものかどうかっていう意味も必要だろうな。特に教育に関してはなおさらそうだと思いますが、教育制度は教育条件整備によってするということが唯一最大の任務ですけど先生からもなんか話があったけどある施策をやろうとするときにそこに特定のイデオロギーをくっつけて、それを言葉は悪いけどお金出すときに餌をくっつけてね、餌に何かこのちょっと薬を入れてですね、やるようなことはやっぱり公平性を欠くことになるんじゃないか。
イデオロギーみんなそれぞれ違いますからね。イデオロギーの問題になっちゃったら大変ですよ、これ。うちの水道出ない、あんたイデオロギーが違う、そんなことありえないわけですからね。とういうようなことが強まってはいけないなと。それから自己責任論って話がありました。これ貧困問題はいったい誰の責任なんだという議論ですよね。
ここ四半世紀20年ぐらいの間盛んにこれが言われてきてこれが定着しちゃって、私たちの感覚の中に相当それが入り込んでるというお話がありましたが、実は明治時代に実はすでにイギリスでという統計学者がですね、ロンドンの町における社会調査貧困実態調査やったんですね。何が問題なのか。その当時も言われたんです。あそこは親が飲んだ暮れてね、稼ぎ全部飲んじまって駄目なんだとかですね。
ロンドンでそういうことがあったんですよ。それはどうなんだということで王立統計員その人はチョコレート会社や会社を経営している資本家の側ですが、この人が中心になって大規模な社会調査をやったんですね。その結果ね、ロンドンにおける貧困がけして個人の責任ではない。一人ひとりの資質によって貧困が起きてるんじゃない。とすればこれは社会的にその貧困を解決しなきゃいけない。所得の再配分機能という考え方はそっから出てくるわけですよね。
まさにそういう社会的に生み出されたもの、だからソシアルセキュリティー、社会保障というわけですね。この視点はここ20年四半世紀の間にかなり自己責任に変わってきちゃってるな自治体キャラバンに行っても国保税の滞納者こんなに増えてるんです。2割になりました。私そこの自治体の人に聞きました。そんなにあれですかね、2割もね、国保税滞納するって皆さんのところの自治体はそんなに市民がずるがしこくなったんですかって。聞いたらいやそんなことはありませんって言うんですよ。それはそうですよ。それは払えない。ごく一部に行かない人がいることもこれもまた事実かもしれません。
しかし全体とすればやっぱりそういう制度政策の問題で。だから須田前市長さんが言われたように行政がどういう行政施策をやっていけばそうした市民のニーズや貧困やそういうものに応えていけるか。そういうことが行政の仕事だと。冒頭にイデオロギーは違うかもしれないけど目の前にいる子供、あるいは目の前にいる市民この人たちの命と暮らしを守るというところでは、大いに私は力を出し合って今よりも建設的にできるのかなあという気がしました。今日会場には県内の様々な運動に携わってるえ方々やあるいは先ほどもちょっと申し上げましたが、地方議員の方もいらっしゃいます。
地方のシンポジウムでもし何か参考になることがあれば、ぜひお帰りになって自分たちの町で、自分たちの自治体で今日いろいろ聞いた話をものさしにしたときにどうなんだろう、何ができるんだろう、行政に対してはどんなことが働きかけられるんだろう、こういう動きが広がっていければいいなあって思います。それにつけても須田さんのお話でありませんが、国と基礎自治体は一生懸命四苦八苦しながらやってるけど県は銭出さないという点はこれもやっぱりみんなの声を集めてそういうところをどう変えていくかということも。
結局はみんなの声が盛り上がってこなければ駄目なんですよね。一人ひとりが少し賢くなったという程度じゃね、とてもじゃないけど駄目ですよ。みんな考えてることは一緒だなって思う反面、その思いをどれだけの人たちに広げていけるか。そういうことがつくづく大事なことだなと思いました。今日はお忙しい中お三方おいでいただきまして、短い時間でね、制限ばっかりつけて恐縮でございましたが、皆さんでどうぞ大きな拍手で。

司会・栗木誠 氏

コーディネーターの柴田さん、そしてシンポジストの金子さん、白鳥さん、須田さん、ありがとうございました。今回のシンポジウムの目的の一つとして県政における課題の浮き彫り、つまり見える化っていうのもあるのですが、この子育て、子ども医療、教育の分野における県政の課題というのははっきり見えたんじゃないかなというふうに思います。
例えば話題の中心になってた県の子ども医療費無料化の問題も、就学前に入通院とも所得制限をつけているのは埼玉ぐらいなんですよね。栃木や群馬でいうと中学校卒業まで無料で所得制限つけていません。栃木も小学校卒業までつけずに通院入院無料だというふうに出ています。そういうところもぜひきちっと見ていただきたい。それからちょっと気になったのでちょっと報告だけしたいなと思うんですけど、ウェブでブログをよく書くんですよね。ホームページにいっぱい書いてある。この8月2日埼玉は酒に強い県というのがありました。上田さんが就任したときは埼玉の清酒の出荷量って全国で8番目だったですってね。
それが2017年には全国で4位になったと。埼玉はお酒に強い県だという記事でした。この中に私はなんでもランキングが大好きだと。特に順位を上げていくことが大好きなんだと。名前が上田ですので、上だ、上だうでだといつも言っておりますと書いてありました。ぜひこういうことお書きになるのであれば、先ほど須田前市長からもありましたけれど、イデオロギーは横においておくという立場で、残り1年全力でこういう課題進めていただきたいなと思います。会としては本日のシンポジウムを契機に、憲法をくらしに生かす県政、若者に魅力のある埼玉を目指して準備をすすめていきたいと思っています。
お忙しい中シンポジストとしてご参加いただいた3人の方、そしてコーディネイトしていただいたしばたさんに改めて拍手でお礼をしたいと思います。それでは最後になります。閉会の言葉を荻原代表よりお願いをいたします。

閉会あいさつ・荻原初男 代表

長時間にわたるご協力ほんとにありがとうございました。今日のシンポジウムには80人の方が参加されました。私の方からもシンポジストになられた須田さん白鳥さん金子さん、そしてコーディネーターされたしばたさんお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。子供の貧困と行政の課題、これは私自身も非常に興味関心をもっていました。私もかつて虐待された子ども達を引き受けたり、そういったことをやってきた関係もありました。
子どもの貧困と行政の課題はどうあるべきか、その方向が見えてきた。また探求すべき方向も見えてきたなというふうに思いました。やはり行政が何を根本におくべきかということもわかったてきたと思います。まさに憲法13条のすべての人は個人として尊重される。すべての人に幸福追求権がある。それは子ども達もみんな同じだ。そこの立場から行政がどうあるべきなのか、考えなければいけない。私も小学校上がる前の日にランドセルが買ってもらえなくて、入学どうしようかと。
給食費は毎回忘れました。修学旅行の積み立てのお金もその日は学校に行きたくなかった。いつもお金がないから。そういうことを体験してきてほんとに思ったことがありました。一つは経済的な援助、これはどうしても必要だ。同時にもう一つ私が求めたのは何かっていうと、あなたが悪いんじゃないよ、両親が悪いんじゃないよ。
その言葉。やはり行政がやるべきこと、補助とか援助とかそういうものではなくて、人が人として生きる権利を保障する、その権利の保障としての行政の課題なんだというふうに感じました。今日ほんとにシンポジストの皆さんの発言、感動すら覚えました。
これを力にしてまた皆さん県政を変える県政シンポジウムでしたけど地方自治体の行政のあり方をいろいろ考えさせられたんではないかというふうに思います。今日のシンポジウムを第一陣として民主県政の会としてもこれから様々な問題をテーマにして全力をあげて頑張ってよりよい県政にしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。